40キロ超の減量、エリートな経歴 元子役・細山貴嶺が今「本当になりたい自分」とは:私の人生が動いた瞬間(2/2 ページ)
ゴールドマンサックスへ入社
――大学卒業後の芸能界引退はもともと決めていらっしゃったことなのでしょうか?
細山 明確には決めていませんでした。よほどいいところに内定をもらえたら就職しようと思っていたところでゴールドマンサックスの内定をいただけたので、ビジネスの世界を経験しておきたいと思い、引退を決めました。
――ゴールドマンサックスへの入社に周りの反応は結構大きかったんじゃないでしょうか?
細山 僕のもともとの性格からか、周囲には就職先のことをあまり言いたくなかったんです。もしかすると、子役時代の経験やいじめとも若干関連するのかもしれないですが、自分自身のことを話したり、それが火種になって事を大きくしたりすることが好きではなくて、どこに就職したかはすぐには言いませんでした。
現在は京都大学の100%子会社で「動物を救いたい」思いで起業を準備中
――現在は京都にお住まいなんでしょうか?
細山 はい。今は、京都大学イノベーションキャピタル株式会社という京都大学100%子会社のベンチャーキャピタルに1月から勤めていて、2022年12月から京都に移住しました。
――どういったお仕事をされているんでしょうか?
細山 投資部員と、聞き慣れない言葉だと思いますが客員起業家という2つのポジションで仕事をしてます。投資部員としては、弊社が若いスタートアップに投資をする会社ですので、投資案件のソーシング、調査、投資実行、投資先企業の支援などをやっています。
客員起業家のポジションとしては、小さいころから多くの動物に囲まれて生活していて、動物がすごく好きなので動物を最終受益者とするような事業内容で、京都大学をはじめとする国立大学の研究を使った会社の起業を準備しています。
――動物がお好きなんですね。
細山 すごく好きで、家庭動物管理士2級という資格も持っています。母親の影響で小さいころから本当に多くの動物と一緒に生活していて、犬猫をはじめ、あひるとピグミーマーモセットという10センチくらいの小さな猿を5匹と、長野にミニチュアホースというポニーよりもう少し小さな馬を飼っていました。今は猫1匹と一緒に暮らしています。
――にぎやかそうですね。ちなみに、客員起業家という言葉は聞きなじみがなかったのですが、具体的にどういった内容なのでしょうか?
細山 スタートアップに対して投資をする業務を行いながら、その業務を通じて学んだ経験を、最終的には僕自身の会社の立ち上げに使っていくというような弊社独自のプログラムです。
最大2年間の任期ですので、僕の場合は2024年末までに動物を助けるような何かしらの事業で、京都大学かそれ以外の国立大学の研究成果を使って起業することが最終的な目標です。
――つまり、投資業務を行いながら同時に起業をするということですよね? 2年間でできるものなのでしょうか?
細山 結構大変ですね。毎日頑張ってはいますが、この技術だったら社会に対していいことができる、ビジネスになるものというのは簡単には見つからないので、すごくチャレンジングな仕事だなとは思います。
ただ、少しずつ進んではおりまして、例えばAIを使った獣医師の補助。人間は内科や外科などに分かれて、さらにそこから細分化されている一方で、獣医師は、犬猫以外のエキゾチックアニマルなど多くの動物を診察しなければいけない。そうした知識を全部得ることは限界があると思うので、AIを使った診断の補助ができないかという一つの構想は練っています。
まだはっきりとこの構想で進めるかは分かりませんが、この仕事を選んだのは僕だから、ちゃんと正解にしないといけないし、ちゃんと期限内に考えるべきことは考えなければいけないと思ってます。
――では、今は本当に細山さんのなりたい姿になっているということでしょうか?
細山 そうですね。今までいろいろな人に求められる自分を演じてきた中で、あらためて本当に自分は何をやりたいのかと思ったときに、僕はやっぱり――実は獣医師にもなりたかったところがあって――動物を助けたいという気持ちが大きいんです。
もう金融には戻らないという気持ちがある中で、今、ある意味好きなことをやっていいよ、動物を助けていいよと言われてるようなもんですから、本当にやりたかったことに向けて走ってるタイミングだと思うので、今は人生のターニングポイントに近い気がしています。
――ありがとうございます。もし、今苦しい状況にある方や、人生の岐路に立っている方に向けた細山さんから何かアドバイスをするとしたらどんな言葉を送りますか?
細山 僕が思うのは、逃げていいんだよということ。逃げた先にいいところがあるとまでは僕は言えないんですけど、本当にきついなと思ったらその場から逃げることが一番いいと思います。
僕は大人になるまではそれができなかった。けれど、金融の世界で働く中で、苦しくなって逃げるタイミングはありました。僕の場合は友達と話したりとか、あと愛猫がいるので、猫を触ったりとか。一番癒やしてくれるのはやはり動物ですね。
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