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» 2023年10月24日 11時00分 公開

“黒い看板の吉野家”が徐々に増加 カフェみたいな店舗の狙いは? 吉野家に聞いてみた(1/2 ページ)

吉野家だけど看板が黒い「クッキング&コンフォート」について取材しました。

[新谷翔ねとらぼ]

 牛丼と言えばサクッとお店に入って、頼んで、お腹にかきこんで、次の予定に備える、というイメージですが、オレンジ色でおなじみのあの「吉野家」が新たな店舗形態を徐々に広げています。看板はオレンジではなく「黒字に白」で、店内はまるでカフェのような雰囲気。その事業戦略や反応について吉野家に聞いてみました。

 もはや、国民食と言っても過言ではない牛丼。その雄たる吉野家が「うまい、やすい、はやい」というオレンジのイメージを一新させる取り組みを行っています。吉野家の屋号はそのままに、ドリンクバーや温野菜などを提供し、看板装飾はシックな「黒」に変化を遂げています。

 X(旧Twitter)などでも実際に店舗を利用した人から「ドリンクバーあるのすごい」という驚きの声や、「黒い看板の店舗があったんですね。どう違うんだ?」と変化に興味を持った声が見受けられます。

 各地で増えているという謎の「黒い看板の吉野家」、事業展開のいきさつや反応について吉野家の販売や経営戦略を担う企画本部に聞きました。

――“黒い看板の吉野家”はどういった経緯で始めたのでしょうか?

吉野家企画本部 牛丼一本で勝負してきた弊社ですが、やはり転機となったのは2003年のBSE問題に端を発した「牛丼が提供できない牛丼屋」という苦い経験です。創業以来の大きな経営危機でした。そこから、時代に合った事業展開の方針をかなり協議してきました。豚丼やカレーの商品開発はその最たるものです。

 そうした中で、2013年の冬に五徳の上に鍋をおいて火をつけて提供する「牛すき鍋膳」を販売開始すると、女性やファミリーの利用が拡大しました。そこに、男性客以外の新たな需要があることを再認識し、話題となっている店舗形態が2016年に誕生しました。「黒い看板の吉野家」は「クッキング&コンフォート」というフォーマットの店舗です(※)。

※クッキング&コンフォート店舗は公式サイトから検索可能

――利用客の反応はどうですか?

吉野家企画本部 非常に好評ですね。内装にグリーンを配したり、ソファ席なども設け、ドリンクバーも設置しました。そこには、「ゆっくり過ごしてもらいたい」という思いがあります。さっと注文、さっと食べてというイメージからの脱却ですね。

 実際、カフェ使いとして、学校や習い事の送迎を待つ間のいわゆるママ友グループの待機場所にお使いいただいたり、受験前の学生さんが参考書を開いて勉強されたりしている姿もよく見られます。充電用のコンセントも充実しています。

 全国に1200あまりある吉野家の店舗のうち、今では300店舗あまりがこの「黒い看板の吉野家」に生まれ変わっています。今後も増やしていきたいのですが、どうしてもある程度の敷地面積が必要となりますので、郊外型の店舗が多いのが実情です。

――ドリンク一杯でも利用していいのですか? 牛丼と言えば回転率が命というイメージもあるのですが……。

吉野家企画本部 ドリンクのみでも大歓迎ですよ! 快適な空間でお客様に過ごしていただくことが大事だと思っています。この、「クッキング&コンフォートスタイル」の店舗でも、これまでの迅速な提供をできるシステムは残しています。回転率の問題は、テイクアウトなども含めお一人様でお越しの根強い「吉野家ファン」のお客様のご利用もございますので、これまでと同様の営業もできる体制を構築しています。

 今後も「日常食」である牛丼を第一の柱に事業展開して参りますが、そこにプラスワンの価値観を提供できる「牛丼屋」であり続けたいですね。

――メニューはどういったものがありますか?

吉野家企画本部 「黒い看板の吉野家」の限定メニューとして、女性客を意識した温野菜を牛丼にトッピングした「牛丼ON野菜」というものが好評です。豚肩ロースの丼や定食、アイスクリームなども提供しています。お客様のお声を聞きながら今後も新たな商品を開発して参ります。

 また、ベビーカーや車椅子でもご利用していただけるように、店内の座席配置はゆとりを持って設計しています。


 吉野家ではカウンターのみの一部店舗でも食事中のプライバシーに配慮したジグザグ型のカウンターを導入しているそうです。

 時代の変化に柔軟に対応しながら、無骨なイメージの街の「牛丼屋」はどんどん変化を遂げているようです。取材対応にあたった広報担当者の「日常に寄り添いたい」という言葉が印象的でした。

画像提供:吉野家

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