「自分が次の攻殻機動隊を作ることがあるのなら……」 「攻殻機動隊 S.A.C.」記念イベントで神山健治監督が明かしたある覚悟(1/2 ページ)

「バトーは『ベルばら』のアンドレ」という大塚明夫さんの名言(?)も飛び出した攻殻ファンニッコリのイベントに。

» 2023年11月13日 21時00分 公開
[西尾泰三ねとらぼ]

 Production I.G制作によるテレビアニメシリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」の記念上映&トークショーが11月12日に開催され、バトー役の大塚明夫さんと同作の監督/シリーズ構成を務めた神山健治監督が登壇。「バトーは『ベルばら』のアンドレ」「次の攻殻も大塚明夫に」など興味深い話題が次々と飛び出しました。

大塚明夫×神山健治監督 「自分が次の攻殻機動隊を作ることがあるのなら……」と前置きし、ある思いを語った神山監督

 士郎正宗さんの原作コミックが『ヤングマガジン増刊 海賊版』(講談社)で発表されて30年超。この間、押井守監督の「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」、神山監督の「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(S.A.C.)シリーズ、黄瀬和哉監督の「攻殻機動隊ARISE」や「攻殻機動隊 新劇場版」、さらに「イノセンス」やハリウッド実写映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」、直近ではシリーズ初のフル3DCGアニメ「攻殻機動隊 SAC_2045」などさまざまな作品が生まれてきました。

 同イベントは、バンダイナムコ フィルムワークスの映像レーベル「EMOTION」が40周年を迎えたことを記念して11月12日に開催されたもの。テレビアニメシリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」は、最終話(『公安9課、再び STAND ALONE COMPLEX』)の初回放送(2003年11月)から20年が経過したタイミングとなります。

神山健治監督

 イベントでは、特別にセレクトされた第1話「公安9課 SECTION-9」、第2話「暴走の証明 TESTATION」、第10話「密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE」、第12話「タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM」の4エピソードを上映。上映直後に登壇した大塚さんは、ファンで埋め尽くされた満席の会場を前に「短いような早いような不思議な感覚。当時は42歳くらい? 自分も若かったなと思う」と20周年というアニバーサリーに感慨深げな様子をみせました。

 一方、当時37歳だったという神山監督は、「この作品に関しては不思議な感覚があって、体感的には実数の3倍くらい。15年くらい本作に関わっていた気がする。でも振り返ると一瞬。この作品は僕にとってデビュー作のようなものなので、大塚さんら凄い人を前に自分でアフレコを仕切りながら、なんて恵まれているのだろうかと思いながらブースにいました」と特別な作品だと打ち明けました。

大塚明夫

 「神山監督からは“押井さんの作品(『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』)よりも弾んでいる感じで”と言われたので跳ねながら芝居した思いがある」と当時の収録現場の様子を明かした大塚さん。司会から「バトーはヒロイン」という視点が語られると、「バトーは『ベルサイユのばら』でいうところのアンドレというイメージだ」と笑いを交えて、持論を展開する場面もありました。

 また、大塚さんは神山監督について「目には見えないセンサーが張り巡らされている感じがして、それがなんかすげえなと(笑)。公安9課の課長・荒巻大輔がどこかそんな感じがするけれど、神山監督にもその空気感があった。この作品を作り上げるぞ、という意志の強さを感じました」とリスペクト。

 神山監督も「この作品を自分でディレクションできるというワクワクしかなくて、アドレナリンが出まくっていた。だから周りがゆっくり動いているように見えたのかも。車を運転中にも次の話のヴィジョンが頭に浮かんで、それをメモしてスタジオに行くくらいだった」と充実した日々の様子を思い出していました。

 最後に大塚さんは「これだけの作品に携わり、物語の中枢にいられたことに喜びを感じています。バトーは自分の人生においてとてつもなく大きな役ですが、アニメを作るのには時間もかかりますので、もし次やるとしたら70歳くらいかな? と思うと、もしかするとこれが最後になるのかなと毎回感慨深く思うことがあります。それくらい大好きな作品を演じられて、そして皆さんに応援していただけて……本当にありがとうございます」と感無量。

 すると神山監督は「自分が次の攻殻機動隊を作ることがあるのなら、それがどんなに先になっても、僕は大塚さんや田中敦子さんはじめ皆さんがいる限りキャスティングするし、皆さんのその歳に演じられるバトーや草薙素子の脚本を書くつもりです」と宣言。これに大塚さんは「いま、鼻の奥がツーンとしました」と感極まりつつ笑顔を見せ、イベントは大盛況のうちに幕を下ろしました。

大塚明夫×神山健治監督

 なお、2022年にシーズン2が配信されたアニメ「攻殻機動隊 SAC_2045」に新たなシーンと視点を加えて劇場版として再構成した「攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間」が、11月23日から3週間限定で劇場公開されます。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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