ニュース
» 2023年11月18日 09時00分 公開

これを読めば「ゴジラ -1.0」の背景が分かる 〜終戦時における旧海軍艦艇動向〜(2/3 ページ)

[長浜和也ねとらぼ]

海軍の生き残りが活躍した戦後復興

 終戦後、外洋航海に耐えられると評価された艦は、艦載砲や電波兵器などを下ろして船室を増設する改装工事を施したうえで、外地に取り残されていた日本人を日本本土に帰還させる特別輸送艦として終戦直後の1945年10月から航海を再開している。

 先に上げた大型艦船では鳳翔、葛城、酒匂、鹿島が特別輸送艦となった他、雪風、響、松型駆逐艦の18隻、さらに海防艦や掃海艇、駆潜艇、さらには大正時代の初期に建造された旧式の敷設特務艇「測天型」の残存艇などなど多くの艦船が参加した(ただし、測天型の行動海域は佐世保、舞鶴、八戸、馬公、佐伯、大牟田、台湾などで関東近海では確認されていない)。この特別輸送艦(そしてそれ以前からの復員兵帰還輸送も含めて)としての行動は終戦直後の1945年9月から1946年第2四半期〜第3四半期のピークを経て1948年夏ごろまで続いた。

 終戦時転覆もしくは着底して“実質に沈没”していた艦や、特別輸送艦としての外洋航海に耐えられないほど状態が悪かった艦は1946年初頭から解体に着手している。先に挙げた大型艦艇では、隼鷹、龍鳳も航行できるものの損耗の程度がひどいため解体されている。

 なお、長門と酒匂は外洋航海が可能とされながらも特別輸送艦にはされなかった。この2隻は米国がビキニ環礁で実施した原爆実験プロジェクト「クロスロード作戦」に標的艦として供され、酒匂は1946年7月1日に実施された空中爆発実験で沈没し、長門も同年7月25日に実施の水中爆発実験で船体に亀裂が入り4日後に沈没している。

空中爆発実験における標的艦配置。爆心地には米戦艦「ネバダ」がいて、そのすぐ近くに酒匂と長門が配されている(Naval History and Heritage Commandから)

 また、シンガポールで航行不能のまま係留されていた妙高と高雄は、修理をした上で特別輸送艦として使用する計画もあったが、最終的には海没処分することになり、船尾が切断されていた妙高は1946年7月8日に、比較的損傷の程度が軽かった高雄も同年10月29日にマラッカ海峡の同じ海域で沈められた。

 特別輸送艦任務が終了した艦船は、多くの大型艦が解体作業に着手し、ほとんどが1947年から1948年にかけて姿を消していった。また、潜水艦と駆逐艦をはじめとする小型艦艇は1948年8月から賠償艦として連合国に引き渡されている。雪風は中華民国(台湾)に、響はソビエト連邦(現ロシア)に引き渡されてそれぞれ当国海軍で長きにわたって活動していた。

1947年5月、中華民国海軍に引き渡される雪風(Naval History and Heritage Commandから)

 これらとは別に、戦争中からの作業に従事し続けたのが掃海艦艇による部隊だ。連合軍が日本港湾や航路に敷設した機雷の除去は小型の掃海特務艇、駆潜特務艇、哨戒特務艇によって戦後も作業を継続していた。その作業は日本海軍の解体後は復員庁が引き継ぎ、その後運輸省に移管されて海上保安庁の発足を経て、現代にいたっても海上自衛隊によって継続している。

敷島は“トップガン”かもしれない

 以上、ゴジラ -1.0には関係なく、終戦直後における日本海軍の艦船動向を紹介してきた。ここで、ゴジラ -1.0の映像に関連した解説を1点だけ(とはいっても予告編で確認できる情報にとどめる)。

 登場人物の敷島浩一が身に着けている名札には「六○一空」の記載が確認できる。六○一空=第六○一海軍航空隊は航空母艦に配属する航空隊で、その所属搭乗員には高い技量が求められるため、海軍航空隊のトップパイロットが選抜される。

 同隊は1944年2月に開隊し、6月のマリアナ沖海戦に参加するも大きな損害を受け、その後は基地航空隊として硫黄島攻撃、沖縄戦、関東防空に従事する。1945年2月の硫黄島攻撃では特別攻撃隊の第二御楯隊として体当たり攻撃を実施している(ただし、零戦で構成する戦闘第三一○飛行隊は直掩機として参加している)。

ゴジラ -1.0の主役「敷島浩一」を演じる神木隆之介氏(予告編から)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2402/25/news016.jpg 8人目の赤ちゃんが誕生、兄姉たちとの初対面が愛にあふれている 300万再生の光景に「号泣です」「素敵すぎて、尊くて……」
  2. /nl/articles/2402/24/news060.jpg 小泉進次郎、生後3カ月の長女を抱く姿に「貴重なパパの顔」 2023年末には小泉元首相の“幸せじいじ姿”も話題に
  3. /nl/articles/2402/24/news009.jpg かなり危ういほど小さく、獣医師から「育たないかも」と告げられた子猫が豪快に成長し…… 現在の姿に感嘆「あー涙出ちゃう」
  4. /nl/articles/2402/25/news065.jpg 「ほんと愛でしかない」「心から尊敬します」 “6男7女の大家族”うるしやま家のスーパーママ、“15人分のお弁当作り”が神業レベルで称賛の声
  5. /nl/articles/2311/24/news117.jpg 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  6. /nl/articles/2402/24/news017.jpg 雑草で荒れた庭を柴犬のために劇的ビフォーアフター 約2万円で実現した夢の自宅ドッグランが「イイお買い物」と話題に
  7. /nl/articles/2402/25/news014.jpg 母が帰宅したと思って出迎えた猫、ふと顔をあげたら…… 想定外の事態へのリアクションに「いいねを一万個ぐらいあげたい」
  8. /nl/articles/2402/25/news059.jpg 「吉本の給料上がらず」 山田花子、“リアルな台所事情”さらし共感の嵐 割引駆使する“ママの顔”に「親近感」「見切り品も買って偉い」
  9. /nl/articles/2402/24/news007.jpg “幻の錦鯉”を入手→開封して見てみると…… 素人目でも分かる“他の鯉とは明らかに違う”姿に「こんな鯉いるのかよ」
  10. /nl/articles/2402/25/news028.jpg 赤ちゃんの目の前で横になってみたら……? 思わぬ展開に「泣いていい?」「号泣」と780万いいね【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  2. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  3. 宿題する8歳娘と、邪魔しつづける猫を1年記録したら…… 490万再生の愛がつまったやりとりに「最強の名コンビ」
  4. 真田広之の俳優息子、母の手塚理美がエール「彼なりに頑張ってる」 両親ゆずりのルックスに「イケメン」「男前」の声
  5. 野生の鯉を稚魚から育て4年後、判明した事実に飼い主「僕は今まで何を…」 激変した姿に「爆笑してしまいました」
  6. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  7. 食用でもらった車エビ、4歳息子に「育てたい」と懇願され…… 水槽で飼育した貴重な記録に「可愛い姿見せてくれてありがとう」
  8. 2歳娘とパパ、愛と平和しかないやりとりに「100億年分のストレスが消滅した」 涙が出るほど幸せな会話に称賛の声
  9. 3歳双子姉妹、17歳お姉ちゃんを修学旅行で見送ったら…… 寂しくて号泣する様子に「もらい泣きです」「愛されてますね」
  10. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「天までとどけ」長女役、芸能界の「負の連鎖」訴え 主演俳優の“お誘い”拒否し「他の演者やスタッフからも無視」「本当の事なんか誰も話さない」
  2. 田代まさし、南部虎弾さん通夜で“一団”に絡まれる騒動へ……にらみ合いの末に「ちょっと来い」「止めろよお前」
  3. 妊娠中の英俳優、授賞式での“金太郎”ドレスが賛否両論 「半裸の妊婦なんて見てられない」「ホットなママ」
  4. 「変わんないもん俺のと」 所ジョージ、ホンダ軽を超速カスタムで高級外車と“まったく同じ”外見に 「朝から楽しいよ」「完璧!」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「意識もうろう」「何も食べられない」 すい臓がんステージ4の森永卓郎、痩せた顔出しで“最悪の時期”告白 息子は「『死ぬ』が冗談に聞こえなかった」
  7. 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後…… 「時間止まってる?」と驚愕の声がやまない父子の姿が870万再生
  8. 65歳マドンナ、ワールドツアー中のダンスが“おばあちゃん”だと視聴者衝撃 「もうやめなよ」「こんなふうに終わりを迎えるなんて」
  9. 人気ブロガー医師が4年の闘病の末に42歳で逝去 夫が伝える「素敵な女性がいたということを皆様の心に残していただければ」
  10. 能登半島地震により海底が“隆起”→すさまじい様子を収めた写真に「自然の脅威を感じる」