愛猫が息を引き取る直前「ありがとう、楽しかったよ」と声を掛けたら…… 家族みんなが久々に集った夜の奇跡に涙(1/3 ページ)

「ペットロスとの寄り添い方」第22回は猫・きららちゃんです。

» 2023年12月08日 20時30分 公開
[ねとらぼ]

 多くの飼い主が一緒に暮らす動物を“大切な家族の一員”として捉え、人生をともに歩んでいます。動物と暮らした時間は長くとも短くとも、深い愛情を持って接した分、飼い主にとって人生のかけがえのない一部となり、別れは深い悲しみとなって心身に押し寄せます。

ペットロスとは

 愛する動物との死別による喪失感や混乱、後悔など、抱えきれないほどの悲しみによって心身が不安定になる状態を指す「ペットロス」「ペットロス症候群」。2023年、20歳〜69歳のペットを飼っているまたは飼育経験がある391人を対象に実施された「ペットロス」に関する調査では、「約8割が『ペットロス』という言葉を見聞きしており、約4割が実際に経験している」と発表されています(サンセルモsorae調べ)。

 飼い主にとって非常につらい経験となり、カウンセリングを要するケースもあることから、「ペットロス」「ペットロス症候群」は今、メンタルヘルス上の大きな課題として多くの人が向き合っています。動物とのこれまでの日々を忘れたり、死を乗り越えたりすることはできないかもしれませんが、時間の経過とともに受け入れ、いつかふと思い出したときにあたたかい涙がこぼれるような“寄り添い方”はあるはずです。

猫 第22回は飼い主・青田ZAPさん/猫「きらら」ちゃん

 そこでねとらぼ生物部では「ペットロスとの寄り添い方」をテーマに、読者にアンケートを実施。寄せられたさまざまなエピソードから、愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事をご紹介していきます。現在動物と暮らしている人や、悲しみの渦中にいる人に寄り添うヒントとなれば幸いです。

第22回 飼い主・青田ZAPさん/猫「きらら」ちゃん

―― きららちゃんのプロフィールと出会い、思い出や印象的なエピソードを教えてください

青田ZAPさん:きららは私の母のバレーボール仲間の方のお家で生まれた猫です。わが家の家族構成は父、母、私(長男)、弟の4人家族。当時私は中学生、弟は小学生でした。

 そこにやってきた女の子の猫だったので、それはもうかわいくて仕方なく、階段の登り方を教えたり、一緒に家の中を走り回ったりと、たくさんたくさん遊びました。

 きららとの思い出はたくさんあります。すごくツンデレな猫さんだったので、あまりベタベタすることがなかったのですが、寝るときだけは誰かの足元に来て必ず一緒に寝てくれました。

 お別れの前日、そのきららが大好きな母と背中を合わせてピッタリくっついて寝ていた光景が今でも忘れられません。生まれてすぐにわが家へやってきて、お外に出たことがなかったので、食事やしぐさ、寝相などが人間そっくりだったことが印象的です。

―― きららちゃんと別れてからの心境や、救われた出来事などがあれば教えてください

青田ZAPさん:子宮がんを患い、17歳で虹の橋を渡りました。ある日きららのおなかに腫れ物を見つけ、そこから血が出てくるようになり、動物病院へ連れて行きましたがもう手遅れでした。腫瘍があるため、その日から抱っこができなくなってしまいました。

 お別れは普段忙しくしている家族みんながそろった日の夜でした。きららはフラフラしながら歩いていて、息も絶え絶えとなっていました。それでも一生懸命歩こうとする姿を見て涙が止まらず、耐えきれず抱っこしていつも寝ている猫ベッドへ連れて行きました。

 一時期、とても元気なときは体重が7キロもあって重たかったきららが、そのときはあまりにも軽くなってしまっていて、本当に病気で辛かったんだなぁとまた涙が止まりませんでした。

 最期は大好きな母のおなかのところに潜り込むように横たわりました。息も絶え絶えの中、みんなで「ありがとう!」「楽しかったよ!」「ありがとう!」と声をかけると、きららはすごく大きな声で「にゃー」と一言鳴いて息を引き取りました。

 きっときららも「ありがとう」としゃべっていたのかなと思いました。それからは放心状態で、何も考えることができませんでした。ちなみに虹の橋を渡ったその日が17歳のお誕生日の日でした。

 お別れしてからは猫の画像を見るだけでも涙が止まらず、なるべく考えないようにしていました。仕事中などもふと思い出したり、スマホにたくさん保存してある写真や動画を見てしまったりするとそれだけでも涙が止まらなかったです。

 何よりも夜、布団に入ったときに足元の重さを感じなくなったことが一番寂しさを助長しました。16年間も一緒にいて、きららがいることが当たり前の生活になっていたので、常にお家のどこかにいるような気がして仕方なかったです。

―― 現在の心境を教えてください

青田ZAPさん:1年たっても2年たっても猫ロスは続きました。家族とも話し合って何度か保護猫譲渡会などにも行ったのですが、行く度にいろいろな猫さんを見ては涙が止まらなくなってしまい、新しい猫さんを迎えることすらも考えられませんでした。

 そんな中、新型コロナウイルス感染症がまん延し、外出自粛になってしまいました。私がグラフィックデザイナーの仕事をしており、その期間中イラストを描くこともありました。そのイラストできららの生きた証を残すことができないかと考え、絵本を描くことしました。

 16年間、ずっと家猫でお外の光景を知らなかったので、絵本の中でたくさん旅をすることができればと思い、描き始めました。それを自身のInstagramアカウント(@bucha_fuppu)で投稿するようになり、今では600話を越えました。

 その投稿を通してたくさんの他の猫さんや飼い主さんと出会い、フォロワーさんのお家へご招待いただき猫さんに会いに行くなど、新しい交流が生まれるようになりました。

 そうした出会いの中で少しずつ、猫ロスが薄らいできた気がします。きっときららが新しい出会いを作ってくれて、悲しんでいた気持ちを新しい方へ向けてくれたのかなと感じています。

 新型コロナウイルス感染症による自粛が明けた今は、仕事も元通りに忙しくなってしまい、少し投稿をお休みしていますが、時間ができたときにまだまだ描き続けていきます。

 ちなみに2022年、きららが虹の橋を渡って3年たったとき、父と母がサプライズで新たな猫さんを家族として迎えました。しかも今度は姉妹猫! 2匹の猫さんがやってきて、きららとは全く違う性格のやんちゃな姉妹がまた家中を走り回っています。

―― きららちゃんに伝えたいメッセージ

青田ZAPさん:私や弟が青春真っ只中のときにお家にやってきて、常に癒やしの存在になってくれました。家族の会話もきららがきっかけになることも多く、家の中も常に明るく、笑いが絶えませんでした。

 人生のいろいろな節目に必ずそばにいてくれて、寄り添ってくれたきららは立派な家族の一員です。本当にありがとう。いずれまた、会おうね!

(了)

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news174.jpg 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  2. /nl/articles/2404/26/news154.jpg 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/12/news174.jpg 築年数不明の平屋にある、ボロボロ床板をはがしてみたら…… 発覚したヤバい事実に「ビックリ!」「大丈夫でしたか?」心配と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/26/news022.jpg ママの足にくっつく生後7カ月の赤ちゃん、甘えてるのかと思いきや…… 計算された行動と「ちいこい後ろ姿がかわいすぎ」て目が離せない
  6. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  7. /nl/articles/2404/25/news069.jpg “作画軽減ガンダム”をガンプラで作成 → 使用パーツも最小限の再現ぶりに「完全に一致」「部品軽減ガンダム」
  8. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  9. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  10. /nl/articles/2404/26/news024.jpg 0歳赤ちゃん「(ママ来たっ!)」→喜びが抑えきれなくて…… 尊すぎるダンスが300万再生「心が浄化されていく」「朝から癒やされました」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」