“子ども時代に、大切なものを奪われてはいけない” 「屋根裏のラジャー」西村義明 1万4000字インタビュー(7/10 ページ)
――他にも、キャラクターのディテールや背景で、本編で描ききれていないことってありますでしょうか。
例えば、猫のジンザンを想像した子どもには、脚本では、アル中の親がいたんですよ。その子とジンザンは昼間は楽しく遊んでるんだけど、夜にその子はいつも寝る前に、「ジンザン、眠らないでそばで見張ってて」とお願いしてから眠りにつく。ジンザンの目を信号機のように想像してね。夜が更けると、扉がガチャガチャガチャって鍵を開ける音がして、階段を上がってきた親父は、その子に毎晩ひどいことをしていた。でも、ジンザンはイマジナリだから、その子を助けることはできない。見張っていてくれと想像されたから、嫌でも目を背けることはできない。幸福な子どもだけではないんです。見えない所で悲しい想いをしている子たちにも、イマジナリは必要だった。だから、イマジナリが生まれるのには理由があるというような台詞をジンザンは言ったりする。
ジンザンは、あの図書館の中で唯一「二度と人間の子どもにも大人にも会いたくない」と思っているイマジナリだった。他のみんなは「また友だちと遊びたいな」と願っているけど、ジンザンだけは「この子のつらさを見続けるくらいなら、忘れてくれたほうがどんなに楽だろうか」という気持ちを持った唯一のイマジナリです。だからイマジナリの町にたどり着いたジンザンは、人間の子どもと遊ぶ仕事をしていない。みんなとは違う仕事である見張り役を買って出た。町を出ては、消えかかる前のわずかな時間を使って、他の忘れられてしまったイマジナリを見つけては町に連れてくる。ジンザンが悟っているような口調なのは、知性があるとか悟りではなくて、人間への諦めです。
脚本段階ではその人間嫌いのジンザンがラジャーの気持ちにほだされて人間の想像の中へ飛び込むところに彼自身の物語があると思っていたんですが、百瀬監督があまりにつらいと(笑)。削られて、映画のような程度に収まりました。
バンティングはなぜああなったのか
――悪役のバンティングにしても、「どうしてああなったのか」の理由は語られませんが、いろいろと想像がおよびますよね。
バンティングが子どもだった頃のことを、みんなあまり想像しないでしょうね。大人になると、自分自身が子どもだった頃のことなんて、なかなか思い返さないですし。僕は職業がら時々「この人ってどんな子どもだったんだろうな」と想像するんです。こういう大人になった理由には何かがあったのかとか想像したりする。だから、バンティングも「なぜああなってしまったのか」と考えるんですよ。イマジナリを思い続けること自体は決して悪ではないから。かくいうぼくも時々、脳内で高畑(勲)さんと対話したりしますしね。それは一種のイマジナリーフレンドでしょうから。
数百年前に生まれたというのは、原作の中の特殊な設定ですよね。そんな人間、いやしないから、嘘です。でも、その嘘を真実に変えるためには具体を詰めるだけでは足りなくて、やはり抽象に昇華する必要があるだろうことは分かっていた。
これはまぁ、作り手の戯言として聞いてください。バンティングは大昔に裕福な家庭に生まれたんです。お屋敷でお手伝いさんにだけ囲まれて育ったような少年だった。彼はウサギのぬいぐるみを持っていて、それはバンティング坊やにとってはいわば「ライナスの毛布」でもあったのですが、厳格な親父から「バンティング家の長子ともあろう者がぬいぐるみ遊びなどするな」と強く叱責され、その人形を暖炉の火に投げ入れて燃やされてしまった。そのウサギのぬいぐるみは、バンティング坊やの人形というよりも、バンティング坊やのイマジナリたる少女が愛していた人形だったんです。かすがいだったんですね。うさぎの人形が父親によって暖炉に投げ入れられたとき、バンティングにはイマジナリの少女が同時に燃え盛る暖炉の中に飛び込んで行く姿が見えた。
バンティング坊やの目の前で、人形は燃えて灰になった。少女のイマジナリは炎の中に消えてしまった。バンティング坊やは気が狂ったように泣き叫びながら、どうにかあの少女を取り戻そうと、燃えた人形の灰をかき集めて飲み込んだ。灰を飲み込み、再び自分の中から湧き出ることを願った。でも、もう燃えてしまった人形のごとく、彼女は戻らなかった。どうにか想像して出てきたのが、黒髪の少女だった。燃えカスとしての、心理的虚無としての色味のない少女だった。
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