地震で断水、解消まで約5日間 自宅で過ごすために役立ったもの・用意しておけばよかったもの(2/4 ページ)

» 2024年02月03日 11時00分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]

キッチン・ダイニング

 鍋を使って煮たりゆでたりするのは、水を大量に消費するため、なるべく避けました。また、フライパンで焼いたり炒めたりすると「油汚れ」が発生し、洗浄にたくさん水を使うので断水が解消されるまでは控えました。

令和6年能登半島地震断水経験 ラップで包んで作ったキャベツと薄揚げの煮物

 加熱調理は食材をラップでくるんだり、アイラップに入れたりして電子レンジで蒸したり煮たり。汁気が多いときはそうした上で、レンジ対応の容器に入れました(煮汁は少なめ)。焼くときはアルミホイルを敷いてグリルやオープントースターで加熱しました。調理中に飛び散った汁気などは、キッチン用アルコールをひと吹きしたキッチンペーパーで拭き取りました。

令和6年能登半島地震断水経験 正月食材を消費するために、アイラップで肉なし炊き合わせ

 菜箸やトングの代わりに割り箸を使用。食材のカットにはキッチンバサミか、アウトドア用の小さなまな板と果物ナイフを使いました。普通の包丁とまな板よりも、洗浄する際、使う水が少なそうだったからです。まな板シートがあればそれほど神経質にならなくて済んだかもしれません。また、使用済みの牛乳パックをまな板として使うやり方もありますが、定期的に牛乳を買って飲む習慣がないのでできませんでした。

 食器はアウトドア好きのパートナーから聞いた、器の盛り付ける部分をラップで覆うという方法を使用しました。使用後はラップの汚れが器につかないようにそっとはがし、アルコールティッシュで拭きました。しかし、深い器だと形に添ってラップをかぶせることは難しく、元の形よりもだいぶ浅くなっていまいます。なので、鉢のようなものに入れたい場合は、使い捨ての発泡スチロールのお椀(2日にホームセンターで購入)を使いました。飲み物は使い捨ての紙コップが便利。食後のテーブルは、アルコールティッシュできれいにしました。

令和6年能登半島地震断水経験 ラップをかぶせたお皿と発泡スチロール製の椀

食べ物・食材

 上の項目とかぶりますが、なるべくカットや手間がかかる調理を必要としないものを購入しました。カット野菜、カットベーコンなどの冷凍食品、漬物(カット済み)、電子レンジ調理可能なレトルト食品を使うことが多かったです。もともとご飯を多めに炊いて冷凍しておく習慣があったので、パックご飯を購入することはありませんでした。

令和6年能登半島地震断水経験 3日目にコンビニで買った食糧。その後、近所のスーパーが営業していることを知り、食べ物を買い足しました

 また、食器すら不要のカップ入りのもずく酢やめかぶ、カップめんは本当に便利でした。果物では冷蔵庫に入れる必要がなく、手で皮がむけるタイプの柑橘(みかんやぽんかん)が食べやすかったです。お正月という季節柄、餅やおせちがあり、調理に手間がかからず比較的日持ちがするので助かりました。

 一方、被災時に備えるべきものとして上がることの多い缶詰ですが、家にはあったものの断水中は食べませんでした。中身が魚だったため、食べた後のにおいの残る缶を洗うのに結構水を消費しそうに思えて避けました。また、袋入りのインスタント麺も買いましたが、1杯につき水を400〜500ミリリットル使うと思うと食べる気になれず、食べたのは断水が解消されてからでした。

お風呂

 断水が解消するまでは自宅で入浴ができません。ウェットタオルで髪や体、顔を拭いたり、地元で無料開放している公衆浴場に行ったりしていました。ドライシャンプーを持っておらず、慌てて買おうとしたのですが地震後に一気に需要が増えたのか近隣の店では見つけられず、ウェットタオルで拭くだけでは地肌は不快なままでした。

 地震でお風呂が使用できなくなった人に無料開放している浴場に入るときには、ボディソープ、シャンプー、リンス、タオル、桶が必要でした。広い浴槽で温かいお湯につかれるのは心地よく、無料で利用できるのは本当にありがたかったです。ただ、多くの人が入るので入浴時間に制限があり髪を充分に乾かすことができず、また天候が悪い日は湯冷めしそうだったので頻繁には行きませんでした。

 断水してないときより洗濯の頻度が下がったので下着が足りなくなりそうで、自分のものもパートナーのものも靴下、パンツ、シャツを3セットずつスーパーで買い足しました。いつも購入する衣料店よりも高くついたように思います。タオルも公衆浴場に行くたびに数枚ずつ使いましたが、使わずにとっておいたものが5枚ほどあったので買う必要がありませんでした。

令和6年能登半島地震断水経験 ユーフォリア千里浜 お風呂の無料開放を利用するための整理券。試行錯誤されているようで運用はたびたび変わりました。断水中は別の入浴施設にも行きました

洗濯

 自宅で下着などを手もみ洗いするときはバケツ、風呂場の桶、ゴム手袋を使用しました。ゴム手袋は普段から掃除や洗濯するときの漂白に使うのでもともと持っていました。ゴム手袋は冷たい井戸の水をくむときにも役に立ちました。

 コインランドリーは4日から営業を再開する店舗が出てきましたが、たくさんの人で非常に混み、フル稼働させたためか洗濯機や乾燥機の中には故障しているものもありました。いつも使っているところが路面店で混んでいたので、初めての場所を利用しました。そこで使えるプリペイドカードは持ってなかったので、現金が役立ちました。

トイレ

 断水中は水が流れないので、使用後はペットボトルの水を便器に注いで流そうとしていました。ここは反省点なのですが、バケツの水で一気に流す必要があったようです。「小」の場合でも4リットルは必要だそうで、2リットルペットボトルでは中途半端にしか流れず、通水する3日までトイレが不快な空間になってしまいました。

 ただ、同じ市内でも、下水管が壊れてしまい全面復旧工事中のため、キッチン、浴槽、トイレ、洗面所に水が流せない地域もありました。そんな事態に備えて、便器にセットして使用する災害用のトイレを備えておく必要もありそうです。

その他

 2日までは全く水が出てこず、不安で食欲がわかず、便秘になってしまいました。通水してからも、食欲がもどってからもお腹が張る日が続いたので胃腸薬を飲みました。また、3時間弱並んでポリタンクを買った後は寒さで頭が痛くなり、頭痛薬を飲んでしばらく寝ていました。もちろん激しい痛みなど深刻な症状が出ている場合は病院で診てもらった方が良いですが、地震で医療がひっ迫しているので、市販薬で対処できる範囲であればセルフケアできるように、常備薬をそろえておきましょう。

 節水や調理の手間を省くために、普段よりレトルトの袋やプラスチックトレー、ラップ、アルコールティッシュなどのゴミが多くなりました。また、ごみ処理施設も被災しており、しばらく資源ごみが回収できなくなっていました。私は2023年末にゴミ袋を買いだめしていたので、プラゴミなどが多く出ても不足する事態にはなりませんでした。

 能登は車社会なので、ガソリンの確保が重要になります。地震直後は営業しているガソリンスタンドが限られていて、営業中のスタンドには給油に来た車が殺到し車道にはみ出して渋滞を招くくらいでした。たまたまガソリンを多めに入れていたため2週目まで入れる必要がありませんでした。生活に車が必要な人は遠出をする予定がなくても、ぎりぎりの残量にならないように気をつけておいた方がいいでしょう。

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