「死んだら一片の鉱物になる」がただひたすらに美しい マンガ『鉱物願望シリーズ』が染み渡る優しさ(1/2 ページ)

死んだ後に遺るものが、鉱物ならば――「生きている」今を味わってほしいマンガ。

» 2024年02月06日 14時00分 公開
[西尾泰三ねとらぼ]

 死んだら一片の鉱物になる――詩的なコンセプトで描かれた守田うせきさんのマンガ『鉱物願望シリーズ』が、ネットで1435万件以上のインプレッションに達する注目を集めています。

鉱物願望シリーズ

 本記事では、守田うせきさんへのインタビューと併せて、マンガ本編を掲載します。

『鉱物願望シリーズ』をまとめて読む

『鉱物願望シリーズ』作品紹介

 とある遊廓に売られてきた少女が、そこで暮らす遊女・青天に引き受けられます。

鉱物願望シリーズ

 白銀の髪に虹色の瞳を持つ少女に、“白虹”と名を付ける青天。周囲からは変わった容姿を疎まれるものの、青天は白虹をよくかわいがり、白虹もまた、青天の下でかむろのように仕える日々を送ります。

鉱物願望シリーズ
鉱物願望シリーズ

 それから少し時が流れ、肺の病を患った青天。自らの死期が遠くないことを白虹に明かし、「死んだら灰になる」「底なし沼の様な処に吹き溜まる」と死生観を語った後、白虹の言葉に押されて、「死んだら琥珀(こはく)になろう」と翻意して白虹を少しだけ安心させるのですが、その直後に病状が悪化し、ついには床に伏してしまうことになります。

鉱物願望シリーズ
鉱物願望シリーズ

 もう長くないであろう青天は、見舞いにやってきた白虹を逆に鼓舞。下を向かず上を、空を仰いで生きるよう伝え、白虹も青天への感謝を口にするのでした。

鉱物願望シリーズ

 物語はその後、かねて青天が神社で祈っていた内容が明らかとなり、冗談めかして話していた「死んだら琥珀(こはく)になろう」も思わぬ形でかなうことに。喪失感と青天が残したものを胸に、白虹は新天地で生きていく決意を新たにするのでした。

 短編で構成される『鉱物願望シリーズ』は、ナンバーナインからコミックスが2020年に刊行(全5巻)。青天と白虹の物語はシリーズ第1弾『初空アンバー』のタイトルが冠され、2023年12月に「容姿を疎まれた少女が遊女に拾われる話」としてX(Twitter)で紹介されると、現在までに1435万回以上のインプレッションに達する注目を集めました。

『鉱物願望シリーズ』作者・守田うせきさんインタビュー

――― 『鉱物願望シリーズ』制作のきっかけ、このテーマで描こうと思った理由などありましたら、お伺いできますか?

 私は「死ぬこと」に対して恐怖があって、死ぬということの何がそんなに怖いのかを考えていた時期がありました。そこでたどり着いたのが、「死んだ後」が1つの理由に挙げられるな、と思い至り、そのことを消化したくて描き始めました。

 あと、鉱物を眺めるのが好きなことも理由の1つです。

――― 『鉱物願望シリーズ』のコンセプト「死んだら一片の鉱物になる」に込めたメッセージ、考え方などをお聞きしたいです。

 前述した通り、死んだ後に遺るものが、鉱物ならば、誰の迷惑にもならないし、美しく終われるし、全く何にも遺らないわけではない……という思いと、もう1つは、みんな等しく死ぬことは決まっているのだから、最後に美しく終われるのならば、それまでは生きていてもいいかとか、そんなふうに「生きている」今を味わってほしいということをこっそり込めています。

――― 制作で特に力を入れたところ、こだわったポイントは?

 とにかく自分にとって、美しい世界が見たかったので、ただひたすら美しいことにだけは力を入れてるところはあります。

――― うれしかった読者からの反応・感想などはありましたか?

 大変申し訳なく思うのですが、コメントや反応を極力見ないようにしています。

 うれしい言葉もあるのは知っているのですが、そこに混ざってくる悪意もあるのを私は知っているので、人の反応は基本見ないです。

 ただ、何かしら感じていただけたのでしたら、うれしいです。ありがとうございます。

――― 本作の他には、どんな活動をされていますか?

 私はただのオタクなので、二次創作もするし、あと、「やりたいことをやりたい時に」がモットーなので、その時やりたいことをしている感じです。創作もまた描きたくなったら描くと思います。

 紹介したい、というのは少し違うのですが、『鉱物願望』の他『そうしてここに残るもの。』という作品も各電子書籍ストアで配信をしています。私の作品は読み切りですが、全ての世界がつながっているので、他の作品も見ていただけると何かしら見つかるかもしれません。そこも楽しんでいただけるとうれしいです。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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