小学館編集部、芦原さん急死に対して声明 「著者の意向は必ず尊重」「意見を言うことは当然との認識が再発防止」(1/2 ページ)

「社外発信する予定はない」とした報道から一転。

» 2024年02月08日 18時55分 公開
[ねとらぼ]

 「二度と原作者がこのような思いをしないためにも、『著作者人格権』という著者が持つ絶対的な権利について周知徹底し、著者の意向は必ず尊重され、意見を言うことは当然のことであるという認識を拡げることこそが、再発防止において核となる部分だと考えています」――。

 2月8日、「セクシー田中さん」などを手掛けた漫画家の芦原妃名子さんが急死したことを受け、寄稿していた『姉系プチコミック』が所属する小学館第一コミック局編集者一同の名義で声明が発表された。

姉系プチコミック声明 漫画『セクシー田中さん』(出典:Amazon.co.jp

「著者の意向が尊重されることは当たり前のことであり、断じて我が儘や鬱陶しい行為などではありません」

 「作家の皆様 読者の皆様 関係者の皆様へ」と題した文章の冒頭には、芦原さんの訃報に接し、編集部が深い悲しみと強い悔恨の中におり、このメッセージが「現場の編集者」の偽らざる声であるとつづった。

 メッセージでは著作権について触れ、作家には「著作財産権」と「著作者人格権」があり、「著作財産権」が利益を守る権利に対し、「著作者人格権」は著者の心を守るための権利と紹介。「著者の許可なく改変が行われないよう作品を守るための『同一性保持権』をはじめ、『名誉声望保持権』『氏名表示権』『公表権』『出版権廃絶請求権』『修正増減請求権』があります。これらの全ては契約を結ぶまでもなく、著者の皆様全員が持っている大切な権利、これが『著作者人格権』です」と説明している。

 亡くなった芦原さんは、自身の著作である『セクシー田中さん』が日本テレビで実写ドラマ化された際に、提示していた原作順守の約束を反故にされたとして問題提起している。編集部は「その当然守られてしかるべき原作者の権利を主張された芦原先生が非業の死を遂げられました」と、ドラマ放送前に発売されたコミック冒頭のメッセージに言及。

 芦原さんはメッセージの中で、ドラマについて原作から大きく逸れた箇所はしっかり修正していると述べるとともに、「恐らくめちゃくちゃうざかったと思います」とも語っている。

 それに対し、「著者の意向が尊重されることは当たり前のことであり、断じて我が儘や鬱陶しい行為などではありません」「守られるべき権利を守りたいと声を上げることに、勇気が必要な状況であってはならない」と当然の権利であると表明している。

 編集部は二度と原作者が芦原さんのような思いを抱かないためにも、「『著作者人格権』という著者が持つ絶対的な権利について周知徹底し、著者の意向は必ず尊重され、意見を言うことは当然のことであるという認識を拡げることこそが、再発防止において核となる部分」と考えているという。

 今後についても「他に原因はなかったか。私たちにもっと出来たことはなかったか。個人に責任を負わせるのではなく、組織として今回の検証を引き続き行って参ります」と述べている。そして、映像化の際には原作者を第一とし、ドラマ制作サイドと編集部の交渉の形を具体的に是正していくとした。

芦原さんの意向がドラマ制作サイドに伝わっていなかったのではないか

 声明には芦原さんの意向がドラマ制作サイドに伝わっていないのではなかったのかとの疑念についても触れている。

 それによると、『セクシー田中さん』第7巻冒頭コメントは、2023年8月31日付で公表されているもので、ドラマ放送開始日である2023年10月22日よりも2カ月近く前に書かれていると言及。ドラマ放送開始前に7巻が発売されているという時系列からも、ドラマ制作に携わるスタッフに作者の意向が伝わっていた状況は事実であると説明している。

 芦原さんの意向をドラマ制作サイドに伝え、交渉の場に立っていたのは、小学館の担当編集者とメディア担当者であり、ドラマ制作サイドに意向を伝え、芦原さんが納得するまで脚本を修正、意向が反映された内容で放送されたものがドラマ版『セクシー田中さん』だと説明している。「そこには、ドラマのために先生が描き下ろしてくださった言葉が確かに存在しています」と編集部。

最後に「寂しい」

 編集部は最後に、読者と漫画家に対して声明を出すのが遅くなったことを謝罪。「これまで以上に漫画家の皆様に安心して作品を作っていただくため、私たちは対策を考え続けます」と決意をつづっている。この文章を書くにあたり熟慮を重ねたうえで、「それでもどうしてもどうしても、私たちにも寂しいと言わせてください。寂しいです、先生」と編集者の声を掲載した。

姉系プチコミック声明
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/08/news177.jpg イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  2. /nl/articles/2411/06/news180.jpg 「むりだろww」「笑いました」 ニトリでソファ購入 → 愛車の前でぼうぜん…… “まさかの悲劇”が1000万表示
  3. /nl/articles/2411/07/news182.jpg 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  4. /nl/articles/2411/07/news163.jpg 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. /nl/articles/2411/05/news138.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  6. /nl/articles/2411/08/news132.jpg peco、息子の近影を公開「すごーくりゅうちぇるに見えます!」「パパに似てる〜」 息子のスクールランチも色とりどりでおいしそう
  7. /nl/articles/2411/08/news143.jpg 高嶋ちさ子、3000万円超の“超高級外車”ゲットにドヤ顔も! 笑い止まらずハンドル握り「Woohoo!!!」
  8. /nl/articles/2411/07/news029.jpg 50代主婦が5日間、ひたすら草抜き&庭木の剪定→たった一人でやり遂げたとは思えないビフォーアフターに称賛の嵐 「尊敬する」「本当に脱帽です」
  9. /nl/articles/2411/08/news025.jpg 「そうはならんやろ」クルマ修理会社の壁を見ると…… まさかの“シュールすぎるイラスト”に9万いいね 「よすぎる」「天才か」
  10. /nl/articles/2411/08/news111.jpg 2人組ガールズユニット、突然の脱退を発表 マネージャー「本人の意思ではない」 母親とする人物からの脱退理由と経緯説明が物議
先週の総合アクセスTOP10
  1. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  2. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  3. 結婚相手を連れてくる妹に「他の人に会わせられない」と言われた兄、プロがイメチェンしたら…… 「鈴木亮平さんに見えた」大変身に驚がく
  4. 「2007年に紅白出場」 38歳になった“グラビア界の黒船”が1年ぶりに近影公開→驚きの声続々
  5. 「クソビビったwww」 ハードオフに38万5000円で売っていた「衝撃的な商品」が90万表示 「売った人突き止めたい」
  6. 夫婦喧嘩した翌朝の弁当を夫が作ったら…… “森”すぎるビジュアルに「インパクトすごい」「最高に笑いました」の声
  7. 約9万円の「高級激レアガンプラ」を10時間かけて制作→完成品に「家宝だ」「めっちゃくちゃにかっこいい!!」
  8. 天皇皇后両陛下主催の園遊会、“お土産”に注目 ジョージア大使「大好物です」「娘たちからも大好評」
  9. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  10. 事故で重体の人気日本人TikToker、1カ月の意識不明と家族ケア経て逝去……“旅立ち直前に会った”親友は「励ましに来てくれてたのかな」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた