「ここでしか手に入らない」と書かれていたのに…… 角川「くじ引き堂」への不満訴える投稿に注目集まる 運営元と弁護士の見解は(2/4 ページ)
くじ引き堂の見解
ねとらぼ編集部はくじ引き堂を運営するKADOKAWAに、購入者からの不満をどう受け止めているか、なぜ国内外で販売方法が違うのか、「ここでしか手に入らない」という文言が不当表示に当たるのではないかとの指摘への見解、返金対応などを行う予定はあるかについて問い合わせました。回答は下記の通りとなります。
まず、「くじ引き堂」のオンラインくじの対象商品の販売につき、日本国内では「くじ引き堂」でのくじ形式による販売のみとさせていただいております。他方で、日本国外への販売は「くじ引き堂」においては行っていないため、一部のオンラインくじの一部対象となる商品について、販売店を通じて日本国外のお客様への個別販売を実施する場合がございます。また、各販売店においては、対象商品の日本国内のお客様への販売は行っておりません。
以上のとおり、日本国内のお客様に対しては、「くじ引き堂」を通じてのみ対象商品を提供させていただいております。
なお、抽選結果を伴うサービス特性上、対象商品についての返金およびキャンセルは不良品の場合を除き、承っておりません。
以上、本件でお客様より頂戴いたしましたご意見・ご要望につきましては、弊社全体で継続的に協議を行い、お客様によりお楽しみいただけるサービスとなるよう尽力する所存でございます。
弁護士の見解
SNSで指摘されているように、「ここでしか手に入らない」の広告表示は景表法の不当表示に当たるのでしょうか。消費者庁に問い合わせましたが、「個別の件については回答できない」とのこと。法的な見解について、ベリーベスト法律事務所の杉山大介弁護士に伺いました。
杉山弁護士によると、一般論としては、キャンペーンで「今だけ」などの形で顧客を誘引した場合、その「今だけ」という前提条件が異なっていた場合には、有利誤認として問題になるといいます。
「特に、今回のようにくじ形式で購入できるものにランダム性があり、かつファン(オタク)のコレクションしたい欲求などに訴えかける形式をとっていると、期間内に何度もくじを引かせるような効果も生じるため、消費者保護の観点からも問題になりやすい形だとは思います」(杉山弁護士)
KADOKAWAがくじ引き堂で広告・販売した商品を、別途海外向けに販売店を通じて販売していることから、問題提起の前提条件はそろっていると思うとしつつも、同社の主張に理はあると杉山弁護士は述べています。
KADOKAWAのロジックとしては、「日本語の広告でリーチしようとしたのは日本にいる日本語を理解する顧客のみであり、海外向け販売については日本の顧客が購入できないようにもしている。広告を見た人たちが認識した『ここでしか手に入らない』に誤りはない」というものだろうと杉山弁護士。
「各販売店においては、対象商品の日本国内のお客様への販売は行っておりません」が事実であれば筋は通っており、また1次的な直接入手ルート以後の2次的な取引(再販売、転売)にまで言及した広告表示ではないと思われるため、KADOKAWAの主張に理はあるとの見方を示しています。
「景品表示法の観点も十分に検討して、用意している方法と感じますね」(杉山弁護士)
その上で、(「ここでしか手に入らない」を)広告として表示した「一般消費者」と、新たに国外で販売対象にした「一般消費者」が、別市場として分けられているのかどうかで、有利誤認となるかが決まると杉山弁護士は語っています。
“ランダム商法”への不満
りんさんの投稿が注目を集めた背景には、アニメやゲームなどのグッズに見られるランダム形式で販売する手法へのファンの根深い不満があります。
取材したAさんは、SNSなどで「ランダムでなければ(人気の関係で)グッズすら出せないキャラもいる」という擁護の意見も見るものの、コーヒートークのくじ景品が海外向けに販売されることで「老若男女入り混じったキャラクター13人分のアクスタもランダムじゃなくてきちんと受注で販売することが可能ということがわかりました」と、日本のファンから搾取しようとしていると感じてしまうと話していました。「もちろん企業側はお金を得るためにグッズを販売していることは重々承知していますが、ファン心理としては気持ちよくお金を払いたいなと思ってしまいます……」
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