追いかけっこで敵をハグ 肉弾戦をしない「わんだふるぷりきゅあ!」が切り開く新時代のプリキュア:サラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)
わんぷりは「パンチ」も「キック」もしない、新時代のプリキュアなのです。
肉弾戦を描かない、新時代のプリキュア「わんだふるぷりきゅあ!」。
戦闘スタイルが「追いかけっこで、抱きしめる」になったことにより、ご家庭での「プリキュアごっこ」に革命が起こるかもしれません。
kasumi プロフィール
プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。
- これまでのプリキュア連載一覧
「わんだふるぷりきゅあ!」スタート!
プリキュアシリーズ第21作目「わんだふるぷりきゅあ!」(以降わんぷり)が2024年2月4日にスタートしました。本作は「ペットの犬がプリキュアになる」という新機軸を打ち出しました。
タイトルが平仮名表記の「ぷりきゅあ」になったのは、「一番幼いファン層である3歳くらいの子どもたちにも作品名を自分で読んで理解する楽しさを味わってもらいたい」(引用:『アニメディア』2024年3月号 P72)との理由からです。
主人公、キュアワンダフルは「飼い犬」です。本作では犬が人間の姿になって、さらにプリキュアに変身する、2段階変身スタイルをとっています。
この犬のプリキュア、てっきり人型になれば「ヒト的な思考」をするのかと思いきや、どちらかというとプリキュアの姿になっても「犬寄りの思考」なのが新鮮で面白いですよね。元気に走り回ったり、「待て」をしたりと、ある意味これまでに全くいないタイプのプリキュアとなっています。
「肉弾戦」がない?
さて、「わんぷり」は第4話まで放送されましたが、驚くべきことに本作ではこれまでのプリキュア作品では必ず描かれた、いわばプリキュアのアイデンティティーの一つだと思われていた「肉弾戦」が全く描かれないのです。
いわゆる「パンチ」や「キック」で戦うことは一切なく、基本的に敵(ガルガル)と「追いかけっこ」をして、つかまえて「抱きしめる」ことにより敵が浄化され、元のどうぶつの姿に戻る、というスタイルとなっています。
「肉弾戦の封印」自体は「キラキラ☆プリキュアアラモード」(2017年)でも行われていましたが、あちらではパンチやキックはないものの「クリームエネルギーで戦う」描写となっていて、「戦闘」自体はありました。
しかし、今作「わんぷり」では、「敵への攻撃」自体が描かれないのです。
敵の攻撃を避け、追いかけてつかまえて、最後は抱きしめる。それが本作の戦闘スタイルの基本となっています。
とはいえ、追いかけっこで「派手なアクション」も描かれますし、プリキュアが強いことも分かります。パンチやキックをしなくても「女の子だって暴れたい」を見せることができているのですよね。
キュアワンダフルの決めゼリフ「いっしょに遊ぼ♪」、キュアフレンディの「あなたの声をきかせて」も戦いを全く連想させず平和的なものとなっています。
「プリキュアごっこ」に革命が起こる?
そして戦闘シーンが「追いかけっこで敵を捕まえる」になったことにより「全国のご家庭でのプリキュアごっご」に大きな革命が起こることが予想されます。
自分も娘が小さかったころに経験がありますが、家庭でのプリキュアごっこにおける「娘の本気パンチ」は、父にはけっこう大きなダメージなのです。ちゃんと痛いのです。
しかし、今作のプリキュアごっこでは、敵役のお父さんお母さんが、娘や息子と「追いかけっこ」をして、さらに子どもに追い付かれたら最後は「子どもに抱きしめてもらえる」のです。それはなんと尊い光景なのでしょうか。
そう。本年度は、子どもと保護者、双方にメリットしかない平和で幸せな「プリキュアごっこ」が行われる(はず)です。
これはプリキュアの歴史において「一つの発明」なのではないのかと思うのです。
これまで一方的に倒される役だったお父さんお母さん、今年のプリキュアごっこは痛くないですし、最後は子どもにハグをしてもらえます!(多分)
保護者側からも積極的にプリキュアごっこをしたくなる、そんな作風なのです。
いまだに「プリキュアは暴力的なシーンがある」という認識でお子さまに視聴をさせない保護者もいる、という話も聞きます。また「戦闘シーン」自体が怖くて見られないお子さまもいる、という話もあります。本作ではそのあたりの問題も解消されるのかもしれません。
ただこの先、敵の姿や目的などがはっきりしてくると「戦いの描写」もでてくるのかもしれませんね。この先の戦いの描写がどんな感じになっていくのかも注目です。
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