追いかけっこで敵をハグ 肉弾戦をしない「わんだふるぷりきゅあ!」が切り開く新時代のプリキュア:サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)
「肉弾戦」をなくした理由
戦闘描写を「追いかけっこで抱きしめる」ことにした理由を、「わんぷり」のプロデューサー、高橋麻樹(「高」ははしごだか)さんはアニメ誌のインタビューで、「どうぶつを傷つけてはいけない、という観点から(肉弾戦ではなく)チェイスアクション風にした」と語っています。
「わんぷり」は動物を助けるお話なので、追われている動物を傷つけてはいけないという観点から、チェイスアクション的な描写、つまり敵を追いかけて暴走を止めようとする描き方を意識しています。
動物のみならず、泣いている赤ちゃんなども撫でたりハグをしたりすると落ち着きますよね。ガルガルした心を落ち着かせてあげるように、敵を攻撃するのではなく、抱きしめて浄化する、元に戻してあげるという描写を採用しています。
Gakken『アニメディア』2024年3月号(P73)
「わんぷり」を見ている子どもたちが、リアル世界でもどうぶつに優しく接することができる様な描き方となっています。
また、「わんぷり」の制作に関してドッグトレーナーやトリマーさんにも事前に取材していること、スタッフのなかにも獣医師やドッグトレーナーの資格を持った人もいるなど、どうぶつの描写に関しても万全の体制のようです。
出てくるどうぶつの習性やしぐさの描き方も丁寧ですし、第3話では「犬にグミを食べさせてはいけない」ということもきちんと描かれました(人間の姿になってから食べていました)。
動物をここまでメインに立てて描くプリキュアは初めてではありますが、ドッグトレーナーさんやトリマーさんにも取材させていただきましたし、さらにスタッフの中にもドッグトレーナーや獣医の資格を持った方がいて、作品として各方面から素敵なご縁を頂戴しています。
Gakken『アニメディア』2024年3月号(P73)
どうぶつ、特に飼い犬や飼い猫などを子ども向けの物語で扱うのは難しい部分もあるかと思いますが、そういった「どうぶつと子どもの関係性」に関しても信頼できる描写になっていくものと思われます。
シリーズ構成は「オトナプリキュア」の成田良美さん
「ペットのワンちゃんが変身」「追いかけっこで抱きしめて浄化」など、ほのぼの路線で始まった「わんぷり」。しかし「わんぷり」がこのまま、ほのぼの路線だけで終わるとは思えないのですよね。
本作のシリーズ構成は成田良美さん。成田さんは「Yes!プリキュア5」(2007年)、「Yes! プリキュア 5 GoGo!」(2008年)、「ハピネスチャージプリキュア!」(2014年)、「キボウノチカラ〜オトナプリキュア'23〜」(2023年)のシリーズ構成を手掛け、人間関係のしがらみなど、比較的「ヒトの心の深淵」に踏み込んだ作風が得意な方だと自分は認識しています。
どうぶつを主軸とした一見ほのぼのとした作風の「わんだふるぷりきゅあ!」のシリーズ構成に、なぜ成田さんを起用したのか?
わんぷりの後半は、ほのぼの一辺倒ではいかない展開が待っているような気もしています。それも楽しみです。
保護者が安心してプリキュアを見せられるように
本作では公式サイトに、シリーズ初となる「おうちのかたへ」と題した保護者向けのページが用意されました。
「わんぷり」がどんな作品で、どんな思いで作られ、どんな風に子どもたちに見てほしいのか、といった理念が記載され、保護者に向け提示されています。
「保護者が安心してプリキュアを子どもに見せ、一緒に楽しむことができる」そんな作品になっているのです。
プリキュア20周年の節目を終え、21年目の新しいプリキュア「わんぷり」は、キャッチフレーズの「みんななかよし!わんだふる〜♪」の通りに、家族で楽しめる「優しいプリキュア」になっていくのではないでしょうか。
この先、キュアニャミーとキュアリリアンの登場も楽しみです。あと、サポート男子の兎山悟くんとウサギの大福の行方にも注目ですね!
(C)ABC-A・東映アニメーション
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プリキュアが20周年を迎えられたのも、ひとえに子どもたちが玩具を買ってくれたからなのです。
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