「冷凍食品を使う後ろめたさを払拭したい」 宅配冷凍弁当サブスクに参入する味の素の思い(2/3 ページ)
どんな人が購入しているのか
さて、1月末の発売からの約1カ月間で、どれくらいの注文があったのか。羽藤さんによると具体的な数はまだ発表できないものの、当初予想していた2〜3倍だったとのこと。売り上げは好調のようです。金澤さんはお弁当についても好評だと言います。
「品質には高い評価をいただいておりまして、『おいしい』『野菜がここまでたくさん入っているのか』との声が多く、『食べていて健康になった気がする』というご感想もいただいております」
「野菜については、お弁当に入っているくらいの品目数を家庭で準備しようとすると買い物も大変ですし、1人暮らしの方だとロスも出てしまうと思うんですよね。使いきれず、腐らせたり、変色してしまうとことも想定されますが、こちらの商品は賞味期限が1年間ですので、フードロス削減にも貢献できているんじゃないかなと思っています」
特に人気のメニューは「ギョーザ、枝豆と干しえびのまぜご飯」。その理由について金澤さんは、味の素グループの冷凍食品には売り上げ日本一(※2003年度〜2022年度市販用冷凍食品単品売上金額ベース、味の素調べ)の「ギョーザ」という商品があるので、「味の素と言えば餃子」のイメージがあるからではないかと推測します。
今後、メニューを拡充する予定はあり、「最終的には今の倍以上にしていきたいと思っております」とのこと。サービスについても、要望があれば変更を検討するとしています。
もともと「あえて、」は30代・40代の共働き家庭をメインターゲットとしていましたが、50代・60代の人、独身の男性からの購入もあり、幅広い年齢層で、属性に関わらず忙しい人、便利な商品を利用してみたい人が購入していると言います。
「週に1回から2回、これに置き換えている感じ。ほとんどの方がたぶん、普段手作りをされているのかなと思ってます。若い方よりも普段料理をされている方のほうがウケているようです」(羽藤さん)
3つのコースの中では、「一番バランスがいい」という理由で「味の素」も推している「12食お届けコース」が最も多く選択されているそうです。とは言え、週に何回も利用する人、冷凍庫のスペースを同商品のために空けられる人は「20食お届けコース」を選び、「まずは6食から試してみたい」と「6食お届けコース」を選ぶ人もいるとのこと。
多くの人が購入した「あえて、」ですが、価格が「高い」というコメントも。羽藤さんは、初回だけでなく2回目以降の注文でも20%オフになる割引キャンペーンがあるのに伝わっておらず、初回だけ安いと伝わっているという現状があると言います。2回目以降も利用できるキャンペーンを伝えるという課題とともに、価格設定についての思いも語ってくれました。
「キャンペーンとは関係なく、純粋に高いという声もあると思うので、われわれもそこはちゃんと価値を伝えていくのが大切だと思います。世の中には安いものはいろいろあると思いますが、過剰に安くすると良いものを安定して届けられなくなるので、価格を下げることは考えてないんですね」
「商品やサービスは味の素だけで作っているのではなく、農家の方とか物流の方とか、いろんな方がビジネスに関わっているから、過剰に安くすると、どこかにひずみができたり、事業が続けられなくなったり、商品のクオリティーを落とさざるを得なくなったりして、結果的にお客様のためにならないと思ってます。だから、価値に見合った価格にするということは大事にしたいし、価値はしっかりお伝えするなど、コミュニケーションしていきたいと思っています」
便利なだけでなく、おいしさや栄養バランスに食の安全、さらに環境負荷や業界のあり方まで考えてサービスを開発したことが伝わってきます。最後に、読者へのメッセージをお願いしました。
「『味の素』が作っているのでおいしさはもちろん、なかなか伝わりにくい部分なんですけど、安心・安全の部分に関しては、他社さんに絶対負けないこだわりが詰まっています。ブランドに恥じないような製品とか味を自信をもってお届けしています。忙しい生活の中に、積極的に取り入れていただいて、お役に立てればなというのが、私からの願いでございます」(羽藤さん)
「お得なキャンペーンをいろいろやっているので、それを使用してぜひ一度試していただきたいなと思います。トレーの開けやすさや、環境対応、パッケージのコンパクトさ、冷凍庫への収納しやすさなど、PCの画面上ではなかなか伝わらないこともありますし、かなり細かいところまでこだわっているという自負があります。当然、健康・栄養・美味しさと言うのも相当力を入れていますので、ぜひ、一度使っていただけると良さを体感していただけるんじゃないかと思います」(金澤さん)
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