「X-ファイル」スカリー役俳優、帝王切開から10日で撮影復帰 当時の“罪悪感と恐怖”振り返りながら現在も変わらぬ問題指摘(1/2 ページ)
人気ドラマ出演の代償
超常現象をテーマにしたドラマシリーズ「X-ファイル」のFBI捜査官ダナ・スカリー役で知られる米俳優ジリアン・アンダーソンが、現地時間4月3日にテレビ番組「TODAY」へ出演。 1993年から2002年まで放送された同シリーズに出演中、出産からわずか10日で撮影に戻った決断を振り返り、“後悔”を口にしています。
罪悪感や恐怖 30年たっても変わらない感情
ジリアンは1994年、同シリーズでアシスタントアートディレクターを務めていたクライド・クロッツと最初の結婚をしました。そして同年9月に第一子となる長女パイパーを帝王切開で出産。「X-ファイル」がスタートして1〜2年の間に結婚・妊娠・出産を経験したことになります。
ドラマに穴をあけないようジリアンは出産から10日で撮影現場に復帰。一般的に帝王切開は自然分娩よりも回復に時間がかかるとされ、わずか10日での職場復帰に、当時26歳であったジリアンが気力を振り絞って耐えただろうことは想像に難くありません。
番組で、この決断について現在ではどう感じているか質問されたジリアン。すると彼女は「もし、最初のシーズンで妊娠したことに罪悪感を感じていなかったら、もっと自分を大切にして、そのとき自分の最善な利益にとって何が必要か、もっと思慮深くなっていたかもしれません」と、決断にはシーズン中に妊娠したことへの罪悪感が関係していたと明かしました。
さらに「でも私は、『クビになりかけてる』『私が台無しにしてしまう』『彼らの言うことを何でも聞こう』っていう考えにとらわれていたんです」と罪悪感に加え、仕事を失う恐怖や、自分の妊娠・出産が周囲に迷惑をかけてしまうと考え自身にむちゃを強いてしまったとのことです。
そして「でも私たちはまだ同じ話をしてますよね? 面白いですよね。30年前がどうだったにしろ」と女性が仕事に穴をあけないよう妊娠・出産に際して罪悪感を感じたり無理をしてしまうことは、現在でも起こり続けていることだと指摘しました。
第二子以降の出産時には産休や育休を取ったジリアン
ジリアンは最初の夫クライドと1997年に離婚したあと、2004年に作家のジュリアン・オザーンと再婚するも、2006年に別居を発表。交際していたビジネスマンのマーク・グリフィスとの間に、長男オスカーを2006年に、2008年には次男フィリックスを出産しています。
オスカーの出産後は産休を取っており、次男を妊娠中に米People誌のインタビューで、「かわいそうなパイパーは、生まれてから9年間、私のトレーラーで暮らしていた」と長女の場合は産後10日で仕事に復帰したことや、そのあとも「X-ファイル」が人気シリーズとして長く続いたことが関係し、子ども時代の多くを撮影現場で過ごすことになってしまったと回想。
「パイパーの妊娠中はずっと働いていたから、今は妊娠の終盤で仕事をしない選択ができることや、オスカーのときには産後6カ月仕事をしない選択ができたことは、とてもすばらしいことでした」と第一子出産のときにはできなかった産前・産後に母体をいたわる選択が可能になったことへの喜びを明かしていました。
「X-ファイル」はシーズンを通して人気が高く、ジリアンはスカリー捜査官役でエミー賞ドラマシリーズ部門主演女優賞、ゴールデングローブ賞テレビシリーズドラマ部門主演女優賞など数々の賞を受賞。彼女のキャリアを語るうえで欠かせない作品となりましたが、55歳となった現在、それと引き換えに失ったものの大きさも赤裸々に明かしています。
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