「フレッシュプリキュア!」15周年 シリーズの“ターニングポイント”となった伝説のプリキュアを振り返る:サラリーマン、プリキュアを語る(2/3 ページ)
チャンネル権を持っている両親に向けて
このイースからキュアパッションへの転生の物語のように、「フレッシュプリキュア!」の特徴の一つに「年間を通しての壮大なストーリー展開」が挙げられます。
ダンスとプリキュアの両立、敵組織である管理国家ラビリンスのディストピア感、4人目のプリキュアは誰なのかという謎、敵からプリキュアになったことによる葛藤と贖罪(しょくざい)、家族になる物語、妖精シフォンの秘密など、縦軸としての物語が強く描かれました。
梅澤プロデューサーによると、これは「保護者にプリキュアを認知してもらう」のが目的だったようです。
「子どもはチャンネル権を持っていないため、両親が納得できる壮大なストーリーで両親を引き付けようとした」と後のインタビューで語っています。
梅澤 「プリキュア」は幼い女の子向けの作品ですが、彼女たちはチャンネル権を持っていない。両親が納得して初めて、女の子は「プリキュア」を見られるんです。ならば壮大なストーリーで、両親を引き付けようと考えました。子ども向けにはわかりやすいギャグ要素を入れて,みんなで楽しめるようにしました。
ぴあ『プリキュアぴあ』(P87)
そして、このストーリーの流れと玩具の販売もうまくかみ合いました。
「フレッシュプリキュア!」の年末年始商戦は、「ほとんどの商品が売り場から無くなった」と玩具業界誌で評されるレベルで玩具販売も絶好調だったのです。
2009〜2010年年末年始商戦総括
商戦終盤には仮面ライダーWのすべての商品、フレッシュプリキュア!も「シフォンお世話になります」を中心にほとんどの商品が売り場から無くなった
東京玩具人形協同組合『月刊トイジャーナル』(2010年2月号)
この成功を受け、最大限に玩具が売れる「プリキュアの玩具販売の流れ」も定着していくのです。
番組開始の2月は卒業、入学シーズンでメインアイテム(変身おもちゃ、妖精おもちゃなど)を発売、それが一段落したゴールデンウィーク前に「武器系のおもちゃ」を出し、その後、夏のボーナス時期に合わせて「ドラマティックに加入する追加プリキュア」の変身アイテムと武器アイテム、そしてクリスマスシーズンに大型の最終決戦用おもちゃを発売する、という一連の手法は後のシリーズにも受け継がれていくこととなりました。
キャラクターデザインの革新性
また、キャラクターデザインの大胆さもフレッシュプリキュアの特徴の一つです。
これまでよりも頭身を上げ、スタイルも良い。ブーツではなく高いヒールを履き、スカートの中もスパッツではなく全員がフリル。拳を守る「ナックルガード」もないなど、従来のプリキュアとは異なるそのスタイリッシュさに当時のプリキュアファンは魅了されました。
「フレッシュプリキュア!」のキャラクターデザインを担当した香川久氏は、当時「ふたりはプリキュア」しか見たことがなく、プリキュアの「お約束」を知らなかったことが、逆に革新的なデザインにつながった、と後に語っています。
香川 いままでの『プリキュア』からは頭身をあげてほしいという梅澤プロデューサーからのオーダーがあって、キャラクターも「いままでのシリーズと変えても良い」という話でした。挑戦的なオーダーだったので、僕にとっては嬉しいことでしたね。
過去の『プリキュア』シリーズに関わってなかったし、作品自体も『ふたりはプリキュア』しか見たことがなかったんです。でも『フレッシュプリキュア!』ではそれがよかったですよね。
過去にとらわれることなくキャラクターデザインが出来たと思います。スパッツを履いているとか、拳にナックルガード的なものを付けているとか、そういう『プリキュア』シリーズの決まりごとのようなものを知らなかったし、周囲から言われたこともなかったんです。
ぴあ『プリキュアぴあ』(P100〜101)
香川 あと今回の新しいことというとプリキュアがスパッツを履いていないんです。でも、アクションをするのでスカートの中身が見えないようにしないといけない。フリルでうまく見えないように描いてます。健康的なセクシーさは大事だと思っていました。
ぴあ『プリキュアぴあ』(P100)
香川氏の言うように「健康的なセクシーさ」をまとったキャラクターは、子どもたちはもちろんのこと、多くのオトナプリキュアファンを魅了し、「プリキュアとはこういうものでなくてはならない」という固定観念も払拭(ふっしょく)、以降もプリキュアでも多種多様なデザインが採用されることへとつながっていったのです。
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