「フレッシュプリキュア!」15周年 シリーズの“ターニングポイント”となった伝説のプリキュアを振り返る:サラリーマン、プリキュアを語る(3/3 ページ)
当初はゲッターロボを意識?
余談ですが、香川氏の中で「フレッシュプリキュア!」は「ゲッターロボ」のイメージが強かったようですね。
香川 最初は、僕の中では女の子向けというより「ゲッターロボ」のイメージが強かったです。
――おお、永井豪先生原作のロボットアニメですね。バリバリに男の子向けですが。
香川 赤、青、黄のイメージです。もちろん「ゲッターロボ」のキャラクターの性格をそのままというわけではなくて、あくまで色のイメージですけどね。“蒼乃美希”も“山吹祈里”もクールでも巨漢でもないですから(笑)。
ぴあ『プリキュアぴあ』(P100〜101)
恒例のCGダンスエンディングも「フレッシュプリキュア!」から
そしてもう一つ。
「3DCGによるダンスエンディング」も「フレッシュプリキュア!」から始まりました。
「フレッシュプリキュア!」はストーリー的にもダンスが重要なファクターとなっています。ダンスを軸にした理由として、梅澤プロデューサーは「徹底したアンケートの結果」であると語っています。
1つはタイトルを「フレッシュ」にすること。もう1つは「女の子が好きなことは全部盛り込む」ということでした。徹底してアンケートを取った結果、その中に「ダンス」があったんですよ。ならば今回は本格的なダンスをやろうと、監督も決めていないのに前田健さんに振り付けをお願いに行ったんです。
ぴあ『プリキュアぴあ』(P86)
当時は小・中学校での「ダンスの必修科目化」などもあり、ダンスが受け入れられやすい環境でもあったようです。ストーリーとダンスが密接にリンクし、前田健氏による振り付けも子どもたちにも踊りやすく、この画期的なエンディングダンスは大好評となりました。
結果論ですが、このCGによるダンスエンディングにより、子どもたちが番組を最後まで見るようになったことによる視聴率のアップや、ダンスを覚えて踊るために音楽CDを購入する動機付けにつながった上、子どもたちがイベントに足を運ぶようにもなるなど「商業的にも大きな成功」となり、以降のシリーズでも定着、3DCGダンスエンディングはプリキュアを象徴するファクターとなっていくのです。
水着やシャワーシーンは評判が良くなかった
新しいことにチャレンジし続けた「フレッシュプリキュア!」ですが、中にはあまり評判の良くなかったこともあったようです。第2話で描かれた蒼乃美希(キュアベリー)の「水着」「シャワーシーン」や、「告る」「彼氏」といったワードも親からの評判は良くなかったようです。
梅澤 実は大ブーイングでした。「コクる」「彼氏」というセリフも評判が悪かったです。中学生だから、必然性があるから、大丈夫というわけじゃない。両親が観せたくない作品になっては『プリキュア』じゃない、と痛感しました。
ぴあ『プリキュアぴあ』(P87)
こういった反省点も新しいことにチャレンジしたからこその結果ですし、「両親が観せたくない作品になっては『プリキュア』じゃない」という思いも、今のプリキュアシリーズに受け継がれているようにも感じます。
現行シリーズの基礎を築いた
「ふたりはプリキュア」がスタートしてから5年間でさまざまな試行錯誤を繰り返してきたプリキュアシリーズ。
6年目の「フレッシュプリキュア!」で、追加プリキュアのタイミング、1年を通しての壮大なストーリー展開と玩具販売、3DCGによるダンスエンディング、キャラクターデザインの多様化など、現行プリキュアの基本フォーマットが確立したのです。
そういった意味でも「フレッシュプリキュア!」がプリキュアシリーズの歴史の一つのターニングポイントになっていたのは間違いないと、自分は思っています。
(C)ABC-A・東映アニメーション
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