東京ディズニーシー「ファンタジースプリングス」を一足先にレポート アナ雪、ピーターパン、ラプンツェルを“体感”せよ!日本よ、これが“イマーシブ”だ(3/4 ページ)

» 2024年05月07日 16時25分 公開
[宮田健(dpost.jp)ねとらぼ]

余談:ここまでの道のりを振り返る

 あとほんの少しでオープンを迎えるこの「ファンタジースプリングス」ですが、ここまでの道のりは非常に長かったことをご存じでしょうか。実は最初の報道があったのはいまから約10年前、2014年10月のことでした。ただし、このころは“新テーマポート”という立て付け、場所はロストリバーデルタの南側とだけ発表され、テーマも決まっていない状況でした。

 動きがあったのは2015年4月。その新テーマポートのテーマが「北欧」であることが発表され、その中には映画「アナと雪の女王」の世界を体験できるエリアを含む、としていました。この段階でも場所はロストリバーデルタの南側で、2017年以降にオープンするとしています。この当時のアートを見ると、今のファンタジースプリングスの規模とは異なり、コンパクトなことが分かります。

2015年に発表されていた、東京ディズニーシー 「北欧」をテーマとした新テーマポート

 実は、このアートが後に注目を集めることとなります。2023年11月に香港ディズニーランドにオープンした「ワールド・オブ・フローズン」を見ると、このアートで見られる構成要素がほとんどそろっていることが分かるのです。

香港ディズニーランドに2023年11月オープンの「ワールド・オブ・フローズン」全景

 さらに話題となったのは、2023年12月に米ディズニーが公開した、難病に苦しむ子どもたちの夢をかなえるMake-A-Wishとの協業をアピールする動画。ディズニーのイマジニアになりたい子どもの夢をかなえるため、アトラクションをデザインし形にするウォルト・ディズニー・イマジニアリングに招待したという動画の中に、なんと上記東京ディズニーシーの幻の“北欧エリア”らしきモデルが映り込んでいたのです。計画はかなり進んでいたことが分かる情報でした。

動画に映り込んでいた幻の“北欧エリア”らしきモデル。よく見るとインディ・ジョーンズ・アドベンチャーの寺院が見えるだけでなく、パーク内を走る鉄道「ディズニーシー・エレクトリックレールウェイ」も延長しているように見えます

 しかし、その後計画はさらに動きます。発表からわずか8カ月、2025年12月に“北欧エリア”の構想について、検討期間を延長すると発表します。直接的な理由には触れていませんが、「長期持続的なテーマパーク価値の創出に向けては、2015年中としていた本構想の検討期間の延長が必要と判断いたしました」と発表されています。

「ファンタジースプリングス」プロジェクトのスタート

 再び時が動き出したのは2018年6月でした。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが、ウォルト・ディズニー・カンパニーとの東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクト基本計画に合意し、ライセンス契約も最大2076年まで延長されることが発表されました。この時に、現在のファンタジースプリングスの基本的な要素がすべて含まれた、東京ディズニーリゾート史上最大の拡張計画が動くことになります。

2018年に発表された、「ファンタジースプリングス」こと東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクト

 その後の話は、本記事の冒頭でレポートしたとおりです。最初の(スクラップされた)プロジェクト発表からは10年がたちました。オリエンタルランド代表取締役 取締役会議長の加賀見俊夫氏による著書「海を越える想像力」でも触れられていますが、当初米ディズニー側から、映画スタジオをテーマとしたパークを提案されていたものを断り、ここにしかないパークを作ると決断したのはオリエンタルランドでした。海をテーマとすることが決まったあとでも、エントランスに置かれるモチーフとして提案された灯台を、日本人の心情には合わないと変えさせたエピソードもありました(その結果“アクアスフィア”となったことは印象的ですね)。

 先に触れたように、世界のパークを見ると「アナと雪の女王」のアトラクションは既にフロリダ ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート、そして香港ディズニーランドに「フローズン・エバー・アフター」があります。おそらく当初のアートを見るに、日本でも海外パークに存在したアトラクションが作られる可能性があったことは想像に難くありません。それを、東京ディズニーシーだけにしかない、完全オリジナルなものに仕上げたのは、ほかでもないオリエンタルランドの力ではないかと思います。

フロリダ ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート、“北欧”ノルウェー館に作られた「フローズン・エバー・アフター」。香港ディズニーランドにも同名アトラクションがオープンしています

 筆者はしばしば海外のディズニーパークに行きますが、現地のマニアにまず聞かれるのは「東京ディズニーシーって素晴らしいんでしょう?」というひと言。海をテーマとし、“ダッフィー”たちを生み出し、唯一無二のショーが存在するパークです。ハードウェアは同じでも、ストーリーやキャラクターというソフトウェアを変えたことで印象が大きく変わった「タワー・オブ・テラー」や「ソアリン:ファンタスティック・フライト」など、ファンの心をつかむ要素がたくさんある場所になりました。そこに新たに、これまた東京ディズニーシーでしか体験ができない新エリア、新アトラクション、新レストラン、そして東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルが登場したのです。

 おそらくグランドオープン当初は、そのエリアに足を踏み入れることも難しいかもしれません。しかしこのエリアは、今後数十年は変わらぬ魅力を放つのではないかと思います。プロジェクトスタートから10年越しに現れた、世界に誇れる新エリアは逃げることはありませんので、ゆっくり計画を立ててみてはいかがでしょうか。

(C)Disney

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