退化したヒトはなぜまだ服を着ているのか 「猿の惑星」の気になる“不思議”を最新作監督にぶつけてみた 「猿の惑星/キングダム」来日インタビュー(2/2 ページ)

» 2024年05月17日 12時00分 公開
[小西菜穂ねとらぼ]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
「猿の惑星/キングダム」 ウェス・ボール監督

最新作をより楽しむには チェックしておきたいシリーズ作品

―― 今後へ向けてさまざまな要素を仕込んでいるというお話でしたけども、反対に現時点で「キングダム」を見るにあたって、もしくは見た後に歴代のシリーズで見ておくとより楽しめると思う作品は?

WB まずは前の三部作、シーザートリロジーです。それに1968年のオリジナル版。いまも全く色あせない名作です。古臭さがあったとしても、映画作品として非の打ちどころがありません。「キングダム」は時代設定的にこの2つのちょうど半ばとなるのでご覧いただくならお勧めです。この作品に込めた、たくさんのオマージュやイスターエッグを見つけてください。

「猿の惑星/キングダム」 三部作視聴者には見覚えのある構図

―― ちなみに監督個人のお気に入りは?

WB 68年版と、シーザートリロジーの2作目「猿の惑星: 新世紀」ですね。

社会に疑問を投げかけながら育ってきたシリーズ

―― 「猿の惑星」シリーズは娯楽要素の強いフランチャイズでありながら、人種問題や、最近ではアニマルウェルフェアといった現実のトピックを描き出す社会派としての側面も持ちます。今回の作品も同様に考えさせるポイントが多々あるように感じましたが、監督ご自身はどんな層へ、どんなメッセージを伝えたいと想定していたかお聞きしたいです。

WB それこそ「猿の惑星」が今日に至るまで続いてきた理由ですね。誰もに訴えかける“何か”がある。SF好きには堪能できるアイデアを。大人や成熟したファンのお眼鏡にもかなうと同時に、子どもたちが純粋に楽しんで興奮できる要素もあるんです。

 若い世代はより広い視点から、ただの娯楽作品以上のものを求める傾向にあります。挑戦的なトピック――例えばあなたが挙げたような動物の権利や、人種といった現実に起きている問題です。すばらしいことだと思います。気候変動であれ戦争であれ、こんにち起きている問題は若い世代が背負っている課題でもありますから。

 この物語は特に、若い登場人物を中心に展開します。彼らがどう世界を変えていくのか、どうやって自分たちの未来を導いていくのか。若い世代のファンには共感してもらえるはずです。ノアは故郷の外を知って、長老たちに疑問を持つようになり、自分の手で世の中を変えていこうとする。人間のメイにしても同じことで、物語の序盤と終盤では違う考えを持つようになる。それが見どころです。

「猿の惑星/キングダム」 現在から300年後という設定

 つまり……欲張りではあるけれども、全ての人に見てもらいたい作品ということですね(笑)。

―― 猿と人だけでなく、劇中に登場する他の動物との描写が興味深いと感じました。知性を得た猿たちは動物を“使う”側になっていて、主人公ノアたちは特に鳥と特別な関係を築いています。

「猿の惑星/キングダム」 鳥と生きるノアたち一族

WB 面白いポイントとしては、ノアたちイーグル族はワシをパートナーとして扱い、ケージに閉じ込めたりつないだりしていないことです。出入りは自由なので、そこは変わらないんじゃないかな。

―― 個人的にはラカというキャラクターが気に入っています。非常に気になる描かれ方をしていましたが……。

「猿の惑星/キングダム」 みんなきっと好きになる、ラカというキャラ

WB でしょうとも! 守護霊みたいな存在で、耳元でみんなに「もっと頑張れ、うまくやれるぞ」とささやいてくれるようなキャラですよ。この先については(日本語で)ノーネタバレ! 楽しみにしていてください。

『猿の惑星/キングダム』(公開中)

監督:ウェス・ボール

出演:オーウェン・ティーグ、フレイヤ・アーラン、ケヴィン・デュランド

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

2024年5月10日(金)全国ロードショー!

ストーリー

人類は野生化し、進化した猿が支配する 300 年後の世界。巨大な帝国を築く独裁者プロキシマス・シーザーによって村と家族を奪われた若き猿ノアは、人間の女性ノヴァと共にプロキシマスの支配に立ち向かうことを決意する。だがノヴァは、猿たちの知らない“秘密”を握っていた...。種を超えたその団結は、狂気の支配を止め、再び共存可能な世界を作ることができるのか。それとも、圧倒的支配に飲み込まれてしまうのか。この世界で生き残るのは一体誰か―。<猿&人間>VS<猿>という新たな衝突の先に待ち受け“衝撃のラスト”とは果たして―。


(C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた