「『逆転シリーズ』を拡大していきたい」 「逆転検事1&2 御剣セレクション」発売直前、キャラデ岩元辰郎氏、橋本シリーズP、西田Pロングインタビュー(2/5 ページ)
腕組み御剣の滑らかな指トントン――衝撃の129キャラ1200アセット制作秘話
――GBA時代の2DドットグラフィックスをHDリマスターでレベルアップさせた「逆転裁判1・2・3・4」、本格的な3Dグラフィックス体制になった「逆転裁判5・6」「大逆転裁判1・2」と比べると、「逆転検事シリーズ」の一番の差別化は2Dドットグラフィックスの維持にあると思いますが、2Dドットグラフィックスを“クラシック”、HDリマスターのグラフィックスを“モダン”と名付けたきっかけについて教えて下さい。
西田:2DドットとHDについては、「どちらが上」という表現にはしたくなかったので、ゲーム内では“リマスター”“リファイン”といった呼び方をせずに“クラシック”と“モダン”という呼び方にしています。「どちらも作りこまれており、スタイルの違い」ということを示しています。
また変わるのは見た目だけで、操作方法は変わらず難易度は同じです。「ストリートファイター6」にもモダン操作とクラシック操作を搭載していますが、同じ呼び方になっているのは本当にたまたまです。
――御剣の胸元の“ヒラヒラ”、一柳弓彦の手など、本当に細かい表現が素晴らしい“モダン”なのですが、制作の裏側を少し教えていただけませんか。
西田:まず岩元さんにキャラクターデザインをしていただいて、それを動かすアセットを作るスタッフを社外も含めて数十人集めました。
――数十人!? 「もうアニメのクオリティじゃないか」と思ったんですが、それほどのスタッフさんが関わっているんですか。
橋本:そうです、数十人……(笑)。
岩元:まず僕が主役である御剣と、モブキャラクターである警察官のサンプルを作って、「ここはこうしたい」「こっちはどうでしょう?」というやり取りをしていたんです。そうしたらそこから急に「この絵だったらこのぐらいは動かないとダメだ」とカプコンが本気を出してきて。アニメーションを動かすためのサンプルを開発して、さらに何度もリテイクを重ねて完成させていきましたね。
そもそもDS版のドット絵が本当に素晴らしいんですよ。ほんの1ドットの違いでキャラの感情を感じさせてしまうんです。そんなカプコンの神ドッターの方々が作ったキャラクターのモーションを、高解像度でアニメーションのように動かすとなると、細密に描けば描くほど足りない感じがしてきてしまって。
必要なのはドットと同期した動きなので、その中に出来るだけのことを、詰め込めるだけ詰め込むしかなかったですね。
――本当にオドロキの連続です。
岩元:僕も最初「できるのかなぁ、これ」と思いましたよ。
橋本:全部で何枚でしたっけ(笑)。
西田:129体の1200アセットです。でも歩く方向とかもあったりするので、トータルでは約2000作っています。さすがにアートディレクターも「終わり見えないんですけど」って言っていました。
――決断にはマヨイもあったかもしれませんが、そういった過酷な作業を覚悟しても、この方向性で行こうと決められたのは。
西田:私と橋本、アートディレクターで方向性を決めたのですが、デザイナー陣が社外の方も含めて想定以上の作りこみをしてくれました。
橋本:「リマスターのタイミングで高画質化する」ということは決めていたので、最初にどうやって高画質化するかを西田に3カ月ほど検証してもらっていました。
西田:フィルターをドット絵にかけて手軽に高画質化する等も試したのですがそれだとあまり変わらないですし、ドットで一から作り直すというのも労力の割にあまり変わらないと。そこで3Dも試したんですが、これはキャラだけだと違和感がすごくて、最終的に一番しっくり来たイラストタッチを選びました。
そういった流れでミニキャラクターのデザインを新たに作ることになったのですが、「岩元さんしか描ける人がいない」と思い、お願いしました。
橋本:最初はメインビジュアルだけお願いするということでお話を進めていたんですが、「岩元さんにお願いするのがベスト」となって、追加でミニキャラクターのデザインもお願いすることになりました。
岩元:確かに最初は「メインビジュアルお願いしますね」だけでしたね。
西田:本格始動のタイミングで「ちょっと相談があるので打ち合わせに来てもらえませんか?」という電話をして、来ていただいたタイミングで「実は……」という感じで打ち明けました。
――一旦来てもらうために伏せていたんですね(笑)。
西田:そうです(笑)。
岩元:だからそのとき僕は「あぁ、メインビジュアルやらせてくれるんだ。ありがたい」と思って打ち合わせに来ていたんですけれど、「メインビジュアルもそうなんですが、実は……」という話になってサンプルを見せていただいたときに、「あぁ、確かにこれは一回やらないといけないですね」という感じになりました。
そのときはまだ「疑似3Dアニメーションで行けないか試しているので、その素になるものを描けばいい」という話だったので、「それぐらいなら」と引き受けたんですが、あとになって大変なことに(笑)。
終わった今となっては全部やって本当によかったんですが、やっている最中はゴールの見えないトンネルを歩いている感じが僕も含めてスタッフみんなしていたんじゃないかと思います。
――キャラによっては1度しかやらないモーションもありますよね。そういったモーションにも同じ労力がかかるということですよね。
岩元:ちょっとマニアックな話になりますけれど、1回きりのモーションよりもループアニメーションの方が大変なんです。1回しかやらない動きであれば多少絵に違和感があってもそこまで気付かないものなのですが、例えば“歩く”“走る”といった連続のモーションは1回きりのモーションよりもずっとずっと精度を高くしないといけないんです。
長く走らせたとしても飽きさせないようにしないといけないので、作り手としては1回きりのモーションの方が気楽に作れるという感じがします。
――ミニキャラクターのデザインや動きを通して、あらためて岩元さんのキャラクターへの愛情を感じます。
岩元:本当にいろいろなことをやっているんですよ、例えばこっそり足元の方だけ暗くしているとかね。ちょっとだけキャラクターにデフォルメも入れているんですが、なるべくキャラクターの表情が見られることと、俯瞰から見下ろしている感じに見せたかったからなんですね。そういうところをじっくり見ていただきたいですし、どう変わったのか楽しんでいただけたらと思います。
――皆さんのお気に入りのモーションはありますか。
岩元:僕は一柳弓彦全般です。ドットのときの解釈と少し変わって、手と足の動きもバストアップ準拠のポーズになりました。イチオシは電話をかけるときのモーションで、すごく凝ってて超かわいいのでぜひご注目いただけたらと思います。
西田:私は内藤馬乃介のガンアクションが気に入っています。この動きは本編だとループで見ることができないので、今回搭載されたギャラリーのキャラ図鑑でじっくり見ていただきたいです。実は目線までちゃんと動いているんですよ。
橋本:スタッフ間では御剣が紅茶飲んでるモーションが好評でしたが、僕は御剣が腕を組んで指をトントンするモーションが好きですね。ドット絵のときのモーションはかなり秀逸だったんですが、それをアニメーション化してみたところかなり滑らかに動いていて、最初見たときに「いいな」と思いました。
西田:先ほどもお話しましたが、ギャラリーのキャラ図鑑は全キャラの全モーションを“クラシック”と“モダン”両方のバージョンでご覧いただけますので楽しみにしていただきたいです。
特に“モダン”は表情以外もデザイナーのこだわりが半端ないので、例えば狩魔冥のムチのしなり方とかもとても滑らかになっているんですけれども、そのせいで岩元さんもすごい苦労されていましたね。
岩元:“モダン”に関してはアニメーションのスタッフが本当にすごいんですよ。「とことんやろう」って覚悟していたつもりでしたが、「もういいじゃん」っていうところも妥協させてもらえませんでした。
西田:動きに関してはモーションリーダーをカプコンの2Dアニメーションに詳しいメンバーにお願いしてましたが、筋肉の動き、影の動き、しわの入り方までかなり厳しかったですね。
橋本:チェックしては「不自然だ、ダメ」みたいなね(笑)。
岩元:最後の方、僕、その方に褒められてうれしかったですもんね(笑)。
西田:あはは(笑)。「物理的に〜」とか「生物学的に〜」といったフィードバックをやたらと聞いたような記憶があります……。ミサイル等の動物も登場しますが、同じくこだわりの影響を受けていますね。
岩元:今回メインビジュアルを描くにあたって「逆転裁判123成歩堂セレクション」「逆転裁判456 王泥喜セレクション」「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟」全部見させていただきましたけれども、本当に見れば見るほど「絶対に構図決めるの大変だったはず」というポイントがたくさんあるんですよ。
どのキャラクターも主役にしなきゃいけない中でさらに主役級のキャラクターがいて、クオリティーも上げなきゃいけないので、本当にやってみて改めてその苦労と努力がしのばれましたね。
西田:確かに「逆転裁判456 王泥喜セレクション」「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟」を見て、岩元さんが「すごい」とおっしゃってくださっていました。でも私からは「真似はしないでください。岩元さんらしさを出してください」というお願いをしましたね。
橋本:そのオーダーのおかげで「逆転検事1&2 御剣セレクション」は本当に線とか塗りとか岩元さんらしさ全開で、「いやぁ、いい絵だな」と思いましたし、「本当に岩元さんにお願いして良かったな」というのが最初に見たときの素直な印象でした。
――「逆転検事1&2 御剣セレクション」では、背景も新たに描き直されているシーンがあるように感じたのですが、あれはどういった経緯からなのでしょうか。
西田:背景のデザイナーがこだわって描き直したポイントもありますが、基本的にはこれまでの画面サイズでは見えなかった部分がHD化されたことによって全部見えるようになったというようなイメージでしょうか。
橋本:「逆転裁判456 王泥喜セレクション」のときはいろいろと背景を描き足してデザインも修正していたんですが、「逆転検事1&2 御剣セレクション」に関しては全体的に高画質化する中でそのまま使うカットもあったり、HD化することによって足りなくなる部分を変に描き足すのではなくて全部描き直したりという形を取りました。今回はテレビモニターで遊んでいただくことを想定しているので、高画質にこだわっています。
西田:マニアックなポイントですが“クラシック”を選ぶとモバイル版のドット絵になるので、今回のHDリマスターの高画質背景と合わせると差が出てしまうんです。そこであえて背景をなじませるためにもう一回調整をしているので“クラシック”の方が背景に関しては手間をかけた処理を施しています。
岩元さんが100パーセント開発を手掛けたキャラも!?――開発チームの押しキャラは意外なあの人?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
-
「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
-
「ほ、本人……?」 日本に“寒い国”から飛行機到着→降りてきた“超人気者”に「そんなことあるw?」「衝撃の移動手段」の声
-
才賀紀左衛門、娘とのディズニーシー訪問に“見知らぬ女性の影” 同伴シーンに「家族を大切にしてくれない人とは仲良くできない」
-
【今日の難読漢字】「誰何」←何と読む?
-
「今やらないと春に大後悔します」 凶悪な雑草“チガヤ”の大繁殖を阻止する、知らないと困る対策法に注目が集まる
-
武豊騎手が2024年に「武豊駅に来た」→実は35年前「歴史に残る」“意外な繋がり”が…… 街を訪問し懐古
-
大谷翔平、“有名日本人シェフ”とのショット 上目遣いの愛犬デコピンも…… 「びっくりした!!」「嬉しすぎる」
-
ハローマックのガチャに挑戦! →“とんでもない偏り”に同情の声 「かわいそう」「人の心とかないんか」
-
「口座や住居が……」 坂口杏里、SNSで“重要個人情報を垂れ流し” 「かなりまずい状態」「大丈夫じゃなさそう」心配の声
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
- 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
- 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
- パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
- アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
- 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
- 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
- PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」