増え続けるカラーバリエーション、時代を先取りすぎたレア商品……! 魔法びんで有名な「サーモス」120年の歴史がすごかった
子どものときに使ってた「水筒」のイメージが、大きく変わるかも!
熱い飲み物は熱いままに、冷たい飲み物は冷たいままに保温・保冷してくれる「魔法びん」。この技術を使った水筒やタンブラーなどは、もはや私たちの日常に欠かせないものになっています。筆者もヘビーユーザーで、もう魔法びんのない生活は考えられないくらいです。
そんな魔法びんのパイオニアである「THERMOS(サーモス)」は、2024年でブランド120周年を迎えたそうです。
えっ!? 120周年!!!???? サーモスってそんなに歴史があるブランドだったの?
あっ! サーモスブランド戦略課プロモーショングループの笠原健志さん!
「魔法びんの仕組みって知ってますか?」
そう聞かれると、当たり前に使っているのにどういう仕組みなのか分からない……。それに、サーモスが120年続いているブランドだということも初耳でした。
そこで今回は、サーモス本社オフィス内のショールームにお伺いして、魔法びんの仕組み、サーモスのこれまでの歴史、歴代の変わった商品などいろんなお話を聞いてきました。
記事の最後には、サーモスの最新製品や珍しい製品をチェックできるイベントの告知も! こりゃ楽しみ!
今から約120年前に魔法びんの原型が誕生していた
──保温・保冷してくれる「魔法びん」の存在は今では当たり前になっていますが、いったいいつごろ誕生したものなのでしょうか。
笠原さん 魔法びんの歴史は古く、1888年までさかのぼります。ドイツの物理学者が真空容器の原理を発明し、1892年にイギリスの科学者が真空の二重ガラス容器を製作し、今の魔法びんの原型を作りました。そこから、1904年にガラス職人のラインホルト・ブルガーがドイツのベルリンで「THERMOS G.m.b.H.(テルモス有限会社)」を設立し、サーモスブランドが誕生したんです。そしておかげさまで、2024年でサーモスブランド120周年を迎えました。
──今から100年以上前に魔法びんの原型が誕生していたとは……。では、日本にはいつその技術が伝わってきたんでしょうか。
笠原さん 日本に来たのは1908年で、明治時代のときですね。当時の新聞広告では「驚くべき発明なる寒暖壜(びん)」として紹介されています。世界的にもまだ魔法びんの技術は珍しく、各国でさまざまな広告が展開されていました。
──こんなにユニークなプロモーションが行われていたんですね!
笠原さん ちなみに、「魔法びん」というネーミングは最初からそう名付けられたわけではなく、1907年に朝日新聞で理学博士の飯塚魁(いさお)氏がサーモスのボトルを「まるで魔法のようだ」と評したことが魔法びんと呼ばれるきっかけとなったとされています。
説明できる? 魔法びんが温度を保てる仕組み
──「魔法のようだ」と言われるほど当時の人にとっては驚きの技術だったんですね……。そんな「魔法びん」が結局どんな仕組みで保温・保冷をしているのか、この機会に教えてください。
笠原さん こちらに現在の魔法びんを真っぷたつにしたものがあります。このように、中が二重構造になっていて、外びんと内びんの間を真空状態にしているんです。真空には熱を伝える気体分子がほとんどないため、熱移動による放熱を防いでいます。そのほか、内びんの外側に金属箔を巻きつけることでさらに放熱を予防し、高い断熱効果を成し遂げています。
──こういう仕組みだったんだ! ちなみにこの構造は現在も昔も変わっていないんですか?
笠原さん この二重構造は昔から変わっていません。大きな違いは内びんの素材でしょうか。現在は内びん、外びんともにステンレスですが、昔はガラスでできていたんです。
──昔はガラスだったんですか!?
笠原さん そうなんです。これが発売当初の魔法びんです。今と比べるとずっしりと重いです。昔はアウトドアや狩猟で使われることも多く、冒険家たちからも愛用されていたようで、デザインもかなり無骨ですね。革製の携帯ケースもついています。
──めちゃくちゃかっこいい……今でも売ってもらいたいくらいです。
笠原さん こうして見ると、すごくレトロで雰囲気のある見た目ですよね。ただ、ガラスは衝撃に弱いので、倒したり落としたりすると内びんが割れてしまうという弱点がありました。
その弱みを克服すべく、サーモスの前身となる日本酸素株式会社(現:日本酸素ホールディングス株式会社)が、1978年に世界初の高真空ステンレス製ボトル「アクト・ステンレスポット」を発売しました。振動にも強いため、バイクでのツーリングやアウトドア需要から徐々に人々の暮らしに浸透し、今のような形になったんです。
また、水筒といえば昔は「ボトルからコップに注いで飲む」スタイルが定番でしたが、スポーツ需要やマイボトル需要の高まりもあり、1990年代後半から2000年以降はだんだんと「直接口を付けて飲む」スタイルの製品が主流になっていきました。社会のニーズや生活スタイルの変化によって、魔法びんも進化していったんです。一家に1本の時代から、ひとり1本のマイボトルの時代に変わっていったわけですね。
──今のステンレス製の魔法びんは日本で誕生したんですね。素材も形状も、ニーズに応じて変化してきているんだ……!
「お客さまのライフスタイルや生活を豊かにしたい」→そこで……
──サーモスと魔法びんの歴史についてここまで伺ってきました。現在はどのような商品が人気なのでしょう。
笠原さん やはり手軽に持ち運べる「真空断熱ケータイマグ」がロングセラーですね。1999年に発売された初代から進化を重ね、現在は誤作動によって蓋が開かないようにするロックリング付きのワンタッチ・オープン構造が特徴の「JNLシリーズ」(今年8月に「JNL-Sシリーズ」にリニューアル)などの製品が人気となっています。
笠原さん コロナ禍によるおこもり需要から、真空断熱タンブラーや真空断熱カップも人気があります。フライパンなどの調理器具も売上が伸びましたね。
それと最近では、美容やスポーツなどで炭酸水を日常的に飲むようになったことから、炭酸飲料を入れて持ち運べる「保冷炭酸飲料ボトル」もヒットしました。
──こんな商品もあったんですね! 確かに最近は無糖の炭酸水をよく飲むようになりました。
笠原さん 実は、約20年前にも炭酸飲料対応のボトルを出したことがあったんですが、売れ行きは芳しくありませんでした。当時は甘い炭酸飲料が多く、今の健康志向のニーズとは離れていたことと、缶ジュースが一般的だった時代で炭酸飲料を持ち運ぶというスタイルがまだ浸透していなかったことが原因ですね。
──ニーズを先取りしすぎていたんですね。あと、ここにある製品を見ていて思ったのですが……。
──カラーバリエーションが多すぎませんか?
笠原さん めちゃくちゃ多いです(笑)。全製品まで行くと正直、私でも把握できないくらいのカラーバリエーションがあります。お客さま皆さまがそれぞれお気に入りの色を見つけられるよう、毎年新色を出しているんです。直営店限定カラーなど、珍しいアイテムもありますよ。
常にお客さまのライフスタイルや生活を豊かにしたいという思いから、一度使った色は極力使わないようにしています。同じカラートーンでも塗装方法などによってほんの少し色合いが異なるので、色選びは無限大です。生活を彩るように、水筒の色も楽しんでいただけるとうれしいですね。
──この色かわいい! ベージュですか?
笠原さん いえ、ダスティピンクです。
──ムズすぎる。
笠原さん 最近はこのようにちょっと落ち着いたペールカラーのものが人気ですね。赤やシルバーなどの原色よりも、生活に馴染むような色が好まれるようになってきていると感じます。
──日によって色やデザインを使い分けるのも楽しいですね。
──そのほか、現代のライフスタイルに合わせて工夫しているところはありますか?
笠原さん ライフスタイルの変化によって、定番製品でもマイナーチェンジを重ねています。食洗機で水筒を洗うニーズが増えたため、熱でも変形しにくい材質を使った食洗機対応モデルを出したり、洗いやすいようにパーツの形状や構造をアップデートしたりしています。サーモスの製品が皆さまの生活にさらに寄り添うことができるように、毎日研究を続けています。
──今もどんどん進化しているんだ……!
こんなのあったんだ!? サーモスが過去に開発した「ユニークすぎ」3商品
──次はせっかくなので、サーモスのトリビア的なお話を伺いたいです。「これを知っておくとサーモス通!」というような、珍しい製品はありますか?
笠原さん もちろんありますよ! サーモスは長年培ってきた断熱に関する技術を活かして、水筒以外にもこれまでさまざまな製品を開発してきました。今回は過去に販売していたこの3つを紹介しますね。
笠原さん こちらは左から「豆腐屋さん」、「パスタクッカー」、「シャトルチューブ」です。
──なんだか見たことないものばかりだ!
笠原さん 1993年に発売された「豆腐屋さん」は沸騰させた豆乳に凝固剤を加えて保温することで、本格的な豆腐を作れる調理器具です。わずか20分で簡単に手づくり豆腐を楽しめます。サーモスが培ってきた保温調理の技術が、豆腐の調理に活かされているんです。
──こんな調理器具出してたんだ! いまもう一回発売したら、流行りそうな予感がします。
笠原さん 2006年に発売した「パスタクッカー」は、塩とパスタをセットして、沸騰させた2リットルのお湯を注ぎ、通常の茹で時間+3分置いておくだけでアルデンテの茹で加減に仕上げてくれるというものです。
笠原さん 開発者はパスタ同士のくっつきを防ぐべく研究を重ね、会社でも家でもパスタを茹で続けたと聞きました。結局、お湯を沸かすならそのままその鍋で茹でたらいいだろうと考える人が多かったのかもしれませんが……。開発の苦労がにじむ製品です。
──でも、これを使ってパスタを茹でればコンロは別の調理に使えますよね。お湯が噴きこぼれる危険もないし、現代のらくらく調理のニーズにも合ってそう。
笠原さん 3つ目は、1989年に発売した「シャトルチューブ」です。筒型の真空断熱構造で、缶ビールや缶ジュースをそのまま入れて持ち運ぶことができます。付属のインナーボトルを使えば、カットフルーツやシチューなどの食材も温度を保ったまま運ぶことができます。汎用性が高いので、キャンプやアウトドアで活躍していたようですね。
──これ欲しいかも! 音楽フェスや友達との宅飲みに持っていくのに良さそう。今でも活用シーンがたくさんありそうです。
笠原さん どれもユニークな製品ですよね。残念ながら大ヒットとまではいきませんでしたが、お客さまに新たなライフスタイルを提案するというサーモスのチャレンジ精神がこれらの製品に現れていると思います。今見ると逆に新鮮で、時代を先取りしすぎたのかもしれません。
限定アイテムも登場予定! 10月18日から開催されるサーモス120周年記念イベント
──最後に、サーモス120周年を記念したイベントがこれから開催されると聞きました。詳しく教えてください!
笠原さん 10月18日〜20日の3日間、六本木ヒルズ 大屋根プラザで、サーモスの歴史や今後のブランドの歩みが展示されるイベント「次の心地よいをつくる。THERMOS 120th Anniversary Event」を行います。ここでもお見せした約120年前のボトルから最新製品までの展示や、サーモスのアパレル小物のあったか靴下が当たるキャンペーンを実施します!
もちろんイベントでは製品を購入することもできます。水筒やスープジャー、調理器具などだけでなく、靴下やアームカバーなどアパレル小物も販売します。サーモスの保温技術を生かして、これからの寒くなる季節に便利な製品も実はたくさん作っているんですよ。
笠原さん 水筒で注目してほしいのは「サーモス 120周年アニバーサリーセット」です。このイベントと一部店舗でしか入手できない製品なので、ぜひチェックしてほしいですね。
──限定や記念商品に目がない筆者としてはぜひチェックしたいですね……。
笠原さん それと、イベント内容の一つとして……
笠原さん この、サーモスカーのガチャも登場する予定です。
──欲しすぎる!!!!
笠原さん 今までサーモスを愛用いただいてきた方や、これからサーモス製品を使ってみようという方にもぜひ楽しんでいただきたいイベントです。サーモスのチャレンジングな歴史や、これからサーモスが目指すビジョンを広く知っていただければ幸いです。サーモス製品にさらに愛着が湧くきっかけになればこんなにうれしいことはありません。
よりサーモス製品に愛着が湧いてきた!
以上、サーモスの歴史と魔法びんの仕組み、ちょっとユニークな過去製品までたっぷりお話を伺いました。歴史を学んだおかげで、いま自分が愛用している真空断熱タンブラーにさらに愛着が湧きました。お前すごいやつだったんだな……!
次回は、10月18日から始まる120周年記念イベントをレポートします。どんなアイテムと出会えるのか今からわくわくです。そして絶対にサーモスカーのガチャを回すぞ! それではこのへんで!
「次の心地よいをつくる。THERMOS 120th Anniversary Event」
- 開催期間:10月18日〜20日
- 会場:六本木ヒルズ 大屋根プラザ
※ 本イベントは終了いたしました。(10月21日 編集部追記)
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提供:サーモス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2024年10月21日