セーラームーンの衣装を200着以上制作 コスプレ歴26年の“ストイックなオタク”を直撃 「セーラームーン研究家という表現が近い」(1/3 ページ)

「セーラームーン」のオタクたちを直撃。

» 2024年09月30日 11時00分 公開
[小倉英里ねとらぼ]

 さまざまなジャンルやコンテンツに存在する“オタク”。ねとらぼでは、新企画「オタクらぼ」として、SNSやYouTubeなどを通して“推し活”などをしているオタクの方に迫っていきます!

 第1回目のテーマは、1990年代から現在まで世界中で愛されている「セーラームーン」のオタクたちを直撃。

 今回は、セーラームーンのコスプレイヤーで衣装制作も手掛ける“セーラームーン研究家”のオタク、うさこさん(@princessusako)にインタビューしました!

ogu うさこさん

セーラームーンのコスプレや衣装作りで話題に

―― うさこさんといえば、以前ねとらぼでも取り上げたことがある、衣装制作やコスプレが話題ですよね!

うさこさん コスプレイヤーとしての活動が際立ってはいますが、実はコスプレも衣装製作もセーラームーンへの愛情表現の1つの手段でしかありません。コスプレイヤーというよりは“セーラームーン研究家”という表現が一番近いと感じております。

 1998年から“変身”を始め、気が付けば26年という月日がたっていました。四半世紀の間、“セーラー戦士に変身”していますが、30世紀の未来(※同作に登場する未来都市は30世紀)にはまだまだ及びません!

―― 今までコスプレしたことがあるセーラームーンのキャラは何ですか?

うさこさん メインの戦士や敵キャラまでたくさん手掛けてきたので、全て書き出すのは難しいのですが、衣装バージョンの違いはカウントせずで30〜40キャラくらいでしょうか。

ogu 美しいプリンセス姿……!

 ちなみに、人生最後のコスプレは既に決めてます! この身を焼かれた後の骨ツボに、黒い布を被せ“ワイズマン”(アニメでは「美少女戦士セーラームーンR」に登場する敵キャラ)になって成仏する算段を立てています。

―― 一番お気に入りの衣装は何ですか?

うさこさん  一番は何と言ってもセーラー戦士の戦士服です。セーラー戦士へ強い憧れを抱き、いつか華麗にメークアップしたいと高い目標を掲げてコツコツと26年間、約200着以上の戦士服を制作し、ラインの研究を続けてきました。

 中でもエターナルセーラームーンは肩の球体部分や羽の部分、3枚構造のスカートのバランスを取るのが難しく、ずっと課題にしていた一着でした。劇場版コスモスの上映をきっかけに、しっかり向き合い制作した衣装が長年技術を積み重ねようやく作れた結晶のように見え、特に思い出深い一着です。

―― 衣装制作において、こだわりポイントはありますか?

うさこさん コスプレの衣装製作で特に意識しているのは、2次元を3次元にしたときの矛盾点をどうやって穴埋めするかです。

 人間には厚みがあり、手足の長さも腰の位置も2次元のキャラとは違います。衣装の構造に関しても、そのまま再現することは難しい時もあります。いかに自然に3次元に存在しているように立体的に仕上げるかが、制作においての醍醐味だなと思います。

 衣装の色味や質感なども一枚のイラストから分析して生地を探しに行きます。原作者の武内直子先生の戦士服の上品な艶感を出せる種類のサテンを探し回ったり、色に関してはイメージ通りの物が見つからない場合は、生地を家で煮て染めることもあります。色味の立体感を出すために、絵の具の色を混ぜる感覚で二種類の生地を重ねてみたりもします。

 そうやって足し続けていくと、どこもかしこもゴテゴテしいものになってしまうので、引き算もするように心掛けています。際立たせたい部分と抑える部分を調整し、全体のバランスを整えていきます。

―― コスプレイヤーとして、撮影などでこだわりはありますか?

うさこさん コスプレの作品作りの面白いところは、一人では作れない部分だなと思っています。

 モデルの衣装とポージングで表現するキャラの解釈に、カメラマンさんのライティングや構図の撮り方などの解釈が足され作品が出来上がっていく様子はまさに、色んな人の仕事が積み上がり仕上がっていくアニメ制作現場のようでとてもたぎります。

ogu セーラームーン姿

 完成度の高い作品を仕上げるために自分にできることは、被写体として隙のない素材を提供することだと思っています。そのためには日頃からキャラ分析はもちろん、ポージングのイメトレも大事になってきます。しなやかなセーラー戦士のポージングを表現するためにジムでストレッチを欠かさず続け体の柔軟性をキープしたり、背筋を鍛える筋トレをしたりもしています。

 撮影当日も、カメラを向けられている時は360度どこから撮られてもキャラであるよう常に意識し集中しています。ガレージキットのような切り取られた躍動感のあるポージングが好きなので、大抵髪の毛を飛ばしたりスカートを投げたり、ジャンプしたりくるくる回ったりしています。お気に入りの一枚が撮れるまで粘り、何度もチャレンジしてこれだ!という一枚が撮れた時の達成感と満足感はたまりません。

―― ご自身でセーラームーンを表現し続けているうさこさんですが、“セーラームーンを推すこと”はどんな意味がありますか?

うさこさん セーラームーンは、私の心の中に深く根付いた巨木のような存在です。30年かけて成長していき、芯がブレず胸の中にあり続けるので、安心して寄り添っていられます。

 子どもの頃からセーラームーンと共にいろいろな時代を経て、他人からもさまざまな意見をもらいました。時代にそぐわないと批判されたり、笑われたことも多々あり、結婚して出産した後は「親になってもまだコスプレしていて母親失格」と言われたこともありました。

 「推し活」と言う言葉が普及し、価値観の多様性が認められてきた昨今では、どちらかと言うと「励みになる」など、お褒めいただくことが増えてきた気がします。

 私自身、当時から何一つやっていることは変わらないのですが、時代によって周りの反応が変化していくのは興味深かったです。この30年を振り返ってみると、他人の評価などその時々でほんの一瞬過ぎ去っていく、ただの景色だったなあと感じることができます。

―― 最後にうさこさんにとって、セーラームーンの魅力とは何でしょうか?

うさこさん セーラームーンの魅力は、アニメ放送当時子どもの頃と大人になった後では変化してきています。当時は華麗に変身するうさぎちゃんの変身バンクにときめき、かわいくてカッコいいお姉さん的セーラームーンに強い憧れを抱いていました。

 大人になってからは敵側の心情にも深く共感していきました。お互いが己の正義を信じ、強い信念を持ち、それをぶつけあっているだけなのだと理解してからは、両者の凛々しさに痺れて、より一層作品にのめり込んでいます。

画像提供:うさこさん(@princessusako)

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた