キモイのに男前 Twitter時代の“マジレス型ゆるキャラ”「まんべくん」にファン熱狂(1/3 ページ)
「見た目はちょっとキモい、動きは奇妙、でも中身は男前」――北海道・長万部町のゆるキャラ「まんべくん」が東京に降臨。ファンの黄色い歓声を浴びながら踊り続けた。
「かわいい!」――4月2日、東京・新宿のイベントスペース「ロフトプラスワン」で、若い女性の黄色い声が飛び交った。彼が歩くだけで、階段を上るだけで、しゃがむだけで「キャー!」。ステージ上の彼を、歓声で包む。
このイベント、チケットは発売5時間で完売し、ニコニコ生放送やUstreamでライブ配信され、新聞やラジオ、ネットニュースの取材も入った。人気歌手か、俳優、声優のイベントか。いや違う。「まんべくん」のワンマンショー「東京まんべ会」だ。
まんべくんは、北海道の南側に位置する小さな町・長万部町の公式ゆるキャラ。頭髪はアイリスの花、耳はホタテ、体はカニという珍妙ないでたちで、頭の大きさは人の5倍以上もある。「かわいい」と感じるかは意見が分かれるところで、「キモイ」と思う人も少なくないだろう。
だがまんべ会に集まった150人あまりのファンからは、「かわいい!」「かっこいい!」など絶賛の声しか上がらない。詰めかけたファンの多くが20代前半の若い女性で、温かい声援や見つめる目線から、単なる「ゆるキャラの応援」を超えた、強い愛が感じられる。
北海道の小さな自治体のゆるキャラ・まんべくんが東京でここまで深く愛されているのは、Twitterの力だ。
前代未聞 Twitter時代の“マジレス型ゆるキャラ”
まんべくんは2003年、長万部町のキャラクターを公募した際、107の応募作品から選ばれたキャラで、フルネームは「おしゃ・まんべ」。現在7歳という設定だ。2010年ごろから本格的に活動を始め、北海道を中心にイベントに参加したり、市街に突然現れる「ゲリラ」を行うなど地道に活動してきた。
全国的に知られ始めたきっかけは、10年10月にスタートしたTwitter(@manbe_kun)だ。
彼のTwitterはいつも“ガチ”だ。ゆるキャラにありがちな癒し系ツイートではなく、地元批判や自治体批判もいとわない。例えば「長万部のいいところは? 」と聞かれ、返した答えは「くっ、おいしい空気ッ!」。「長万部のかにめしおいしいよね」とほめられても「※店による」とマジレスする。
よりよい町作りのためにフォロワーから意見を募る一方、町の観光協会を厳しい言葉で批判することも。東日本大震災の直後には、被災者の受け入れを急ぐよう長万部町に意見してほしいと呼びかけるなど、町を外から刺激し、改善しようという強い意志が見える。
震災以後は「買い占めかっこ悪いよ」「節電かっこいいよ」と毎朝つぶやき、募金活動をスタート。何者にも媚びず、自らが正しいと思うことを貫く“男前”な姿勢が人気につながっている。
とはいえ実は、長万部に関連するツイートは、3日に1度もあればいいほう。つぶやきの大半は、長万部とまったく関係ない内容で、自治体公式と思えない話題のフリーダムさや、1日平均約270ツイートという過剰なつぶやき、密すぎるフォロワーとのコミュニケーションが人気の秘密だ。
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