背が高いのはいいことだ 『富士山さんは思春期』で高身長女子に萌えろ!(2/2 ページ)
背が大きいのにかわいい、いや、背が大きいからこそかわいいんだ。8月28日に最新7巻が発売された『漫画アクション』(双葉社)で連載中のマンガ『富士山さんは思春期』。本作の魅力と、作者・オジロマコトさんへのインタビューをお届けする。
最新7巻の見どころをチラ見せ
7巻では、2月から、新年度がスタートする4月までの2カ月間の出来事が描かれる。二人が子どものころ体験した児童館での豆まきに鬼役として参加したり、バレンタインデーがあったり、ちょっとしたすれ違いがあったり(!)。特に第58話「富士山さんを腕に抱き」は必見。ほとんど最初から最後まで、二人が抱き合っているシーンという思い切った構成に仕上がっているのだ。
これまで二人が密着するシーンでは、上場に下心が働いて胸に手が伸びたり、体に当たる胸の感触に意識が向いてしまったりといったことが多かった。しかし、7巻ではそういった描かれ方は一切していない。夏から冬と、二人が付き合い始めて半年ほどしか時間は経過していないが、二人の「恋」は「愛」へと昇華し始めているのかもしれない。
『富士山さんは思春期』は編集者の思いつきから生まれた
―― 締め切り前の忙しい時期にインタビューを受けていただきありがとうございます。初めに、オジロさんがマンガ家になった経緯を教えてください。
オジロ 小学校の図工の時間に、課題の絵を描いていると人だかりができたんです。クラスで一番絵がうまく、自分は天才じゃないかと思いました。それで調子に乗って中学生のころからマンガを描き始めたのですが、その時にはもう、自分より上手く描ける人は何人もいたので埋もれて、ひっそり描いていましたけど。30ページちゃんと描き切れたのは18歳のときですね。そのとき描いた漫画の内容は少年漫画でした。
―― 『富士山さんは思春期』のアイデアはどのように生まれたのでしょうか。
オジロ それまでお付き合いのなかった「漫画アクション」の編集の方がわたしに会いに来まして、「オジロさんが描く背の大きい女の子の話を読みたい」と言われたんです。それで、面白そうだと思ってネームを描いたところ、この連載が決まりました。
―― 編集者のアイデアだったんですね。富士山さんにモデルとなった人物はいますか?
オジロ 女子バレー日本代表の選手たちです。主に、腰からお尻のラインを参考にさせていただいてます。特に、良いお尻を描けた日はご飯がおいしいです。
―― その富士山さんを描くに当たって、苦労している点はありますか?
オジロ 大きな全身を原稿に収めきるのは苦労しますね。上場と一緒にいるシーンでは、見上げる視点に注意して描いています。
―― 描く上で、影響を受けた作品はありますか?
オジロ 宮崎駿さんのアニメ「耳をすませば」です。見ていてくすぐったくなるあの感じが、自分のマンガでも出せたらいいのにと思います。
―― もう既に悶えてしまうレベルなのに、これ以上パワーアップしたら一体どんなことに……。ところで、作品の登場人物は中学生がメインですが、セリフや行動が本当にリアルで。オジロさん自身の学生時代を思い出しながら描かれているのでしょうか。
オジロ ありがとうございます。中学生の思春期を、現実的にあり得るギリギリのラインで描くことを注意しています。過激にすればよい訳ではなく、とはいえ、二人の関係性が進むように見せるにはどうすればよいかをいつも考えています。自分が中学生だったときの記憶はだいぶ忘れかけているので、思い出すのも大変ですね。
ちなみに、1巻5話目の神社で追いかけっこをしている回は、取材をしに行った神社でたまたま追いかけっこをしている中学生の男女を見掛けたので、それをマンガにしました。
―― 本作では、マンガ好きでもあまり開くことはない奥付にマンガを描くというアイデアを1巻から実行していますが、反響はどうですか?
オジロ 担当編集によると、奥付マンガも楽しみにしているという読者が多いようです。数ページですが、単行本を買っていただいた方へのお楽しみ要素なので、毎回内容を熟考した上で描いています。
―― 作中では、言葉を使わず、描写で魅せるシーンがよく見られますが、意識して描いているのでしょうか。
オジロ なるべく読者の方に主人公たちと同じ目線で楽しんでほしいので、言葉よりも臨場感が伝わるように工夫はしています。実生活では相手の気持ちが分からないのが普通なので、富士山さんのモノローグも使わないようにしています。
―― 貴重な原稿の写真を送っていただきありがとうございました。こちらはどういうシーンですか? 上場が頬を赤くしている理由も気になります。
オジロ 7巻の続きの第60話の1シーンです。7巻の最後で二人の環境がちょっと変わるのですが、それを初めて実感できる象徴的なシーンです。
これまで見ることのできなかった新鮮なシーンであることは間違いなさそうだ。「漫画アクション」9月1日発売号に掲載の第60話、7巻を読んだ後にチェックしてみては。
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