週刊少年マガジンにて「UQ HOLDER!」を連載したり、漫画の著作権や二次創作を守る活動をしたりと多方面で活躍中の赤松健先生ですが、パソコンへの造詣が深いことでも有名です。古く貴重なビンテージパソコンをいくつも所有し、趣味で動態保存しています。
そんな赤松先生、最近、コレクションの中の1台、約40年前に発売されたApple IIに頭文字Dばりのフルチューンを施し、さらには漫画の執筆にも使えるようにカスタマイズしています。まるでハチロクでSUPER GTに挑むような、一見無謀とも思える試みですが果たして……?
Apple IIとはアップルが1977年に発表した、世界初の大量生産されたパーソナルコンピュータです。Apple創業者、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックの才能を世界に示した製品であり、iPhoneの遠い遠いご先祖さまとも言えます。
赤松先生のApple IIは、最新の教育・ホビー用シングルボードコンピュータ「Raspberry Pi」を搭載しています。Apple II Piという珍しい拡張カードがこれを実現しています。
ここまでならただの道楽なのですが、赤松先生はここで「Apple IIを漫画執筆に使えるようにすれば、このカスタマイズをお仕事と主張できる」ということに気付きます。そしてついにはApple IIを用いて原稿を表示し、多少の修正も可能な環境を構築しました。この天才的ひらめき+かわいい女の子の画像は2800回以上リツイートされました。
現在赤松先生は、Apple IIにWindows XPをインストールしようとしています。現在多くのプロが使用している漫画原稿制作ソフト、ComicStudioを Apple IIで使おうとしているようです。
しかし、Windows上でApple IIのエミュレーションをする例は聞きますが、Apple IIでWindowsを動かすなんて例はあまり聞いたことがありません。赤松先生はまず、Apple IIに内蔵したRaspberry Pi上でLinuxを起動、その上でx86エミュレータ“QEMU”を動かし、さらにその上でWindows XPを動かそうとしているようです。もうなにがなんだか。
さらに赤松先生はApple IIに内蔵していた 初代Raspberry PiをRaspberry Pi 2に変更しました。これで理論上、起動時間は2倍、処理速度は5倍以上速くなります。Raspberry PiではたとえWindows XPが動いたとしても、起動時間だけで20分もかかってしまう可能性があります。Raspberry Pi 2でうまくWindows XPを動かすことができれば、起動時間もぐっと縮めることができそうです。
ちなみにもともとApple IIに搭載されていたCPU「6502」に対して、赤松先生がApple IIに搭載したRaspberry Pi 2のCPUは約1万1000倍の速さとなっています。これだけチューンすれば、Windows XPもなんとか実用速度で動かすことができるかもしれません。ところが……。
いまのところ、Apple IIでの漫画の執筆はまだ成功していないようです。でも赤松先生ならいつか、ビンテージパソコンならではの漫画表現をみせてくれるに違いありません。
ちなみに赤松先生、Apple IIに比べるとさらにレアな、Apple IIIも所有しており、こちらもフル拡張されています。すごい。
(ヒグチマサキ)
追記
その後いろいろあってついにWindows XPの起動に成功! ……したものの、起動だけで30分もかかるなど、まだまだ実用化への道は遠いようです。
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