佐村河内守氏のゴーストライター騒動を映画化したドキュメンタリー作品「FAKE」が、東京・渋谷の「ユーロスペース」などで6月4日から全国公開されます。
聴覚に障がいを持ちながら「鬼武者」などのゲーム音楽や「交響曲第1番 HIROSHIMA」といった作品を手掛け、「現代のベートーベン」と呼ばれていた佐村河内氏。
その名が一気に知れ渡ったのは、音楽家の新垣隆氏が、18年間にわたって佐村河内氏のゴーストライターとして作曲していたことや、佐村河内氏の耳が聴こえていることなどを告発した週刊誌報道がきっかけでした(騒動の関連記事)。
過熱する報道の中、佐村河内氏は、主要な楽曲が自身だけの作曲ではないことを代理人を通じて公表しました。また、後日行われた会見ではゴーストライター騒動を謝罪する一方、新垣氏に対しては名誉棄損で訴える可能性があると語り、その後は沈黙を続けてきました。
そんな佐村河内氏を追う同作のメガホンをとるのは、オウム真理教をテーマにした、ドキュメンタリー映画「A」で知られる森達也監督。
佐村河内氏の自宅で撮影を行い、そこへ取材に来たメディアなどの様子も映し出されるようです。
果たして作中で何が明らかになるのか、「誰にも言わないでください」と、うたわれた「衝撃のラスト12分」に注目が集まります。
森達也監督コメント全文
肩書きの一つは映画監督だけど、4人の監督の共作である「311」を別にすれば、「A2」以来だから、「FAKE」は15年ぶりの新作映画ということになる。
もちろんこの期間、テーマなら下山事件に東京電力、被写体なら中森明菜や今上天皇など、撮りかけたテーマや被写体が皆無だったわけじゃない。何度か試行した。でも結局は持続できなかった。数年前くらいからは、もう二度と映画を撮ることはないかもしれないなと内心は思っていた。
でも今年、やっと形にすることができた。映画で大切なことは普遍性。単なるゴーストライター騒動をテーマにしているつもりはもちろんない。誰が彼を造形したのか。誰が嘘をついているのか。自分は嘘をついたことはないのか。真実とは何か。虚偽とは何か。この二つは明確に二分できるのか。メディアは何を伝えるべきなのか。何を知るべきなのか。そもそも森達也は信じられるのか。
……視点や解釈は無数にある。一つではない。もちろん僕の視点と解釈は存在するけれど、最終的には観たあなたのもの。自由でよい。でもひとつだけ思ってほしい。
様々な解釈と視点があるからこそ、この世界は自由で豊かで素晴らしいのだと。
(Kikka)
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人権侵害はあったのか。