大洗鹿島線を運行する鹿島臨海鉄道(茨城・大洗)が6月17日に2016年3月期決算を発表し、経常利益が2540万円9000円と、2期ぶりに黒字となったことが分かりました。黒字の大きな要因は、昨年11月に映画「ガールズ&パンツァー 劇場版」が公開されたのにともない、作品の舞台である大洗町への観光客が増加したためだと同社は説明しています。
同社の財務課担当者によると、今期の経常利益は旅客も貨物も100%を達成し、特に旅客での売上高が増えたとのこと。定期外旅客(観光客など定期券を利用しない旅客数)は、震災や原発の影響で年々減少していましたが、今期は映画の公開をきっかけに観光客が多く訪れるようになり、結果として年間81万2000人と前期から2万4000人増えました。
大洗鹿島線では「ガールズ&パンツァー 劇場版」のラッピング車両も定期的に運行していますが、運行の有無に関わらず全体的に定期外旅客は増えているそう。大洗駅では普段からラッピング車両を留置しており、多くの観光客が写真撮影を目的に入場券を買うこともあり、入場料の売上は前期比160%となりました。同線は大洗駅と新鉾田駅以外は無人駅で、このように入場券が多く購入される状況に「ガルパン効果を感じる」と担当者は話します。
「昨年に『ガールズ&パンツァー 劇場版』が公開され、それにともない観光客が増えて当社や大洗町が大いに賑わいました。できれば映画公開の影響が今後も長く続いて欲しいところです。ラッピング車両は本年度も引き続き運行しようか、検討する声があがっています」(担当者)。
定期外旅客は増える一方で、定期旅客(定期券利用の旅客数)は、メインとなる高校生の利用客が少子化の影響で毎年2%ずつ減っており、今期は129万3000人でした。輸送人員(全体)も結果的に約2000人減となっています。ガルパン効果で売上高が増えたのは確かですが、これを継続できるかどうかが同社の課題の一つとなりそうです。
今期の営業収益は11億4697万円、前期から約3万円減とほぼ横ばい。広告収入など営業面は振るわなかったものの、運賃収入が昨年に比べ増加したのが大きかったとのこと。純利益は7%減の1653万円でした。
(黒木貴啓)
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