五輪レスリングでビデオ判定申入れは「大会マスコット人形を投げ入れる」 斬新なルールについて協会に聞いてみた
リオデジャネイロオリンピックのレスリングで、ビデオ判定を要求するときにセコンドが大会公式キャラのぬいぐるみを投げる光景が話題に。実は過去にはドラえもんが使われたことが……!
48キロ級で登坂絵莉選手、58キロ級で伊調馨選手、69キロ級で土性沙羅選手と、日本人の金メダルラッシュが続いているリオ五輪レスリング女子。華々しい活躍の一方で、今大会のレスリングではビデオ判定を申し込むときに、大会マスコットのぬいぐるみをセコンドがマットへ投げ入れるルールになっていることがネットで話題になっています。何それ、なごむ。
レスリングでは2009年1月にチャレンジ(ビデオ判定)の国際ルールが変更。セコンドが1試合に1回だけ審判団に要求でき、認められた場合は得点が修正、認められない場合は対戦相手に1ポイント入るルールになっています。
日本レスリング協会に取材したところ、最初はセコンドがラケットを審判に見せてチャレンジを申し込むという仕組みでしたが、審判が選手に注視してしまいセコンドに気づかない場合が多く、不満の声が続出。同年秋ごろから、各コーナーの色がついたスポンジをマット上に投げ入れてチャレンジ申請するルールに変わりました。
リオ五輪ではこの投げるものが、大会マスコット・ヴィニシウスくんの人形になっています。青コーナーの人形は青いシャツ、赤コーナーのは赤いシャツを着用。真剣に戦う選手のそばに、にかっと笑ったヴィニシウスくんが、ぽすっと放り込まれます。不覚にも笑ってしまう。セコンドの前にいつもヴィニシウスくんが待機している様子もかわいいです。
日本レスリング協会によると、チャレンジで投げるものは国際ルールでは「柔軟なもの」と規定されているだけ。具体的に何にするかは各大会の主催が決めているそうです。同協会が開催する国内大会では、発泡スチロールにカッティングシートを貼った、1辺30〜50センチほどのスポンジを用意しています。「軽くて片手でも投げやすく、選手を傷つけないものを選んでいますね」と担当者。
実は、今大会のように人形が選ばれるケースは珍しくないそう。ある中国の世界大会では、ドラえもんのぬいぐるみだったことが。2014年にクロアチアで行われた世界ジュニア選手権ではアプリ「アングリーバード」の人形が使われ、出場していた若手レスラーたちからも「かわいい」と喜ぶ声があがったと言います。
「五輪はスポーツの“祭典”なので、リオ大会でもマスコットの人形が使われているのかもしれません。審判の服装も一般的には黒無地ですが水色に黄色と派手なデザインですし、マットのサークル中央にも五輪のロゴが入るなど全体的に賑やかになっています。チャレンジで投げ込まれるものがどんなデザインであろうが、勝負には関係ないことなので問題ないと捉えています」(日本レスリング協会事務局)。
今大会の人形について、日本代表選手からの反応は特に聞いていないとのこと。伊調選手など女子レスリング選手たちが好成績を残していて何よりですが、何か人形に思うところがあったらこぼれ話として聞いてみたいところです。
(黒木貴啓)
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