YouTubeが著作者をあべこべに判断 音源を無断使用された音楽家の動画が再生できなくなるトラブルが発生
MVの制作会社は、著作権侵害を見つけ対処するシステム「Content ID」で、自動的に申し立てしていたと見られています。
マンドリン奏者の石橋敬三さんが、自身の曲を海外のMV(ミュージックビデオ)で無断使用され、さらに著作者であるはずの自分の動画がYouTubeで閲覧できなくなるというトラブルに見舞われていた件で、問題のMVが削除されたと報告しています。
石橋さんは8月下旬にブログ記事「著作権が根拠なく奪われようとしています。」でこのトラブルを報告して話題に。2011年に作曲しYouTubeに公開していた「Aries」の音声が、「著作権侵害の申し立て」を理由にミュートされたことを明らかにしました。8月16日に公開されたレバノンの歌手、スィーリーン・アブデンヌールさんのミュージックビデオでAriesの音源がそのまま使用され、YouTubeが著作権保有者をあべこべに判断したためだと思われます。問題のMVのクレジットには石橋さんの名前がなく、「完全に故意」であり「権利を侵害している」と訴えていました。
YouTubeに異議申し立てを行ったものの、事態は変わらず。著作者が著作権を侵害しているとされ、著作権を侵害している側に著作権が認められるという不可解な状況に陥っていました。なお、ミュージックビデオを制作したレバノンの音楽プロダクション「Watary Production」は、自動的に著作権を侵害している動画を見つけ出し、対処するシステム「Content ID」を利用していたと見られています。これらの件は、石橋さんがブログやSNSで情報発信を行ったことから、ネット上で大きな話題になっていました。
その後、YouTubeから「動画に対する著作権侵害の申し立てが撤回されました」とするメールがあり、「Aries」の動画は正常に再生できる状態に。反対に、レバノンのMVが削除されました。石橋さんはこのような急展開が起きた理由を、YouTubeが「世間での動きに反応する形で、YouTubeが私の申し立てを受け入れた」ためではないかと推測しています。
8月29日に公開された記事「【結論】海外プロダクションによる石橋敬三作品の盗用問題について」によれば、Watary Productionは石橋さんに対し、音源の無断使用はディレクターが単独で行ったと説明しており、現在は該当箇所を別音源に差し替えたバージョンをYouTubeにアップロードしているとのこと。また、同記事では今回の件によりネット上で批判されたJASRACへのフォローなどを記載しています。
(マッハ・キショ松)
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