萌えとカフェインを同時に補給! コーヒー好きによる同人誌「珈琲読本」がエスプレッソのように濃厚だった:司書メイドの同人誌レビューノート
現在、第9巻の「ホットカフェモカ特集号」まで刊行中。
シャッツキステでは紅茶をお出ししています。でも、おいしいものに目がないメイドも多いので、いろんな食べ物や飲み物の話に花が咲くことも。そんなときに、「コーヒーって入れ方に気を使うと、本当に味が違うよ」と聞きました。花のほころぶ季節、でもまだ冷たい風に首をすくめてしまうこんな季節に、コーヒーでほっと一息つきたいですね。
今回紹介する同人誌
「珈琲読本 Volume.8 〜そとカフェ満喫スタートブック〜」 B5 28ページ 表紙・本文カラー
「珈琲読本 Volume.9 〜ホットカフェモカ特集号〜」 B5 24ページ 表紙・本文カラー
著者:ミナヅキトウヤ
各巻のイラストレイヤー(50音順、敬称略)
珈琲読本 Volume.8:なぎさほのか、はすみみるく
珈琲読本 Volume.9:あきやまねねひさ、天童まくら、なぎさほのか、雪兎
とにかく丁寧。写真とコメントで細やかに解説
こちらの同人誌を制作されたサークルさんは、コーヒーに関する本をこれまでに多数出されています。自転車などの同人誌も出されていらっしゃるのですが、とりわけこの「珈琲読本」は長いシリーズで、もう9冊目!
8巻は“そとカフェ”と称して、野外でお湯を沸かしてコーヒーを入れる楽しさを解説。9巻はコーヒーとチョコレートを合わせた“カフェモカ”の作り方が中心です。どちらも全ページカラーで、器具や入れ方の写真が大量に掲載されており、1つ1つのコメントが丁寧!
例えばコーヒーミルの使い方の説明には「コーヒー豆をひく分だけ中に入れます。1度にひける豆の量は1〜2杯分なので入れすぎないように気をつけましょう」と書かれています。さらりと読んだら「入れすぎないように」なんて、当たり前の事だと思われるかもしれませんが、これくらい丁寧に書いてくださると、「あ、入るなら、たくさん入れよう! まとめてたくさんひいておくと手間も省けるし」と考えてどばーっと入れるタイプの人が、思い付きだけでやってしまって後から大変なことに……という悲劇が未然に防げるんです。そう、私みたいに……。
かわいい女の子イラストも! 「これでもか!」と初心者をコーヒー道に導きたい感にあふれた内容
随所に見られる細やかな気配りは、“カフェモカ”特集の9巻でも発揮されています。レシピに添えられたコーヒーの断面図には、下からチョコレート、エスプレッソ、泡立てた牛乳、ホイップクリームが積み重なっているのが視覚から分かり、「カフェモカってこういうものか……!」と一目で理解できます。制作前に、これから作る物の全体像を把握するって理解度が高まりますよね。このレシピの設計図化、何気ないですがとっても分かりやすいです。
そして、各本にはゲストさんから、かわいい女の子のイラストが寄稿されています。サークルの看板娘さんが、掲載されたレシピと同じコーヒーをおいしそうに飲んでいるのを見ると、作ってみたい欲が高まります。丁寧な説明に、かわいいイラストで、「どこからでも初心者をおいしいコーヒー道にご案内しますよ!」という作者さんの思いが発信されています。
さりげない一言に見え隠れするコーヒー好きのヘビーなせりふが奥深い
きっと、こんな本を出されるからには作者さんご自身もコーヒーがお好きなんだろうな、と実感する一文に出会いました。それは、カフェモカとお菓子の食べ合わせを考えるページにありました。
「甘いものを摂り過ぎてしまったら、ブラックのコーヒーか牛乳を飲めばある程度中和することが出来ます」
って……。えっ? お菓子とカフェモカで口の中が甘くなったら、ブラックコーヒーを飲めばいいじゃない……って、カフェモカとコーヒーのエンドレスループでは……! どれだけコーヒーがお好きなのでしょうか。いや、ミルクティーの次はストレートティーにしようとか紅茶でもありますね。ありますけど……でもやっぱり、こんなに丁寧に、そしてたくさんの本を作ってらっしゃる端々に、コーヒーとそれを楽しむことが大好きで、「コーヒー楽しいよ!」と呼びかけているやさしさを感じるのです。
サークル情報
サークル名:柚子屋茶寮(ゆずやさりょう)
Twitter:@yuzu_touya
Webサイト:http://yuzuyasaryo.hatenablog.jp/
本の入手先:COMIC ZIN、BOOK WALKER
今週のシャッツキステ
著者紹介
司書メイド ミソノ:秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」でメイドとしてお給仕する傍ら、とある大きな図書館で司書としても働く“司書メイド”。その一方で、こよなく同人誌を愛し、シャッツキステでも「はじめての同人誌づくり」「こだわりの特殊装丁」の展示イベントを開く。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えた辺りで数えるのをやめました」と語る
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