海外旅行などで余ってしまった外貨を手軽に電子マネーに交換できるサービス「ポケットチェンジ」。昨年(2016年)6月に端末が楽天本社に設置され大きな注目を集めましたが、ついに2月20日からは羽田空港でも稼働が開始されました(関連記事)。そこで今回は、ポケットチェンジの発案者であり同社のビジネス周りを担当している松居さんと、同社の代表でプロダクト・サービスの開発全般をリードしてきた青山さんに話を聞きました。
海外ではコインが溜まりがち? 行動心理の分析からコンセプトが明確に
―― ありそうで無かったサービスですが、もともとどういった経緯で始まったプロジェクトだったのでしょうか。
松居 5年ほど前から、余ってしまいがちな外貨の問題をなんとかしたいなと思っていたんです。ただ、ネタとしてはあったのですが、なかなか着手できずにいました。当時勤めていた会社で弊社代表の青山と半年ほど一緒に仕事をしていたのですが、たまたま2人が会社を辞めるタイミングが重なりまして。その際、「一緒に何かやろう」という話の中で「ポケットチェンジ」の案が出ました。
―― アイデアとしては何年も前からあったわけですね。実際に形にする中で特にこだわった点は何ですか?
青山 とにかくユーザーに負担をかけないようにするのが大命題でした。帰国時に両替を怠ってしまうのは、急いで自宅や職場に帰りたいのに、少額の両替のために銀行や両替所にわざわざ並んで、書類を書いて、パスポートを出して……といったプロセスが面倒なのが大きいですよね。ささっとお金を投入して交換する、1秒でも2秒でもスピーディーに取引を完了させることを一番に考えました。
松居 そのための1つのアプローチが、硬貨をまとめて投入できるようにすることでした。海外にあまり行かれない人の場合、外貨のコインの価値を瞬時に認識するのが難しいんです。通常国内で買い物をする際には10円玉や100円玉を自然に組み合わせて支払いをしますが、海外ではとっさにそれができない。結局、10ドル紙幣は使うけど、小さな紙幣やよくわからないコインは沢山持ち帰ってしまう、という状況が発生しがちです。その解消のためにも、コインを複数同時投入できるようにこだわりました。
―― 楽天本社への設置後も、定期的に改良を重ねてきたと伺いました。
青山 昨年楽天さんに設置した際はドル、ユーロ、円にしか対応していなかったので、対応通貨を増やしてほしいというご意見を多くいただきました。現在はその3つに加え、中国元と韓国ウォンが交換可能になってます。交換レートを確認できるようにしてほしいという意見も多かったですね。現在は端末のトップ画面で確認可能です。
松居 よりマイナーな通貨への対応についても、根強い要望があります。数年に一度は行くという国よりも、一生に一度しかいかない国のお金のほうが処理に困ってしまうという(笑)。こちらに関しても、今後強化していきたいポイントです。
―― 設置箇所は今後増えていくのでしょうか。
松居 まだ発表できないのですが、国内の空港、駅、商業施設、海外などでも展開していく予定です。うまく行けば1〜2カ月ごとにサービス情報をアップデートしていけるのではないかと思います。ぜひご期待ください。
旅行から帰ってきてからも、つい自宅に眠らせてしまいがちな外貨。特に「コインを余らせてしまいがち」という海外旅行時の傾向に着目したのは面白いですね。現在羽田空港でのポケットチェンジ設置場所は、到着口の付近。今後は設置箇所を増やしていくのに加え、対応通貨を拡充していくほか、交換できる電子マネーや各種ギフト券の種類も増やしていく予定とのこと。海外旅行がより便利になっていきそうです。
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