地上最大の動物はアフリカゾウですが、アフリカゾウの走る速度は決して「地上最速」ではありません。体が大きければそれだけ筋肉量も増え、早く動けそうなものですが、実際には体の大きさと移動スピードは必ずしも比例していません。
これはなぜなのか、ドイツの研究機関「German Centre for Integrative Biodiversity Research(iDiv) 」と、ドイツの大学「フリードリヒ・シラー大学イェーナ」の指導の下にある研究チームは「身体の大きな動物が、なぜ早く走れないのか」という研究を行い、その結果として「あらゆる動物の最大移動速度を推測可能な数学的モデル」を発見しました。
この数学的モデルは比較的単純なもので、動物の最高速度を求めるのに必要な数字は「動物の重さ」と「動物が移動する場所(地上、空中、水中など)」のみ。たったこれだけのデータで、その動物の最大移動速度が約90%もの精度で求められるというのです。
さらに興味深いことに、この数学的モデルは地球上に存在している全ての動物種のみならず、既に絶滅してしまった動物種にも適応可能とのこと。
そして研究チームは研究の一環として、現在では絶滅してしまった恐竜たちの移動速度を求めました。トリケラトプス、ブラキオサウルスなど複数の恐竜と同時に計算を行ったところ、史上最大級の肉食恐竜ティラノサウルスの最高走行速度は時速27キロ、という結果が出たといいます。
この時速27キロというのは大体、慣れた人が走らせるロードバイクの平均速度程度の速さです。映画「ジュラシック・パーク」では人間たちを素早い動きで追い詰めていたティラノサウルスですが、実は自動車でいとも簡単に振り切れていたのかもしれません。
研究チームは「この数学的モデルを使用すれば、絶滅してしまった種であっても、その移動速度を簡単に求められる。今後の古生物学に役立つのではないか」とコメントしています。
(たけしな竜美)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ワシントン大学、機械学習で“口パク映像”を生成するシステム発表 音声から口の動きをリアルに再現して合成映像に
偉人がしゃべるVR映像の制作などに応用できるとのこと。 - Twitterの書き込み分析で暴動発生を早期発見 英大学が論文発表、警察よりも平均23分早く
データの有効活用。 - ドワンゴがディープラーニングを用いたアニメ中割り実験の論文を公開 スローモーション演出などへの活用に期待
ぬるぬる動いてはいる。 - カップリングは学問! (たぶん)世界初の「カップリング表記研究家」に会ってきた
カップリング表記、それは愛。 - 30代でも読み書き学習をするだけで脳が劇的に変容することが判明
文字が読めない30代のインド人女性たちへの読み書き学習を行う実験で明らかに。 - 論文でpixivのR-18小説を「わいせつ表現」として引用、作者名も公開 モラル欠く“さらし上げ”と批判殺到
ピクシブも論文の発表元へ、対象ユーザーとの問題解決を要請しました。 - 「論文」と「レポート」は何が違う? どう書き始めればいい?
「人に読まれる文章」とは。 - ヨーダみたい 新種のメガネザルがインドネシアで発見される
5月4日の「スター・ウォーズの日」に論文掲載。 - 「中二病」って病気なの? 治し方を精神科医に聞いてみた
くそっ鎮まれ……俺の疑問よ……! - CiNii、電子化論文の公開を一部再開 学協会との調整が必要なものを除く約110万件が閲覧可能に
連携サービスへのリンクから読める論文を含めると、約645万件が閲覧できる。