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ふるさと納税で「ゲームに出演」「ドット絵になれる」 2日で品切れ、日本一ソフトウェア×各務原の返礼品はなぜ生まれた

各務原市のふるさと納税で人気を集めた、日本ソフトウェアの変わった返礼品。企画の経緯を市と企業に取材しました。

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 「ゲーム風のドット絵を描いてもらえる権利」に「新作ゲームに登場する権利」。寄付額に応じてさまざまな返礼品がもらえる「ふるさと納税制度」で6月末、岐阜県各務原(かかみがはら)市に登場した“ゲームメーカーならではの返礼品”が大きな反響を呼びました。

ふるさと納税 返礼品 各務原 ゲーム 「ディスガイア風ドット絵を描いてもらえる権利」

 提供したのは、「魔界戦記ディスガイア」「勇者死す。」などを生み出したゲームメーカー、日本一ソフトウェア。各務原市に20年以上本社を置くことから、ふるさと納税の返礼品に次の5種類を用意したところ、わずか2日で4種類が品切れになるなど人気に。

  • 日本一ソフトウェア・新作ゲームソフトのスタッフロールに掲載される権利(2万円コース)
  • 日本一ソフトウェアの発売前タイトルを体験できる権利(10万円コース、品切れ)
  • 日本一ソフトウェア・ディスガイア風ドット絵を描いてもらえる権利(〃、品切れ)
  • 日本一ソフトウェアのデザイナーにミニキャラを描いてもらえる権利(〃、品切れ)
  • 日本一ソフトウェアの新作ゲームに登場する権利(20万円コース、品切れ)
ふるさと納税 返礼品 各務原 ゲーム 「デザイナーにミニキャラを描いてもらえる権利」

ふるさと納税 返礼品 各務原 ゲーム 「新作ゲームに登場する権利」。ホラーゲームでしたがこちらも品切れに

 ふるさと納税では「ご当地ヒーローになれる券」「オホーツク海の流氷」などユニークな返礼品が多く存在しますが、今回の日本一ソフトウェアの品はまさにゲームメーカーしかかなえられない魅力的なものばかり。4月から総務省がNGとしていた「金銭類似性の高いもの」「資産性の高いもの」からも外れる内容です。すぐ品切れとなっただけでなく、ネットでは「これは面白い」「貯金崩してでも20万納税したい」とその企画性が評判となりました。

 企業と自治体、双方のPRにもつながった、ふるさと納税の好例といえる返礼品。どのように生まれたのでしょうか。

 もともと日本一ソフトウェアは、各務原市でふるさと納税が始まったころから返礼品として自社のゲームソフトを提供してきました。今回の返礼品を提案したのも同社から。営業部の担当者・佐橋直幸さんは、各務原市との関わりについて次のように話します。

 「普通、ゲームメーカーの本社は東京や大阪など都市部に多いですが、うちは前身の企業(リズム企画)が立ち上がってからずっと各務原です。その分地域に根ざしながら、各務原にいろいろ還元したい思いもあって、6年前から市内の全小学校に毎年、弊社のマスコットキャラ・プリニーを模した防犯ブザーを配布したり、岐阜のゆるキャライベントに参加したりしてきました」

ふるさと納税 返礼品 各務原 ゲーム 来年7月に日本一ソフトウェアは25周年を迎える(特設サイトより)。真ん中にいるキャラがプリニー

 「最近も市のイベントや施策に参加する機会が増え、弊社としてもますます地域貢献に力を入れようと考えていたところでした。ふるさと納税の返礼品もゲームソフトが中心でしたが、もっとゲーム会社らしくエンターテインメント性に富んだものを社内や市の担当者と考えていった結果、今回の返礼品を出すことになった次第です」

 ただ、いずれも思い付いたからとはいえ簡単に返礼品にできるものではありません。

 「タイミングが合わないとなかなか提案できないものであります。特に『ゲームに出演する権利』となると開発との絡みも大きく難しいのですが、今回はホラー系の新作タイトルとたまたまタイミングが合ったので提供することができました。ドット絵・イラストを描いてもらえる権利も、デザイナーのスケジュール次第にはなりますがお願いすることができました」(佐橋さん)

 返礼品は6月23日12時に発表され、SNSで大きな話題に。2万円コース以外の4種は1人ずつ限定とはいえ高額、にもかかわらず、「ゲームに登場する権利」「ディスガイア風ドット絵を描いてもらえる権利」は翌日、「ミニキャラを描いてもらえる権利」「発売前タイトルを体験できる権利」は2日後に品切れとなりました。

 「ふるさと納税でも前例がない品なので様子見のつもりで提供したところ、想像以上の盛り上がりが見られたのでうれしかったです。SNSでも『こういう返礼品はうれしい』という声を見かけてほっとしました。返礼品にはまだエンタメ性に富んだ商品が少ないので、今後もみなさんに喜んでもらえるような、ゲーム会社ならではの品を出したいと思います」(佐橋さん)

 市のふるさと納税担当者も、予想以上の反響に驚くと同時に、「多くの方に各務原市や日本一ソフトウェアを知ってもらえたことが何よりうれしい」と喜びの声を寄せています。

 「返礼品は単なる資金集めと考えず、純粋に『各務原市にしかできない返礼品はなんだろう?』ということを普段から心がけています。自分自身ゲームをしますが、その世界の一部として登場できるというのは憧れです。ゲーム制作会社のデザイナーが自分のためにキャラをデザインしてくれるというのも、お願いしてもできないことです。他にもふるさと納税でしか体験できないような返礼品を用意できるよう、日本一ソフトウェアと検討していきたいと考えています」(各務原市担当者)

 なお、ドット絵/ミニキャラを描いてもらえる権利は、日本一ソフトウェアの準備が整い次第、1人ずつ限定で受付再開する予定とのこと。

 各務原に還元しよう、各務原の魅力を発信しようと、“ふるさと”に対し企業と自治体が互いに真っすぐ取り組んだことから生まれた、ユニークな返礼品。いつかディスガイアに出られる日が来たりして……と夢想しつつ、今後も各務原のふるさと納税の展開に期待が寄せられます。

黒木貴啓


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