8月25日に公開を控える映画「ワンダーウーマン」の日本での宣伝内容に、ファンから疑問の声が集まっています。
「ワンダーウーマン」は人気アメリカン・コミックを実写化したもので、主人公はガル・ガドットさんが演じるアマゾン族のダイアナ。ダイアナが生まれ育った島には女性しかおらず、彼女はそこに流れ着いた男性スティーブ・トレバー(クリス・パイン)との出会いをきっかけに外の世界に飛び出ることを決意。第一次世界大戦中のロンドンを舞台に、大戦終結に向け最強の戦士“ワンダーウーマン”として活躍するという筋書きです。
問題となっているのは乃木坂46が歌うイメージソング「女は一人じゃ眠れない」。ワンダーウーマンといえば強い自立した女性という印象が強いですが、今回発表されたイメージソングは恋心が邪魔をして眠れないというセンチメンタルな心情を歌ったもの。特に秋元康さんが手掛けた歌詞「女はいつだって一人じゃ眠れない(恋が邪魔をしているよ)」という部分は作品のメッセージから外れるとして、作品ファンから批判を集める結果となりました。
具体的な歌詞や歌の内容が明らかになったのはMVが公開された7月26日以降ですが、映画評論家の町山智浩さんは曲名が判明した7月中旬から、「正反対のメッセージじゃないの?」「『ワンダーウーマン』さえも“女は男がいないとダメ”という方向にもってっちゃうのか」と批判的なツイートを投稿し、疑問を呈していました。
町山さんにツイートの真意を訪ねたところ、作品内容とイメージソングの関係性について、次のような説明がありました。
“『ワンダーウーマン』という映画とあまりに正反対の曲名にがっかりしたからです。映画『ワンダーウーマン』は『ローマの休日』を基に「生涯にただ一度の真実の愛を通して人類愛(ヒューマニズム)にいたる物語」です。だからオリジナルのシーアの主題歌は「人間であることは愛すること」という歌詞なのです。「女はひとりで眠れない」という言葉の生臭さとまったく逆のテーマなんです。”
また、歌詞そのものについても
“歌わされる彼女たちがかわいそうです。50歳を過ぎた男性が若い女性に「女ってのはひとりで眠れないんだよ」と言っている姿を想像してください。うっかりすると自分もそういうキモいおっさんになりがちなので自戒を込めて。”
と、厳しい意見を寄せました。
なお、同作の宣伝手法に批判が集中するのは今回が2度目。3月には日本版の公式Twitterや予告編で「(ワンダーウーマンは)世間知らずでオトコも恋も知らない天然系女子だった……?」という表現が物議を醸していました(関連記事)。
ワンダーウーマンのセクシャリティを巡っては、2016年にコミック版で原作を務めたグレッグ・ルカさんが「バイセクシャルである」とアナウンスするなど、既存のジェンダーバイアスを打ち破る側面が有名なため、ステレオタイプな女性観を軸にしたプロモーションには首をかしげるファンが続出しました。
ねとらぼではプロモーションが行われた経緯について、国内で配給を手掛けるワーナー ブラザース ジャパンに取材を申し込んでいますが、現在まで回答は得られていません。
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