「ファイナルファンタジーXV(以下、FF15)」ディレクターの田畑端氏が海外メディアPCGamesNに対し、「ヌードMod」について言及している。先日スクウェア・エニックスは「FF15」のWindows版を2018年初頭に発売することを発表していた。PCゲームでは、Modと呼ばれるユーザーがゲームデータの改造や追加をおこなう文化が盛んであり、田畑氏自身も「FF15」のModサポートについては別の海外メディアに対し「絶対にやりたい」と答えていた(関連記事)。
制限と自由との葛藤
しかしながら、Modを容認するということは、ユーザーがキャラクターモデルを改造できるということになる。こうしたキャラクターモデルの改造の行き着く場所は「ヌードMod」だ。ゲーム内の魅力的なキャラクターたちの衣服を剥ぐもしくは着せ替えさせ、あられもない姿にすることで性的欲求を満たすユーザーは少なくない。こうした「ヌードMod」についてはやはり開発スタッフの中でも問題になっていたようだ。
自分たちが作ったすばらしい世界で、変なことをしてめちゃくちゃにしようとする人がいないだろうかという懸念はありました。(Modについて)集まって話した時には、ほとんどの人が(ヌードModについて)ひどく心配していましたね。
しかし最終的に田畑氏はユーザーの自由を尊重したいという気持ちを優先したようだ。
私の中にはユーザーに強い制限を課したくないという強い気持ちがあります。(Modは)最近のゲーム文化の一部ですし、購入後のゲームはユーザーのものなのです。(ヌードModは)良いものであるとは思いませんが、そこはユーザーのモラルの感覚に委ねるつもりです。基本的には、できるだけ自由は多く、制限は少なくしたいんです。
“剥がれる”キャラクターたち
国内メーカーがPCでタイトルをリリースすることは珍しいことではなくなってきている。PlayStation 4やXbox Oneに加えてPCが、マルチプラットフォームの選択肢になりつつある。つまり、これらのタイトルの多くはModの対象となっていることもまた意味している。特に人気となっているのがいわゆる美少女が登場する3Dゲームだ。「閃乱カグラ」シリーズはその筆頭で“改造人気”がある。また開発スタッフが、PC版に対する懸念を示し田畑氏と同様に「モラルを守って欲しい」とコメントを残していた「DEAD OR ALIVE 5 Last Round」もまた、皮肉にもMod人気が高い。スクウェア・エニックス作品のPC作品も例外ではなく、「NieR:Automata」や「Life is Strange」もそうした職人の手によって“改造”されている。ヌードModはあくまでModのひとつでしかないが、やはりModの可能性を考える上では避けて通れない問題であるといえよう。
PCゲームにはMod文化が根付いており、ヌードModはそう珍しくないとはいえ、それらのジャンルが盛り上がる作品は限られている。国内メーカーのそういった対象になるのはある種、人気の証であるとも考えられる。ヌードModで盛り上がるタイトルはどれもセールでも一定の人気を見せている。Modがセールスを後押しするのか、セールスが好調なものがModの対象になるのか、はたまたその両方かもしれない。しかしながら、Mod対象となるのは人気タイトルとして避けられない運命であり、ゲームおよびキャラクターの魅力が高ければ剥がれることはある種必然ともいえる。
メインキャラクターの男性率が高い「FF15」においてヌードModが盛り上がるかは未知数であるが、自由度が高く選択肢が増えることはユーザーにとってありがたい。ヌードだけでなくさまざまなModが用意されれば、PCユーザーにも長く愛されていくだろう。ただ結局のところ、ゲームのキャラクターが剥がれるかどうかは、ユーザーにモラルがあるかどうかというよりも、ユーザーにとって剥ぎたいキャラクターがいるかどうかに尽きるのかもしれない。
関連記事
関連記事
- 漫画家・クジラックス先生、警察の「申し入れ」報道についてあらためて説明 「前例ができたと思ってほしくない」
警察の申し入れについて「表現の自由の侵害ではないか」とネット上では懸念の声があがっていました。 - 「ストV」ミカの必殺技がセクシーすぎて規制? 「お尻叩くシーン変えないで」と署名活動も
細かな違いではありますが……。 - 週刊大衆が「中吊り広告をやめた裏事情」を公開 「中吊り広告は、ある意味、言葉狩りとの闘いでした」
「おっぱい」が「ぱいぱい」になる謎変更もあったそうです。 - 「アメコミに多様性ない」と書いて炎上した漫画「有害都市」が謝罪 過剰なアメコミ批判は伏線だった
Webサイトに経緯説明が掲示されています。 - マンガやアニメを振興する「MANGA議連」とは? 日本漫画家協会理事の赤松健先生に聞いてきた
超党派の議員連合「MANGA議連」はどのようなアニメ・マンガ振興政策を目指すのか。設立総会に出席した赤松健先生に聞きました。
Copyright (C) AUTOMATON. All Rights Reserved.