クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で、しなの鉄道による“115系車両の動く博物館”を実現するプロジェクト「しなの鉄道で115系の動く博物館を完成したい!コカ・コーラレッドカラーで実現」が立ち上がりました。2017年10月現在、開発資金を募っています。
しなの鉄道は長野県上田市で北陸新幹線の並行在来線を運行する第三セクター鉄道事業者。上田駅−篠ノ井駅間は1888年開業と古く、歴史があります。旧長野新幹線の開業に伴い、1997年に東日本旅客鉄道(JR東日本)から信越本線の軽井沢駅−篠ノ井駅間が移管されてしなの鉄道線として開業。2017年10月1日に開業20年を迎えました。
しなの鉄道はこの開業20周年記念事業として、保有車両である旧国鉄型電車「115系」の懐かしい車体カラーを復活する企画を展開しています。現行の「しなの鉄道色」「長野色」「観光列車 ろくもん」に加えて、JR東日本の協力を得て、4月に「初代長野色」、5月に「湘南色」、7月に「横須賀色」の3色を復活させました。
……しかし、フルコンプには「あと1色」足らなかったのです。
しなの鉄道側は「上記の6色で終わり」と思っていました。しかし、熱いファンから「もう1色、“コカ・コーラ”レッドカラーの電車もあった」とツッコミが入りました。調べたところ、確かに全面広告列車としてこの色の電車が30年前に走っていたことが分かったのだそうです。ファンの知識、すごい。
しなの鉄道社員の熱意もファンに負けません。一度は見送りとされた“コカ・コーラ”レッドカラーは、「ここまで来たらフルコンプさせたい」「115系が廃車されていく中で、全てがそろうラストチャンス」「並べて写真撮ってみたい」などと一丸となり、ブランドの権利者である日本コカ・コーラと北陸コカ・コーラボトリングから、「とても面白い企画。“コカ・コーラ”レッドカラーは30年前から変わっていない。過去のデザインそのままは使えないが、現在のデザインなら問題ない」との快諾を得ました。
実現の条件は、「12月までに塗り替え費用を捻出できたら」。
30年前に“コカ・コーラ”レッドカラーに塗り替えられた車両は現在も現役で、「イイヅナのリンゴ」ラッピング列車として運行されています。しかし、なぜ12月までと急がなければならないのでしょう。
1つ目は、「主要部検査のタイミング」。塗り替えは、4年か40万キロごとに行われる主要部検査で入庫されるタイミングで行われるそうで、ちょうどこの車両の主要部検査が2018年2月に行われる予定です。この機会を逃すと、次は「さらに4年後」になってしまうのです。
2つ目は、「ほかの懐かし色車両の都合」。他の車両も、今回の企画のためにJR東日本の理解を経て特別に塗り替えたものでした。4年後には、「元のしなの鉄道色に戻される」ことになっています。4年後では全色がそろわないのです。
3つ目は「115系車両の寿命」。115系車両は製造から約40年が経過し、老朽化などから全国的に廃車され、姿を消しつつあります。115系車両は、次の主要部検査の機会さえないかもしれないのです。
「しなの鉄道で115系の動く博物館を完成したい!コカ・コーラレッドカラーで実現」プロジェクトは、この実現のために行われます。
終了日は2017年11月28日で、目標額は290万円。2017年10月16日現在、既に156万円の支援が集まっています。支援は3000円から。支援額に応じて、しなの鉄道グッズ、記念フリーきっぷ、記念臨時列車招待、車両工場見学権などが提供されます。
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