2016年11月から、ハリウッドなどエンターテインメント業界に潜んでいたセクシャルハラスメント被害の告発が相次ぎました。あらゆるセクシャルハラスメントの根絶、女性やマイノリーティーの平等や安全を求めはじまった運動「TIME’S UP」の一環として、第75回ゴールデングローブ賞にはほとんどの参加者が黒い衣装で出席。ナタリー・ポートマン、エマ・ワトソンら多くの女優たちがSNSに会場の様子を投稿しました。
今回は同伴者に交際相手や配偶者ではなく、女性やマイノリティーのための活動家を招待する女優が目立ちました。もともと「TIME’S UP」は農業などセクシャルハラスメントが公になりにくい業界で被害に遭っている人たちを支援する目的で起こった運動ですが(関連記事)、その発端となった「Alianza Nacional de Campesinas」の代表モニカ・ラミレズを招待したのはローラ・ダーン。メリル・ストリープは家庭内で働く女性のための組織「National Domestic Workers Alliance」ディレクターのアイ=ジェン・ポーを同伴。エマ・ストーンは、元テニス選手でテニス界での男女平等に貢献してきたビリー・ジーン・キングと出席しています。
女性だけではなく男性参加者も黒づくめの衣装で出席したり、ピンバッジなどで賛同を示す人が多くみられました。さらに人気トーク番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」の司会者オプラ・ウィンフリーはアフリカ系アメリカ人として初のセシル・B・デミル賞を受賞。涙を浮かべながら力強くスピーチする彼女に会場は沸き、衣装の色彩には欠けても大きな盛りあがりをみせたゴールデングローブ賞となりました。
しかし、必ずしもポジティブな側面ばかりではないもよう。ローズ・マッゴーワンは一連の騒動がはじまるとすぐにハ―ヴェイ・ワインスタインを批判したメリル・ストリープが、ゴールデングローブ賞に黒ドレスを着ていくとしたことに対しTwitterで「メリル・ストリープのようなあの豚野郎のためにうれしそうに働いてた女優」「沈黙が問題」とストリープの行動を批判しました。マッゴーワンはその後ツイートを削除し、ストリープはセクシャルハラスメントの事実を「知らなかった」と反論しましたが、批判は撤回されていません。
さらに会場で「TIME’S UP」のピンバッジをつけていたジェームズ・フランコに対して、翌日にSNS上でセクシャルハラスメント被害を告白する女性たちが出現しています。
「TIME’S UP」は大きな運動であるだけに、一筋縄ではいかず、複雑な様相を呈しているようです。
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