スーパーの納豆売り場に行くと、数十円から200円近くまでさまざまな価格帯の商品がずらり。同じ納豆なのに、どうしてこんなに価格が違うのか……と疑問に思った経験があるのは、筆者だけではないはずです。
パッケージを手に取ってすぐに分かる違いは、食品表示に記載されている大豆の産地。大きく分けると輸入大豆、国産大豆を使った商品があり、輸入大豆を使っている納豆の方が大体安いというのが筆者の印象。きっと価格の分だけ、味も落ちるのではないかと思っていました。
そこで「輸入大豆の納豆が安くて、国産大豆が高いのではないか」という予想を立てメーカーに取材してみたところ、思わぬ結果に。別に「輸入大豆の納豆=安かろう悪かろう」というわけではないということが分かったのです。
輸入大豆の納豆はおいしくない? → ×(産地だけでは味は分からない)
輸入大豆と国産大豆で納豆の味はどう変わるのか、メーカー3社に質問したところ、「輸入だから、国産だからということはなく品種による」「輸入大豆も契約栽培をしているので、国産大豆と遜色がない品質」とのこと。
「国産(特に北海道)の大豆で作った納豆は甘みがある」といわれることもあるそうですが、産地だけで味の良しあしを見極めるのは難しいようです。
輸入大豆の納豆の方が安い? → △(高級な商品もある)
価格に関しては「輸入大豆の商品はリーズナブルなものが多いが、有機栽培の輸入大豆を使った高級な商品もある」との回答が。輸入大豆の納豆は安いという筆者のイメージは、「そういう傾向がある」という点では外れてはいませんが、少なからず例外もあり、正解とまでは言えないようです。
じゃあ、納豆の価格ってどうしてあんなに違うの?
輸入大豆の納豆は安かろう悪かろう“ではない”ということは分かりましたが、「納豆の価格に大きな開きがある理由」は謎のまま。もっと言えば、当初のイメージが崩れてしまったせいで、余計に謎が深まった気がします。
調査にあたって納豆を数品購入したのですが、その中で最も安かったのは輸入大豆を使用した「おかめ納豆 極小粒」(タカノフーズ)で、購入価格は65円(3パック入り/税別)。同社に「どうしてこんなに安いんですか?」と率直に聞いてみたところ、予想外の答えが返ってきました。
「当社の『極小粒』は販売から35年の定番商品のためなのか、なぜか安く売っていることがある」(タカノフーズ)
他の商品にも当てはまる話ですが、納豆はメーカーが小売店に卸し、小売店が消費者に販売しています。つまり、われわれが支払う価格はメーカーではなく、小売店が決めたものなのです。
実は「極小粒」のメーカー希望小売価格は158円で、今回の実売価格の2倍以上。希望小売価格よりも実売価格が安くなること自体は珍しくないものの、3パック65円はメーカーの立場からすると安過ぎるそうです。
また、国産大豆を使用した同社商品「国産丸大豆納豆」の希望小売価格は201円で、「極小粒」の約1.27倍。こちらも購入してみましたが、実売価格は129円(税別)と「極小粒」のおよそ2倍でした。つまり、店頭ではメーカーの想定を超える開きが生じていたのです。
このように、価格差は原材料の違いだけではなく、小売店の販売方針が生み出したものであるとも言えそうです。いつもの定番商品だけでなく、たまには違うメーカーの商品を買ってみると、味や価格の面で新たな発見があるかもしれませんよ。
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