「客を満足させるのがプロだろ!」――何かモノを作ることで生計を立てているクリエイター、ひいては「プロ」というものに対しての認識について、イラストレーターの大石橋.jp(@jp_Illustrator)さんが実際の仕事で出くわした依頼主とのエピソードが考えさせられる内容で話題になっています。これが「あるある」だという業界の厳しさ……。
限られた予算(※1万円)で依頼され描いた大石橋さんのイラストに対し、見本と比べて違うと修正を要求する依頼主。「もっとグラデーションを重ねて重ねて、完ッッ璧に再現してくれないと!」という、明らかに工数と予算がかかる作業を要求しながら再見積もりは許さず、さらに、
「君はプロだろ? プロだったら予算とかギャラなんか考えず完璧な仕事しろよ!」
と、“プロ”への勝手なイメージを押しつけるような言葉を繰り出してきます。
そしてついには「そもそもね、こっちだって『限られた予算』で君に仕事を出してやってんの!」と、依頼する側の立場が上であると示すかのようにたたみかけてきます。なんとも無茶に思われる言葉の数々にモヤッとしますが、大石橋.jpさんがアメリカのイラストレーター友達に話したところ、「すごいな!100ドルでオーダーメイドのスーツが買えると思ってるのかw」といううまい例えが返ってきて、漫画はスッキリするオチで締めくくられています。
予算は出さずに要求だけ通そうとするこんな“王様”な依頼主が実在するのかとビックリしますが、Twitterでは「分かります」といった共感の声がイラストレーター以外の専門職からも集まっていて、むしろ「あるある」なエピソードとのこと。
大石橋さんも「しっかり契約を結んでいても起こりうる」業界あるあるで、「双方に対等の意識が低い」と指摘しています。
コメントでは他にも「10万円の料理つくれる三ツ星シェフだからって500円で同じ料理を出さなきゃいけないわけがない」という声や、「プロだからこそ予算と工数を見積もる」などの声が上がり、さまざまな反響を呼んでいます。
大石橋さんの「ビジネスは対等が好ましい」というツイートに首を縦に振りつつ、寄せられた「『望ましい』ではなく『大原則』」という声に再びハッとさせられる、そんな考えさせられる内容でした。
ちなみに大石橋さんは以前にも厄介な依頼主とのエピソードを漫画化して話題になりました(関連記事)。前回の漫画では「好きな事を仕事にする上での覚悟」を扱った内容でしたが、今回の漫画と併せてクリエイターやプロに対する認識についてあらためて考えてみると、何か見えてくるものがあるかもしれません。
画像提供:大石橋.jp(@jp_Illustrator)さん
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怖いけど、できるだけ家族や友人、警察、お店の人などに相談したい