快盗と警察が「ルパンレンジャー」「パトレンジャー」として衝突や共闘を繰り広げるスーパー戦隊最新作「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」(ルパパト)。シリーズ初のWスーパー戦隊となったルパパトは、単純な「正義 VS 悪」ではないストーリーがシリーズに新たな息吹を与え、8月に公開された劇場版「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film」は過去5年の戦隊シリーズの中でもトップの初週興収を出すなど好調です。
それぞれ3人組のスーパー戦隊。伊藤あさひさん演じるルパンレッド/夜野魁利らルパンレンジャーの面々の華やかさは放送前から注目を集めていましたが、回を重ねるごとにパトレンジャーのパトレン1号/朝加圭一郎への注目が高まっています。
“熱血ドまじめ警察官”こと圭一郎の正義感とノスタルジックな昭和感にあふれる役どころは、ふたを開けてみるとよい意味で期待を裏切る存在に。快盗を食うかのような特濃の“圭一郎らしさ”はジワジワと支持を集め、ドラマ放送直後には“朝加圭一郎”がTwitterトレンド入りするのがおなじみとなりつつあります。
パトレン1号/朝加圭一郎を演じる結木滉星(ゆうき こうせい)さん自身も9月に行われる初の写真集『滉星』の発売イベントが受付開始とともに即完売するなど人気が高まっています。結木さんはこうした人気をどう感じているのか、今の思いを聞いてみました。
ヒーローに会いに行っていた男、ヒーローとなる
―― ルパパト放送開始から半年がたちました。この間は目まぐるしい日々だったのでは?
結木 ターニングポイントになりました。年齢的にもこれが最後という気持ちで戦隊シリーズのオーディションを受けて、中でも朝加圭一郎という役に出会えたのは大きかったです。役者として成長できる確信があって、本当にやりがいを感じています。
―― 別のインタビューで、オーディションには願掛けとして毎回赤い服を着て行ったと話されていましたが、今回もレッド役をつかむ気持ちでオーディションに臨まれていたんですか?
結木 もちろん、(オーディションを)受けるからにはレッドを目指していました。ただ、(伊藤)あさひをオーディションで見た瞬間、「絶対こいつがレッドだ」と直感したんです。備えているものがもうレッドで、「俺はもうレッドじゃない」と。内容もモチーフもどんなものになるか知らない段階でしたからね。
―― 伊藤さんからあふれ出るレッド感(笑)。結果的に伊藤さんはルパンレッド役に、結木さんはパトレン1号役となるわけですが、テレビシリーズで初となるW戦隊、Wレッドに混乱しなかったんでしょうか。
結木 「レッドは二人いて、そのうちの一人を」と言われ、最初は驚きが大きかったですね。それから実際に撮影に入って、友人から連絡をもらったり、キャンペーンなどで子どもたちの元気な声をじかに聞いたりしているうちに、「俺、ヒーローをやっている!」という実感が湧いてきました。
小さいころ、何かの作文で「ヒーローになりたい」と書いていたんですが、まさか本当になるとは思っていなかったし、こんなにも応援してくれているファンの方々がたくさんいるので、頑張っていかないといけないなと思います。
―― ちなみに、結木さん自身が影響を受けたスーパー戦隊は?
結木 「救急戦隊ゴーゴーファイブ」です。親に連れられてヒーローショーに行って撮ってもらった写真などもあります。仮面ライダーでいうと「クウガ」にハマっていました。
―― ヒーローに会いに行っていた結木さんがヒーローとなるのはグッときますね。クウガで思い出しましたが、戦う理由が「みんなの笑顔を守るため」というクウガと同じことをくしくも圭一郎も口にしていて、妙なシンクロを感じます。
結木 仮面ライダービルドでも「みんなの明日を守るため」と似たようなせりふがありますよね。普段言わないし言う機会がないせりふですけど、それを口にして決めぜりふになるのはヒーローならではな感じがします。
ジワジワと視聴者を魅了する“圭一郎らしさ”はどう生まれたのか
―― 圭一郎は公式に“熱血ドまじめ警察官”とあるように、頑固で融通がきかないなど記号的な昭和感にあふれた人物ですが、そこに不器用さなどの要素が絶妙にブレンドされ、“圭一郎らしさ”に昇華しているのが面白いです。結木さんにとって昭和のイメージとは?
結木 僕にとって昭和のイメージは「頑固」ですね。自分の両親が九州の人間で、いわゆる九州男児の熱さがあり、そんなイメージが強くあります。僕も血は受け継いでいる気はしますけど。
僕としては反響や評価のためにやっているわけではなくて、役者として圭一郎という人間に向き合い、寄り添ってそれをどんどん濃くしていく作業をしているだけなんですが、そういっていただけるのはうれしいです。
―― 圭一郎を演じる難しさはありますか?
結木 言葉づかいです。普段使わないような堅い言葉がせりふになっていたりするので、それを自分が口にして違和なく届けられているのか不安もありましたが、意外とすんなり入れました。
―― 物語としては必然かもしれませんが、快盗側のウエートが重い進行です。国際警察側は個々のキャラクターが掘り下げられることで、徐々に引き立てられてきた印象があります。
結木 やっぱり、ドラマとしては最後にルパンがもっていっちゃうんです。だからそれ以外の部分で目立たないと僕らはいきてこないと思っています。(台)本読みでもプロデューサーさんから「譲ろうとせずに食ってやる気持ちで」といわれていて。そういう話をパトレンの3人でする機会は少ないですが、個々にそれは重要なことだととらえていると思います。
―― 8月上旬には劇場版も公開され、過去5年の戦隊シリーズの中でもトップの初週興収を出すなど好調です。演じている結木さんはルパパトの魅力はどんなところにあると思いますか?
結木 僕らは役者として、役と向き合っているだけですが、劇場版は初めての経験もたくさんさせていただいて、やれるだけのことをやってそれが評価につながったのはもちろんうれしいです。
W戦隊という初の試みはある種の賭けだったといえますが、楽しめる部分がたくさん増えたと思うんです。対称的な3人ずつの組み合わせだったり、それぞれの視点だったり、向こうは僕らの正体を知っているけど僕らは知らないというハラハラドキドキ感だったり。子どもたちだけじゃなく大人も純粋に楽しんでもらえるような内容がルパパトの大きな魅力だと個人的に思っています。
―― 作品も折り返しを迎えましたが、演技していく中で新たに生じてきた思いなどはありますか?
結木 最初からですが、「熱血漢」という部分は絶対ブレないようにしようと思っています。そこがブレると全てが崩れてしまうので。逆に言えば、それ以外の部分で遊べるポイントは見つけられるので。両戦隊の共闘的な展開が多くなっているからこそ、あらためて大事にしないといけないポイントだと思います。
―― いつか圭一郎がルパンレンジャーの正体に気付く日がやってくるかもしれません。そのときに圭一郎がどんな表情を見せるのか非常に興味があります。
結木 僕も本当に楽しみです。先のことは決まっていなくて、だからこそ見てくださっている皆さんと同じ気持ちでやれています。最後までずっとついてきてくれたらうれしいです。
―― 少し斜め上からの質問ですが、最後に、結木さんにとって「スター」と「ヒーロー」はどう違うかをお聞きしたいです。
結木 スターはミスをしない完璧なイメージで、ヒーローはそうじゃないように思います。失敗もするし、ただかっこいいだけじゃない泥臭い部分もあって、それでもちゃんとした正義があるのが“ヒーロー”ではないでしょうか。
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