人間の食欲は無限だーー本能が危険と訴えるほどの異臭を放つ“世界一臭い“「シュールストレミング」を食べてみた:チョーヒカルのゲテモノデート(1/2 ページ)
体が「食べちゃダメだ!」と言っている……。
体にリアルなペイントを施したり、漫画やイラストを描いたり、映像作品なども制作しているチョーヒカルです。毎月、嫌がるねとらぼ編集部ののとを引き連れて変わった食べ物を食べるという食レポをしていきます。
- これまでのゲテモノデート連載一覧
チョーヒカル プロフィール
体や物にリアルなペイントをする作品で注目され日本国内だけでなく海外でも話題に。イラスト、立体、映像作品などを制作。自身初の漫画『ストレンジ・ファニー・ラブ』、イラスト本『絶滅生物図誌』が絶賛販売中。
第12回目:シュールストレミング
突然ですが、皆さん「これは食べられるか?」と判断するときどうしますか?
恐らく動物の本能的に、多くの人が匂いを嗅いで判断するかと思いますが、もし、「これは食べちゃダメだ! 毒だ!」と本能的に身体が訴えてくるような匂いを発していた場合、それを“食べ物“として認識することはできるのでしょうか。
これまで、虫から道徳的観点で食べることをためらってしまうような動物、土などを食べて、文化の違いや食のありがたみを再確認してきたゲテモノ連載。最終回は、世界一臭い食べ物として知られるシュールストレミングに挑戦してきました。
バラエティー番組などで見たことがある人もいるでしょうし、説明するまでもないですが、シュールストレミングとは、スウェーデンでニシンを塩漬けした缶詰です。スウェーデンの伝統的な食材で、通常の缶詰が缶に詰めた後加熱処理を施し、殺菌するのに対し、発酵状態を保ったまま缶詰にされるため、悪臭を放つとされています。
そのせいで、輸送時にはまるで爆弾でも入っているのかと疑いたくなるほど厳重に扱われており、食べ物というより完全に危険物。缶に同封された紙には、「食後はとんでもない匂いがしばらく胃から上がってきます。覚悟してお試しください」との注意書きも。ある意味テロです。
開封すると、プシュッと言う音を立て、周囲に異臭が充満。その場にいた誰もが「クセッ!」「くっさ!」「臭い臭い!」としか言えなくなる言語障害に。完全に腐っているもの、あるいは排せつ物のような、本能が危険信号を発する匂いで、これを食べ物として認識している人は誰一人として居ませんでした。ただ、開封するまでできるだけ発酵しないように、と冷却していたためか、予想していたよりは強烈な匂いではありませんでした(鼻が死んでいただけかもしれませんが)。
これまで連載を通して、それなりに風変わりな食べ物に対して免疫がついて(むしろおいしく食べてた)、ゲテモノレベルも上がってきた私たちが、ゲテモノ界のド定番をおいしく食べられないわけがない。バラエティー番組で見るリアクションはきっとエンターテインメントとしてオーバーにやっているだけなんだ、実際に食べてみたらおいしいかもしれない、と淡い期待を抱きつつ口に運びます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.