死神が“スーツを着たゴリラ”となって現れるシュールな展開……と思いきや、その理由を知って切なさがこみ上げる創作漫画が「尊い」の声を集めています。
若くして亡くなった女性を迎えにきたのは、完全なるゴリラの見た目の死神。スーツを着た姿がシュールですが、「前世の貴方に希望された姿ですよ」と伝え、スッと彼女の手を取ろうとする流れはなんだかイケメンです。しかし、完全なるゴリラの見た目なので「握りつぶす気か」とツッコミを入れざるを得ません。なぜゴリラを希望したし。
「今世は楽しめましたか?」と聞く死神ゴリラに、「ずっと病院にいたからなぁ、あんまり」と返す女性。しかし、亡くなる少し前に大好きな恋人ができ、「……死ぬ直前まで握ってくれてた手、握り返せなくて」と語る彼女は、また会えたときに「あの人の手をちゃんと握り返したいから」と、次も人間に転生したいと話します。手をつなげるとは言え、ゴリラや猿だと握るタイミングこないもんね……。
場面は変わり、今度は人間の見た目で亡くなった女性を「また自殺ですか」と迎えに行く死神の姿が。人嫌いと自殺癖が一向に治らない女性に、それが治るまでは“前世の記憶”が残ったままだと伝えます。「人間なんて好きになれない」「生きていく度に嫌いなところが増えていくだけ」と話す彼女に対して、「いいじゃないですか人間。私は好きですよ」と言葉をかける死神。「誰かの手を握れるのって、人間だけだと思うんですよね」とも。
そして彼女との“最後”に、何気ない会話の中でのリクエストを受け「では次はゴリラでお迎えに上がりましょう」と来世での約束をするのでした。
……その約束の言葉でわかるように、人間の姿をしていた死神は冒頭のゴリラで迎えに行った死神と同一人物。ゴリラの姿で仕事を終えた彼は、仲間の死神に担当の“自殺を繰り返してる人間”について聞かれ、人嫌いが治って自殺をやめたこと、さらに「…私のことも忘れてました」と報告します。それが死神と人間の関係としては普通であり、彼女がイレギュラーだと諭される彼。何度もわかっていると頷いて、初めて見た彼女の笑った顔に「よかった、ほんとうに、よかった」と笑顔になりますが、その目からは涙がこぼれるのでした。死神さんの届くことのない想いが切ない……。
作者は、以前に亡くなった彼女が霊として会いに来る創作漫画『化物の愛は届かない』(関連記事)が話題になった、『おとぎの孫』を連載中の漫画家の澄谷ゼニコ(@bloooom25)さん。ちなみに今回の創作漫画のタイトルは『死神は救われない』でした。
Twitterでは「鳥肌やばい」「素晴らしい」と称賛の声が寄せられ、読み返した時に印象が変わるお話の流れに「物語の順番が好き」という声や、またラストの死神の仲間がかけた「…泣くぐらいなら笑うな馬鹿」というセリフに最高のエモさを感じる声などが上がり、人気を集めています。
澄谷ゼニコさんの書籍(Kindle Storeで配信中)
画像提供:澄谷ゼニコ(@bloooom25)さん
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魂を刈る死神による、魂を輝かせるためのお言葉。