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対談取材時の作家と編集者の関係は「ポケモンとトレーナー」? 漫画家が恐れる“呪いをかけてくる”編集者とはコナリミサト×高野ひと深(1/2 ページ)

『凪のお暇』作者×『私の少年』作者。飲酒トークで本音を語ります。

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 『凪のお暇』『私の少年』。ともに30歳前後の女性を主人公としながらも、まったく違う魅力を持った作品の著者コナリミサトさんと高野ひと深さんは、実は10年来のご友人。お酒が好きだという二人に、コナリさんの仕事場で盃をかわしながらの「飲酒トーク」をしてもらいました! 第3回では、同席している二人の担当編集さんにも質問。漫画家と編集者の相性について、語り合いました。


私の少年私の少年 『凪のお暇』『私の少年』

対談取材は「ポケモン」になった気がしてくる

――21時近くになりました。ビールにワインに日本酒も飲んで、さすがに酔っぱらってきました。

コナリ: 今日は私、担当編集の二人にも話してほしいんですよ。対談取材って、いつも作家・編集のペアが2組居合わせるわけですけど、基本的に作家しかしゃべらなくて、編集さんは後ろに控えてるじゃないですか。なんか自分が、編集さんのポケモンになったみたいな気分になるんですよ。

高野: わかる!!!

コナリ: 「いけ! コナリ!」って感じで、こう、面白いことを言わなければ……というプレッシャーを勝手に感じてしまう。ねとらぼさんのインタビュー記事では、編集さんがよくしゃべっているし、今日はみんな飲酒してるし、二人にももっと話してほしい。私たちもポケモントレーナーみたくなりたいです。

編集・菅原(コナリ担当): えー(笑)。

編集・三村(高野担当): いやいや……。


alt 飲酒中のコナリさん(左)、高野さん(右)

コナリ: お互いの作家さんのいいところとか、打ち合わせで気をつけていることとか、そういう話を聞きたいです。

菅原三村: (笑)。

コナリ: 「今、揺れてるな」って感じることありますもん。他の作家さんに気を取られてるな〜って。

高野: その気持ちがさっき話題に出た「なんで安田先生とそんなに仲いいんですか!?」につながってるんじゃない?(笑)

――揺れについてはわかりませんが、取材を依頼するほうからすると、三村さんも菅原さんもとにかく素早くレスポンスをくださるので、ありがたいなと思いました。

高野: 三村さんは、確かにめちゃくちゃレスポンスが早いです。

コナリ: それって、返信を早くしないと気持ち悪いんですか?

編集・三村: そうですね。自分が気持ち悪いのもあるんですけど、作家さんに気を使わせたくない。高野さんは、特に気を使う方ですし。ぼく、担当する前から高野さんに感想メールをお送りしていたのですが、そちらへの返信の際に、高野さんのほうから「返信不要」って書いてくださるくらいで。

――ああ、メールの往復をどっちで終えるか問題、ありますよね。そういえば漫画家さんと編集さんって、電話でのやりとりが多いイメージなのですが。

高野: 私、電話が苦手なので、メール中心でお願いしてます。

コナリ: 私もメール派です。

高野: 漫画家同士の飲み会で、「いかに電話が嫌いか」って話は結構出るよね。「電話が来るときは言いくるめられるときだ」とまで言ってる人もいるくらいで。私も、なんとなく嫌なお知らせがきそうで苦手なのはある。

編集・三村: こちらとしてはもちろん作家さんの希望にあわせたいんですけど、作家さんによっては、ずっと家から出ずに作業していて、アシスタントもいないという方もいるんですよね。だから、うっとうしいと言われることもあるけれど、様子をうかがう意味もこめて、電話での雑談をかわすよう心がけてます。


alt 電話の返事をメールで

テンプレートに当てはめないでほしい作家ごころ

コナリ: きっと信頼関係次第ですよね。私は、菅原さんに関しては、やっと電話でも平気になりました。あっ、菅原さんのいいところもっと話さないと!

――(笑)。菅原さんとコナリさんは知り合ってからどれくらいなんでしょう。

編集・菅原: 2年くらいですよね。

――以前のインタビューで、デザイン事務所主催のキャンプで知り合ったという話がありましたよね。第一印象は覚えてますか?

コナリ: 「目が大きいな……」って思いました。

編集・菅原: (笑)。

――コナリさんから見て、菅原さんの編集スタイルのここがいい! というところはありますか?

コナリ: うーん。たくさんの方に読んでもらえる手応えを感じる作品を描けるようになってから担当いただいたのが、菅原さんだけなんですよね。だから、今までの人と比べられない部分もあるかな……。あ、でも「大切にしていること」がわかるのでやりやすいなと思います。凪のお母さんとのこととか、家族にかかわることへの意見に、菅原さんのポリシーを感じるんです。でも、ネームに指摘を入れるときも、有無を言わせないような形じゃないのがいい。「なんかいやです」的なチェックが入って、それを私に考えさせてくれる。

高野: あまりに具体的なアイデアだとそのまま反映せざるをえないから、ふわっと言われるほうが逆にありがたい……ってときあるよね。

コナリ: そうそう。「どうしてですか?」とやりとりすることで、さらに解釈が深まる

――三村さんと菅原さんは、そもそも何名くらい作家さんを担当しているんですか?

編集・三村: あんまり直接の担当は持ってなくて、4人くらいですね。

編集・菅原: 私は、8〜9人くらいの連載を担当してます。

コナリ: 菅原さんは編集長(※Eleganceイブ)なのにすごいんですよ!

――作家さんとはどれくらい対面で会われるんですか?

編集・三村: 人によりますよね、週刊連載の方だと多いかな。会ったほうがいいのか会わないほうがいいのか、密な関係のほうが面白くなるのかとか、本当に作家さんそれぞれ違うので、「こうだからこう」とは言えない。「違った!」って思って、改善することもあります。ネームが出るまではわからないんです。

コナリ: 作家からすると「テンプレで当てはめられる」のがすごいいやなんですよ。三村さんの今の回答を聞いて、すごく安心しました。

高野: わかるわかる!

コナリ: ひと深ちゃん、何か三村さんに聞きたいことないの?

高野: ……私との仕事、やりづらくないですか?

コナリ菅原: (笑)。

編集・三村: 高野さん、それすごく気にしますよね! この前も、二人で飲んだあとに「今日どうでした?」って聞いてきて。

――「答え合わせ」だ。

高野: 誰に対しても「気持ちよく返せなかったかもな〜」って思っちゃうんです。


ビューティーアドバイザーにすら気を使う高野ひと深

コナリ: デパートもコスメカウンターでも気を使っちゃうんでしょ?

――えっ。

高野: そうそう。私、コスメカウンターに行くと必ず、ビューティーアドバイザーさんを褒めるんですよ。「その発色ステキですね〜。それ、どのアイテムですか?」とか。

――それはむしろ、店員さん側がお客さんにやるやつですよね(笑)。

高野: 相手に気持ちよくなってほしいんです。気持ちよくなってもらえたら接客がもっと良くなるかもなって。だから、暇なビューティーアドバイザーさんが好き。新宿なら断然高島屋。

コナリ: 私も勧められて行ったよ! 親切だよね。

高野: ひどいことされないよね。

――何をされたか気になりますが(笑)、三村さんと高野さんの話に戻りましょうか。「やりづらい」と感じたことは実際ありますか?

編集・三村: 全然ないですよ。むしろこっちが申し訳ないくらいちゃんとされています。

高野: 私、ものすごく心配性なんで、締切はかなりきっちり守ってるんです。学校の夏休みの宿題すら、7月のうちに出していたくらいで。

――真面目すぎる。逆に高野さんが、過去に接してきた編集さんを振り返ったときに、新人漫画家さんにアドバイスしたいことはありますか?

高野: うーん。仕事しやすいのはやっぱり、作家に呪いを与えるような言葉を使わない編集さんですよね。

――呪いを与えてくる編集者がいると。

高野: います、呪いタイプ。20代の頃、ネームの内容に対して「女として枯れてるね」と言われたり、女だというだけで「顔出したら?」と求められたり、メガネをして編集部に行ったら「なんでメガネしてきたの?」って言われたり。

編集・菅原: 呪いというかハラスメントですね。

コナリ: あとでこっそり名前を教えてほしいよ。ひと深ちゃんのかわり私が呪詛唱えとく。呪い返しだよ。

高野: そういう経験を経ているので、三村さんは、全然そんなこと言わないってだけで、安心します。自分の所有物にしようとか、コントロールしようとかしてくる人、周りの話を聞いていても存在しているんですよ。新人さんには気をつけてほしいですよね。


ハラスメント

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