「あなたの番です」（新日曜ドラマよる10時30分）、今夜第7話。「おれらを脅しているのはそれぞれ違う人間のはず。なのに筆跡は同じ」と浮田啓輔（201号室）が言うのだ（予告編によると）。
第6話は、児嶋佳世（片岡礼子102号室）が死んだ。別居中の夫へ送られたゴルフバッグから足を出して。令和の「犬神家の一族」である。
黒島メモ：交換殺人ゲームを整理
黒島紗和（西野七瀬／202号室）が事件の概要をまとめたホワイトボードが、第6話で登場した。この黒島メモをベースに、事件概要を振り返ってみよう。
まずは、交換殺人に関わっていると思われる人物と、書いた名前と、引いた名前。
黒島メモ：殺された人
続いて「交換殺人」で殺された人とその名を書いた人。
ホワイトボードには、脅迫の流れも描かれている。が、浮田啓輔（田中要次201号室）が言うように、「おれらを脅しているのはそれぞれ違う人間のはず。なのに筆跡は同じ」であることを考えると、この想像は外れている。
黒島メモ：ゲームに参加していない関係者
最後にゲームに参加していない関係者。
以上である。
今までの予想が次々と的中しはじめてきたぞ
手塚菜奈（原田知世302号室）黒幕説の有力な根拠だった「なぜ婚姻届をかたくなに出さないのか」。その謎が今回、はっきりと語られた。
「結婚してるの。あの人と」 細川朝男と結婚していることを告白する手塚菜奈。驚く手塚翔太（田中圭302号室）。婚姻届が出せないのは、細川朝男（野間口徹）と籍が入ったままだからだったのだ。
「『あなたの番です』犯人を徹底考察 赤池家殺害の犯人と『ジュリアに傷心』＆ケーキの真相はこれだ」で、手塚菜奈黒幕説を検証したときに指摘したことが的中した。離婚届が出せないのは黒幕だからではなく「細川と離婚できてないから」だった。
この告白を聞いて手塚翔太は、怒るのではなく「悩んでるの全然気づいてあげられたかった。ごめん」と謝るのだ。
さらに、その後、細川朝男をぎゅっと折れんばかりに抱きしめて、「俺は菜奈ちゃんのすべてを愛してますから。菜奈ちゃんを愛してるって言葉の中には、アニキのことも愛するって意味も含まれてますからね」と言うのである。
全身全霊で手塚菜奈に関わるものすべてを愛するキャラとして描かれる手塚翔太。これも、「秋元康原案『あなたの番です』2話でわかった全真相、NGT48事件とも重なるメッセージから読み解く」で指摘した今後の展開を考えると、（ただのいちゃラブシーンではなく）納得の伏線だろう。
同調圧力の化物となった住民たちが手塚翔太（と手塚菜奈）を殺そうとする。手塚翔太と手塚菜奈はお互いを助け合いながら、これに対抗する。いや、もしかすると筋トレマニアという設定は、この後半のための伏線か。そうすると、手塚菜奈を守るために「ダイ・ハード」ばりの大アクションシーンを手塚翔太は繰り広げるのかもしれない。
児嶋佳世殺しを推理する
今回の児嶋佳世殺しも、われわれは交換殺人ゲームの文脈で見ているから「殺し」に見えるだけではないのか。
子どもができないことで、夫婦の中がスレちがってくる。しかも夫の浮気。子どもを授かることで、どうにか愛し合ってる夫婦にもどろうとして、児嶋佳世は妊娠活動に夢中になりすぎていく。他人の子どもを自分の子どもに仕立て上げようとしたり、夫に黙ってラブホテルで他人の精子をもらったり（hulu配信スピンオフドラマ「扉の向こう」102号室）するのだ。
「おまえおかしいよ」「もうこれしかなかったの！ これしかなかったのよ！」
第6話でも、浮気継続中の児嶋俊明が描かれ、別居でひとりさびしく狂っていく児嶋佳世が描かれた。しかも、俊明から「クラブ一式、郵送してくれない？ 会社宛で」というメール。彼女がいる部屋に荷物を取りに戻ることすら嫌なのだ。児嶋佳世の顔が苦悶に歪み、暗い部屋で足の爪に真っ赤なマニキュアを塗り続ける。
そして、送られてくるゴルフバッグ。開くと、そこから真っ赤なマニキュアの足がニョキと突き出ていた。
児嶋佳世は、殺されたのではなく自殺なのではないか。交換殺人ゲームの文脈から切り離して、児嶋夫婦の物語としてみるならば、児嶋佳世が狂気の果てに夫に見せつけるように自殺したという流れは、物語として成立するだろう。
ゴルフバックから足を出して人は死ねるのかという謎が残る。が、ゴルフバックはまるごと児嶋佳世も入れる大きさ。切断された足が入ってるわけではなさそうである。刃物を持ってゴルフバックに頭からもぐって自殺というのは「あなたの番です」のリアリティラインならギリ成立しやしないか。
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