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その漫画はなぜAVの歴史を変えると言われるのか――野々原なずな×クジラックス特別対談(2/2 ページ)

自伝漫画を描く現役セクシー女優が敬愛してやまない漫画家、クジラックスさんを招いて対談。

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AV女優のイメージ作りのセオリーとしては、この漫画は普段表に出さないような内容

野々原なずな クジラックス 対談 男性恐怖症だった私がAV女優になるまでの話 ウツツ AV女優

稀見:少し重い話が続いたので、もう少し軽い話題を。野々原先生、クジラックス先生やうどん先生の漫画をはじめ、多くのエロ漫画を読んでいたというお話でしたが、エロ漫画を描いてみたいという気持ちはありますか?

野々原:すごい描いてみたいですし、オファーがきたこともあります。恐らく同人誌を読んでくださって、AV女優だと知って、「組み合わせたら絶対エロいのができると思います!」みたいな感じの依頼でしたけど、そのときには今回のお話をいただいていたので。でもいつか『COMIC LO』(茜新社)や『アオハ』(茜新社)に載りたいです!

一同 (大笑)

稀見:そこそこ漫画が描けるAV女優さんは結構いますが、野々原さんレベルはそういないです。セクシー女優としての売り込み戦略も独特な気がしますね。

Cまる:そうですね、AV女優のイメージ作りのセオリーとしては、この漫画は普段表に出さないような内容で、少なくともメーカーは絶対に言わないエピソードです。でも本人が強い思いがあるのなら世に出してみてもいいんじゃないかなと。本当にAVの歴史には残ると思いますね

野々原:私も描いた漫画の話とかをツイートしたら、どこかのサイトで「AV女優はみんなこうだと思われるから描くな」とか書かれていましたが、でもいるしな〜、ここにいるしな〜って。

クジラ:イメージ的に攻めた戦略ですよね。エロ漫画家が顔出しすると、おかずにするときちらつくとか(笑)。

野々原:でも意外とそれで応援してくれる方もいたりして、自分を知った上で応援してくれる人ができるのは、すごくありがたいことですね。

 ところで、私の漫画と全然関係なくなっちゃうんですけど、クジラックス先生はエロ漫画を描く時に1コマ1コマ自分の漫画でオ●ニーするって聞いたんですが

稀見:ああ。クジラックス先生のxxxxカレンダーですね!

野々原なずな クジラックス 対談 男性恐怖症だった私がAV女優になるまでの話 ウツツ AV女優
おびただしい回数の何か(画像提供:稀見理都 資料提供:クジラックス。関連記事

野々原:すごい分かるんです。私も自分のAVでするので

クジラ:自分のAVでするんですか!  それはあんまり想像したことなかったなー。撮ったものは全部確認されているんですか?

野々原:はい、わりと。逆に私は友達とかの作品の方が恥ずかしくて見られないです。

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野々原「私もするので」

クジラ:僕は知り合いが描いているエロ漫画は普通に読めます。頻繁に会っているわけじゃないからかな。面白いな〜。太田監督はお仕事するAV女優さんをおかずにしたりするんですか?

太田:してますね(断言)。自分ルールとして、撮る前に絶対抜くようにしています。申し訳ないですけど、野々原さんを撮るとなったら2日前くらいから野々原さんで妄想して、終わった後も抜きます。

野々原:そうなんですか?

クジラ:撮影時の気持ちを高める的な?

太田:やはり一度シミュレーションをしておいた方がやりやすいですから。

クジラ:ちょっと話を戻すと、1コマ1コマ抜いて描くのはもうやっていません。初期はやっていましたが、それはエロくないと読者に怒られる、みたいなのが怖くて、ある種の強迫観念でやっていました。

野々原:自分の漫画とエロ漫画を重ねるのもどうかと思いますが、私、プロットを描いている時点でボロボロ泣いたりするんです。それくらいの感情にならないとちゃんとしたのが描けなくて。ネームの段階ではもう平気ですけど、プロットのせりふとか書いているときはうぇーって泣いてます。

クジラ:僕も、プロットやネームのときが一番もんもんとしていて、その後の作画は作業っぽくなるかな。確かに僕も漫画でストーリーを描いて自分で泣いたりしますから『ろりともだち』とか。自分が泣くと、これはみんなも泣けるんじゃないとか。

野々原:私、泣きました! 最後こうなるんだって。

クジラ:女性に言われると、どこかほっとしますね。異性にも理解されたみたいで。

稀見:泣けて抜けるエロ漫画はそうないですよ。素晴らしいです。最後はあらためてお互いの新作を紹介いただけますか。

K澤:『男性恐怖症だった私がAV女優になるまでの話』は「まんが王国」先行配信の「ウツツ」レーベルで現在4話まで配信中で、毎月第4金曜日配信(7月のみ第1金曜日に変更、8月以降は第4金曜日)で連載中です。1話は無料ですので、ぜひとも読んでみていただけたらと思います。

稀見:野々原先生が推す見どころは?

野々原:メインの読者の方は多分女性になると思うんですが、私と同じような体験をした方にも、そういう体験がない方にも、男の人も女の人も、いろいろな方に読んでもらって、さまざまなご意見をいただきたいです。こういうことがあったとみんなに知ってもらって、考えてもらえるような漫画を描いていきたいですし、なぜAV女優になったのかは本当に良い感じで描きたいです。AVも漫画も同じ創作のものとして楽しく見てもらえたらと思っています。

稀見:どんどん感想を言ってもらえるとうれしいってことですね。それはどうやって伝えればいいですか?

野々原:Twitterをやってます。ハッシュタグ「#男性恐怖症だった私がAV女優になるまでの話」でつぶやいてもらえれば。あと7月11日にSOD「青春時代」からの卒業作品として、私が原作で太田監督が撮った作品が発売になります。こちらもよろしくお願いします。


稀見:「まんが王国」の連載作品ページにもコメント欄がありますよね、そこでもOKと。では、クジラックス先生もお願いします。

クジラ:そうだな〜、今『ドキドキチケットチャレンジ』という同人誌を描いていて、間もなく完成予定です。初めてのJKもので56ページあるんですけど、マジックミラー号みたいな企画AVものの影響を結構受けていて、自分の中で新しいことに挑戦できたかなみたいな、それがみどころです! 書店委託とダウンロード販売を予定しているのでTwitterでチェックしてみてください。

野々原:楽しみです。

稀見:ファンの方は是非楽しみにしておいてくださいね。参加の皆さん、長時間本当にありがとうございました。


聞き手:稀見理都(きみ・りと)

美少女コミック研究家、将棋マンガ研究家、マンガ家インタビュアー、ライター。2008年より同人誌『エロマンガノゲンバ』の編集、出版を行う。2015年に北米最大のアニメイベント「Anime Expo」にゲスト招待され、講演を行った。エロマンガ表現の誕生と拡散を追った『エロマンガ表現史』(太田出版)、29人の巨人へのインタビュー集『エロマンガノゲンバ』(三才ブックス)が発売中。



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