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「感動ポルノ」だけじゃなく、「炎上ポルノ」もあるよね―― ねとらぼ編集部員に聞く「お前の原体験はなんだ」 〜たろちん編〜ねとらぼの中の人インタビュー(1/4 ページ)

編集部の中の人にいろんなことを聞く連載。第1回はゲーム実況のパイオニアである「たろちん」さん。

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 毎度ねとらぼの記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。突然ですが読者の方々は、「ねとらぼ」にどのようなスタッフが集まっているかご存じでしょうか。

 時事ネタ、IT、車、動物、エンタメ、お金にまつわるアレコレなどなど、さまざまな記事を扱うねとらぼですが、編集部には取り扱うネタの範囲に負けないほどバラエティーのあるキャラクターがそろっています。例えば編集部員の前職を見てみても、フリーター、フリーライターはもちろん、高校教師、ギャンブラー、不動産屋、質屋、ゲーム実況者などなど本当に多種多様。「普通に生活していたらこんな人間と絡む機会は無かっただろうな……」と思うような人ばかりです。

 そこで、「こんだけ個性豊かな奴らが集まってるんだから、編集部内の人にインタビューしたらそこそこ面白い話聞けるんじゃね?」――そう思い立ち、思い切って連載を立ち上げてみることにしました。その名も「ねとらぼ編集部員に聞く『お前の原体験はなんだ』」。編集部の中の人の過去だけでなく、仕事への取り組み方、趣味、イチオシのコンテンツなど、さまざまなことを取り上げるという“誰得かつ実験的な連載(重要)”になる予定です。

 記念すべき第1回は、社会からドロップアウトしかけたところを「インターネット」に救われたというたろちんさんに取材。ゲーム実況のパイオニアとして知られるたろちんさんは、自身を救ったインターネットの現在をどう見ているのでしょうか――。

たろちん(Twitter:@tarochinko

たろ

2008年にニコニコ動画へ投稿した「FF初心者が酔っ払いながらFF5を実況プレイしてみた」で実況者デビューしたゲーム実況界のパイオニアの1人。ねとらぼが小規模だった時期を知る古参スタッフであり、現在のねとらぼではPR記事を担当。ねとらぼ内では「タイトルに困ったらとりあえずたろちんかコンタケに聞け」という文化があるほど言葉のセンスがある。あとなんかよく酒飲んでるイメージ。



中学2年生で人格が破綻→インターネットのテキストサイトにハマる

――たろちんさん、今何歳でしたっけ。

たろちん:今年で34歳です。独身です。

――外部ライターの時期を経て、今編集部にいる感じですよね。ねとらぼで働き始めたのはいつごろでした?

たろちん:マジであんま覚えてないんだけど、フリーライターとしてねとらぼで書き始めたのが27〜8歳ぐらいだった気がする。2年くらい外部で働いて2014年にアルバイトとして編集部に入りました。今は20人ぐらい人がいるけどその頃は5〜6人ぐらいしかいなかったから、今となってはもう古参編集部員だよね。


たろ 古参感を出してしゃべるたろちん先輩

――まぁこういう企画でやってるんで、たろちんさんの人間性も探っていきたいと思います。昔はどういう子どもだったんですか?

たろちん:僕はですね、非常に素直ないい子としてすくすくと育ちまして。中学2年の時に人格が破綻したんですよ。

――ほう……。詳しく聞かせていただきましょう。

たろちん:普通、反抗期って親に反発するものじゃないですか。僕は小学校の時に両親が離婚してるんだけど、家族仲自体は悪くなくて親への不満は何も無かったわけです。「ありがとう母ちゃん。こんな僕を育ててくれて」みたいな。

――マジでめちゃくちゃ良い子だ。

たろちん:そんな中でも反抗期は来るんだけど、反抗の矛先が学校とか社会に向いちゃって「そもそも何で勉強しなきゃいけないんだよ」とか「義務教育ってなんだよ」とか「校則ってなんだよ。なんで前髪が長いだけでダメなんだよ」みたいなとこにブチ切れだして……。

――めちゃくちゃ典型的な中二病じゃないですか。

たろちん:そうなの。そういうところもとっても素直なテンプレ通りの中二病。


たろ 楽しそうだな

 僕の場合はちょっと強めにそういうのが出ちゃって、しかも人一倍意思が弱いから学校に行きたくなくなったんだよね。で、めちゃくちゃ鮮明に覚えてるんだけどそのときに「勉強なんか意味ないし、学校いかなくていい?」って母ちゃんに言ったら、母ちゃんは『釣りバカ日誌』見ながら「いいんじゃない?」って言ったの

――軽いな母ちゃん。

たろちん:そこで、「止めないんだ!?」ってびっくりしちゃって(笑)。それで学校の朝の会とか給食だけ出て授業は受けず相談室にいるという生活をしていまして、そのまま高校受験もしなかったんです。そんな時に出会ったのがインターネットだったわけですよ。

――インターネット。運命の出会いですね。

たろちん:まぁそれより前にドリームキャストでエッチなのを見てたりはしたんだけど(笑)。とにかくそのへんの時期にPC買ってもらって電話回線使ってインターネット見てたんです。で、ネットを見ていたら「侍魂」という伝説のテキストサイトを見つけて……。


たろ 侍魂:2000年台前半に爆発的な人気を集めた伝説のテキストサイト。侍魂のフォントを工夫して面白さを引き立てる手法は、多くのサイトでマネられていた(画像は侍魂のサイトより)

――今となっては本当に伝説のテキストサイトですね。

たろちん:「こんなのあるんだ! めちゃくちゃ面白い!」ってなった。それを見て「インターネットで文章を書くという表現方法があるんだ」と思って、自分も「ホームページビルダー」的なソフトでゴミみたいなサイトを作って公開したの。もともと本読むのは好きだったから、学校行くのやめたときも「作家になりたい」みたいなことは漠然と思ってたんだよね。

――そのサイトではどんなものを書いてたんですか?

たろちん:日記を書いたり、たまに気合い入れたコラム書いたり。アクセスカウンター置いて、「侍魂」みたいにフォントでかくしてまして。非常に稚拙で誰も見ないようなサイトだったけど……それが青春だったんですよね。

――学校ではなく、インターネットが自分の居場所だった、みたいな感じですか。

たろちん:そう、本当にインターネットしかなかった。一応フリースクールっていう不登校の子たちなんかが通う場所にも行ってたんだけど、年齢もごちゃごちゃでいろんなことを抱えてこじらせた人ばかりいる場所だったのに、僕はその中ですら馴染めなかったんだよね。そのころに「自分はめんどくさい人間だ」「世間とは合わないのかもしれない」と思った。頼れるのがインターネットのテキストサイトだけだったんです。


たろ 過去を懐かしむたろちん先輩

「完全に俺はインターネット老害だな」

――2000年代前半の話ですよね。その頃のインターネットって、今でいう「非リア」の典型的な逃げ場所でしたよね。

たろちん:そうそう。前まで「リア充爆発しろ」って言葉があったけど、これは「普通のリア充はインターネットなんかしない」という前提のもとで使われてた部分があるじゃないですか。だからこそ、インターネットは僕のような「現実世界に居場所はない」という人間の受け皿になってた。もちろん、現実にも居場所は欲しかったんだけど。

――今はあらゆる人間がインターネットを使うようになりましたね。

たろちん:みんなが使うものになって、それに対応したルールやマナーができてきたよね。もちろん今もTwitterとInstagramで文化が違ったり細分化してるけど、複雑になっていって現実との境目も薄くなって……そういう意味では生きづらくなりました(笑)。もう僕みたいな少数派のためのものではないなって

――じゃあ、今のインターネットは嫌いなんですか?

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