教室のシーンは「すごく明るく見せたかった」 映画「惡の華」伊藤健太郎、玉城ティナ、飯豊まりえインタビュー
「学校が爆発しないかなって結構思うじゃない」と話す玉城さんに、「え、うそ(笑)」と驚く飯豊さん。
押見修造さんの人気漫画を原作とした実写映画「惡の華」の全国公開が9月27日に迫っています。
同作は、鬱屈した息苦しい毎日を生きる中学2年生の春日高男と、クラスメイトの問題児である仲村佐和を中心に繰り広げられる、どろどろとした青春と思春期のダークな面が渦巻く物語。
春日役に、ドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ系)での活躍も記憶に新しい俳優の伊藤健太郎さん。春日を翻弄(ほんろう)する仲村役に、以前から原作を愛読していたというモデルで女優の玉城ティナさん。春日の高校時代の同級生で、高校編のヒロインでもある常磐文役に、映画「いなくなれ、群青」でヒロインを務めたモデルで女優の飯豊まりえさんと、人気の若手俳優たちが映画を彩ります。
ねとらぼでは、伊藤さん、玉城さん、飯豊さんの3人にインタビュー。原作者の押見さんや押見作品の大ファンだという井口昇監督をはじめ、周りのスタッフたちの「惡の華」愛に突き動かされるようにして、この大作に立ち向かっていった3人の素直な言葉をお届けします。
プレッシャーよりもわくわく
―― 「惡の華」の実写化。かなり高いハードルだったのではないかと推察しますが、出演が決まったときはどのような思いでしたか?
伊藤 出演が決まってから、監督とプロデューサーさんと自分とで話す機会があって。そのときに「『惡の華』の映画化は8年間ぐらい温めてきた話で、やっと決まってうれしいんです」と、すごく熱量のある話をしていただいたんです。そんな作品に主人公として自分を呼んでくださったのが、すごくうれしかったし、それに応えたいと思いました。春日はやったことのないタイプの役柄だったので挑戦でしたが、そのプレッシャーよりも、頑張らないととか感謝の気持ちの方が強かったです。
玉城 私は学生時代に原作の『惡の華』を読んでいたというのもあって、仲村役の話が来たときに、すぐにイメージが沸きました。押見先生の映像化作品も見ていたのですが、やっぱりやるなら仲村が面白そうだなと思っていたので、プレッシャーよりはわくわくの方が強かったです。
飯豊 まず、この作品に衝撃を受けて。私、思春期を通っていないんですよ。
玉城 思春期を通らないことってあるの?(笑)
飯豊 あれ、なんか変なこと言ってる?(笑)。反抗期がなかったの。だから、この作品に出演するのがすごく不安でした。でも周りに熱意や愛を持ってこの作品に携わっている人たちがいたこと、そして自分が演じる常磐さんの切ない部分がすごく好きだったので、この作品を愛しながら演じることができました。
―― 役作りはどのようにやっていきましたか? 伊藤さんは、春日を理解するのに苦しんで吐き気を催すほどだったとお聞きしています。
伊藤 春日になりきる前に、思春期の14、15歳の男の子を理解しなきゃいけなかったので、まずそこに集中しました。自分と向き合って、自分の内面的な部分を中学生の時期に戻して、そこから春日を作り上げていきました。この作業が一番大変でした。
玉城 私の場合は、仲村というものがキャラクターとして確立されていましたし、ファンが付いているというのもあったので、求められている以上のものを出さなきゃいけないという気持ちがありました。役作りには原作をかなり参考にしていて、漫画の中から自分のアンテナに引っ掛かったコマを写真に撮って保存していました。あとは立ち姿とか、仲村の異質な感じをどういう風にしたら表現できるのかというのを自分なりに考えていました。
あとビジュアルも少しでも近づけたかったので、髪の毛を少し赤く染めたり、カットも寄せたりして。自分の中で仲村と会話できるように役作りしていきました。
飯豊 常磐さんは自分よりも大人っぽい女の子だったので、そこを意識したのと、どこか仲村さんとリンクする部分を作りたいと思っていました。監督からも、「もしかしたら常磐さんは仲村さん以上の思春期を通ってきたかもしれない、というぐらいの思いで演じて」といわれて。あと、高校生時代はこれまでのことが報われる大切な場面なので、春日くんとの関係が切なく見えるように意識しました。
教室を破壊したいと思う側、思わない側
―― 「惡の華」といえば、春日と仲村が夜の教室に忍び込むシーンが印象的です。玉城さん演じる仲村は、原作よりも積極的に暴れ回っていましたが、撮影を振り返ってみていかがでしょう。
伊藤 あのシーンはブロックごとに3、4日間に分けて撮影しました。夜遅かったというのもありますが、2人とも結構ハイテンションになっていたので、楽しかった思い出という感じですね。
玉城 楽しかったですね。やっぱりああやって教室を破壊したり、学校が爆発しないかなみたいなことって結構思うじゃないですか。
飯豊 え、うそ、思わないよ(笑)。
玉城 思うんだよ(笑)。思う側の人と思わない側の人がいるんだけど、私は思う側の人だったから、あのシーンを見た人たちが「やった!」「この教室は報われたな」って春日と仲村みたいに思ってほしかったので、純粋に楽しもうと思いました。事件性があるというよりは、すごく明るく見せたかったんです。
―― 最後に、公開を待つ人たちへメッセージをお願いします。
伊藤 原作者の押見先生をはじめ、監督や出演者が本当にすごい熱量、すごい愛で作り上げた映画です。原作ファンの方々にどう捉えてもらえるかは分からないですが、僕らはもちろんリスペクトを込めていますが、原作を飛び越えられたんじゃないかなと思っていますし、良い意味で裏切ることができる作品になったとも思っています。原作ファンの方々も、公開を楽しみにしていてほしいです。
玉城 全体を通して見てもらえば分かるんですけど、思春期は誰しもが通ってきた道であって、そこで人生が終わるわけではありません。いま思春期の方も、思春期を過ぎて大人になった方も、思春期に自分にとっての“仲村”に出会っていたとしたら、映画を通してそのときの感覚に陥ってもらえたらと思います。
飯豊 当時、この作品に出会っていたら私にも思春期が来たのかもしれない。
玉城 本当になかったの?
飯豊 ないねー。
伊藤 ないっていうか、そういう思春期だったんじゃない? いろんな形があると思うし。
飯豊 だったのかなー。もう2人がほとんど言ってくださったんですけど、これからの若い人たちに見てもらって、この作品を好きな人たちで一緒に盛り上げていってほしいなと思っています。よろしくお願いします。
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9月27日からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給:ファントム・フィルム
伊藤健太郎 玉城ティナ 秋田汐梨 / 飯豊まりえ
伊藤健太郎:ヘアメイク:島徹郎(juice)、スタイリスト:釘宮一彰(juice)
玉城ティナ:ヘアメイク :今井貴子、スタイリスト:松居瑠里
飯豊まりえ:ヘアメイク:本岡明浩、スタイリスト:有本祐輔(7回の裏)
(C)押見修造/講談社 (C)2019映画『惡の華』製作委員会
写真:こた
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デートのときには下に着ていこう。