ニッポン放送「ザ・フォーカス」(10月2日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。役員による金品受領問題を受け、2日に行われた関西電力の記者会見の内容について解説した。
関西電力が記者会見と報告書〜氏名公表は12人どまり
関西電力の役員ら20人が、高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役、森山栄治氏から合わせて約3億2000万円分の金品を受け取っていた問題で、岩根茂樹社長と八木誠会長が記者会見を行った。また報告書も発表されたが、氏名公表は12人にとどまった。
森田耕次解説委員)関西電力の役員ら20人が、福井県高浜町の元助役から金品を受け取っていた問題で、関西電力は2日、調査報告書を発表しました。氏名の公表は12人にとどまりまして、8人は非公表ということになりました。2日に記者会見した、岩根茂樹社長です。
岩根茂樹社長)金品につきましては、現金1億4501万円と、商品券6322万円、米ドル1705万円を合わせますと、およそ2億2000万円になります。その他物品については、金貨が368枚、金杯が8セット、金が500グラム、スーツが75着となっています。合計しますと約3.2億円となります。
会長・社長は辞任を否定
森田)なかなか聞かない記者会見ですね。スーツや金貨などが出て来ましたが、最も多く受け取っていたのが鈴木聡常務執行役員の1億2367万円、豊松秀己元副社長が1億1057万円と続いています。ほぼ返却したということですが、3487万円分の金品は返却していないということで、その大部分がスーツの仕立て券、つまり使ってしまったということです。八木会長と岩根社長は、記者会見で辞任をあらためて否定しました。
森田)メールもいただいています。名前は書いていないのですが、「消費税が上がって庶民は1円単位で苦しんでいるのに、3億円以上のお金を貰えるなんて、ずるいにも程があります。いますぐ全員責任を取って辞めていただきたい。電力会社なんて、公益企業の代表みたいなものでしょう」。国民の怒りは相当に高まっていますよ。
河合)政府と同様に、電力会社は寡占事業として長いことやって来たので、公務員とは違いますが、極めて公務員に近い存在なのだと思います。もっとしっかりと説明して貰わなければいけないし、責任の取り方も多くの国民は納得していないと思います。
明確にされていない森山氏の背景〜どのようにして強い存在になったのか
森田)森山栄治さんという元助役は既に亡くなっているのですが、吉田開発に務めていたときに、多数の原発関連工事を発注していたことを関電は公表しており、「適正だった」と主張しています。八木会長は元助役による金品の提供が、東日本大震災の後にエスカレートして来たという説明をしています。関西電力の報告書は森山元助役について、「国会議員に広い人脈を有し、意に沿わないことがあると『発電所を運営できなくしてやる』と恫喝した」という指摘をしています。
河合)森山さんという方の経歴が明確にされていないのですね。関電が出した資料によると、もともとは京都府の職員だったようです。当時の高浜町長からの招聘で高浜町の職員となったという経緯の方ですが、それにしても、どうしてこれだけのお金を動かせる立場になったのか、どうして権限がこの人に集中するようになったのか、背景がよくわからないのですよ。これを解明して行かないと、この問題の構図がよく見えて来ない気がします。
森田)関西電力は、弁護士らによる第三者委員会を設置して、原発以外のすべての部門で同じような問題がなかったか、今回の調査結果を検証する報告書を年内に取りまとめるということです。
河合)先程話があったように、東日本大震災で福島の事故があったことを受けて、各電力会社が原発についてはかなり難しい立場に置かれたことが背景にあって、このころから大きなお金が動き始めたのだと思います。では、それ以前は(大きなお金の動きは)なかったのかと言うとわからないわけですから、どういう形で関電に大きな発言力を持ったのか、その辺を解明して貰いたいですね。
減給処分、厳重注意のみにとどまる
森田)社内処分が、八木会長と豊松元副社長が月額報酬の2割を2ヵ月返上、岩根社長は2割を1ヵ月返上。鈴木常務執行役員は厳重注意にとどまったと。八木会長は金貨63枚と金杯7セットなど、859万円相当を受け取っていて、岩根社長も金貨10枚、150万円相当を受け取っていたそうです。
河合)唖然とします。これは所得税をちゃんと払っているのか、贈与になるのか。贈与だって税金がかかりますし、この辺も明らかになっていません。少なくとも、減給処分や厳重注意で済む話ではないと思います。
Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.