ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。森山栄治氏の人物、影響力について解説した。
「若狭のドン」と呼ばれた森山栄治元助役
関西電力の役員ら20人に3億2000万円もの金品を渡していた、福井県高浜町の森山栄治元助役。「若狭のドン」と呼ばれ、政・財・官界に幅広い人脈を誇り、2019年3月に90歳で亡くなるまで大きな影響力を持っていたと見られる。この「若狭のドン」に会ったという須田慎一郎が、人物像や周りの人について語る。
飯田)須田さんは「若狭のドン」、森山栄治氏に会ったことがあるのですね。
須田)2011年に東日本大震災が発生して、その後くらいに会いました。ですから、高浜の原発も稼働停止になって行くという過程のなかでした。
飯田)周りの人たちの気の遣い方は、半端ではなかったのですか?
須田)取材で会ったというわけではなくて、私が地方に講演会で出かけて行ったのです。会場には始まる30分〜1時間前に行くのですが、応接間で休憩していてください、ということで応接間に入っていて、町の関係者が応対して下さっていたのです。そうしたら、「この町いちばんの実力者がお見えになりますので、懇談していただけませんか?」という話があり、そういうことはよくあるものですから、私としては軽い気持ちで承諾しました。そうこうするうちに、廊下の方から「お見えになりました」と大きな声が聞こえて来るのです。すると、それまで応対してくれていた町の関係者が、バッと立ち上がるのですよ。
飯田)その段階で。
須田)私もつられて立ち上がってしまって、ドアが開いてどやどやと入って来ました。森山さんが着席を勧めてくれたので、我々2人は座ったのですが、町の関係者は直立不動で立ったまま、私と森山さんのやり取りを見守っていました。やり取りについてあまり深いものはなかったのですが、いまから考えると、ドンと言ってもそんなに大物感はなかった感じがします。私に対して高圧的でもなかったですし、やや押し出しの強いおじさんという感じでした。
人脈によって形成された森山氏の力
飯田)それなのに、周りはすごく緊張していると。
須田)相当気を遣っていましたね。15分くらい話をさせていただいて、講演会の時間も迫って来たので森山さんが立ち上がって出口に向かうと、町の関係者も見送りに行くので、私1人がポツンと応接間に取り残されました。「客はどっちだよ」という感じでしたね。
飯田)そのくらいの気の遣いよう。権力の源泉は何だったのでしょうか?
須田)高浜町は、原子力発電所以外にほとんど産業らしい産業のない地域なのですよ。原発によって町の財政が成り立っていると言っても過言ではありません。原発の稼働へ向けて予算を引っ張って来てくれる実力者ということですから、それがいちばんの力の源泉であり、関電に対しても自治体に対しても顔が利くというところではないでしょうか。
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