ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月23日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。楽天の携帯電話無料サービスで利用者が接続できないトラブルが発生しているニュースについて解説した。
楽天の無料携帯電話サービスで接続できないトラブル
IT大手楽天が10月から始めた無料の携帯電話サービスで、利用者が通信に上手く接続できない問題が起こり、相談が相次いでいることがわかった。総務省は詳しい状況について近く楽天に説明を求めることにしている。
飯田)楽天は先月(9月)の会見で、10月から予定していた携帯電話サービスの開始の時期が来年(2020年)4月まで実質的に延期されることを発表しました。基地局の整備が遅れていることなどがその理由とされています。長らく3社体制でしたが、楽天が入って来て活性化するかという期待もありました。
高橋)4社になるかと思いきや、難しいです。基地局の整備の遅れが結果的に、試験的にやっている無料サービスがうまく行かないということですよね。10月から正式に始めていたら大変な混乱でしたので、よかったですね。無料で試験的にやっているところですから。でも、基地局がなかったら携帯にならないですよね。
飯田)昔を思い出しますね。山のなかや、都心を外れると圏外となる。今回の無料のサポータープログラムは、東京23区、大阪市などで5000人にしぼって、来年の3月まで無料にするというものです。データ通信がどうなっているのかわかりませんが、通話ができなければ意味がありません。
高橋)基本的には、基地局の整備がうまくできなかったということです。10月から始めると言ってしまったのでやってみたのですが、大丈夫だと思われるところでつながらないと。
飯田)半年で整備しなければなりませんね。
高橋)そうですね。基地局は比較的簡単ですが、それ以外に問題があったら大変です。
飯田)インフラ整備ですからね。
3社では寡占状況〜楽天の携帯電話参入は意味がある
高橋)一朝一夕にはできないので、楽天が入ったことに意味はあります。すぐに参入はできません。3社では寡占という状況です。競争があるようですが、談合していてあまりないです。でも4社になると、格段に変わります。1社のシェアは、公正取引委員会での例を見ると25%がいちばん多くて、そこまであれば数が少なくても競争が確保できます。3社になると30数%となり、これだと大きすぎて、3社だと談合してしまいます。2社になるともっと談合します。
飯田)どこかが値下げをすると、阿吽の呼吸で3社だと容易に合わせられます。
高橋)容易にできるし、話し合いも簡単です。4か5になると、さすがにまとまりにくくなります。そのギリギリのところで、4社というのが線引きになっています。競争を確保するために。このままだと寡占になるので、楽天が入るのは意味があります。
飯田)3社ではだめで4社というのは、競争政策の世界共通の基本ですか?
高橋)私は公正取引委員会にいたのですが、4社がいないとだめです。4でもいいとは言えませんが、ギリギリのラインです。4分割というのは多かったです。
飯田)アメリカの通信業界も、スプリントというソフトバンク系列の会社がティー・モバイル・アメリカを買おうとすると、ベライゾン、エー・ティー・アンド・ティーの3社になるとまずいというのが、大きな理由らしいですね。
高橋)どこの国も理論でやっているので、同じ結論になります。
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