漫画『暁のヨナ』(作:草凪みずほさん)を原作とした舞台「暁のヨナ〜烽火の祈り編〜」が、11月16日から東京のEXシアター六本木で上演されています。
同作は、古代のアジアをモチーフにしたファンタジー作品。長年恋心を抱いてきた従兄のスウォンに父王を殺された高華王国の姫・ヨナが、専属護衛でおさななじみのハクらとの旅の中で神託を授かり、心身ともに成長していく物語です。
同作の舞台化は、2016年の「舞台 暁のヨナ」、2018年の「暁のヨナ〜緋色の宿命編〜」に続く3度目。今回の「烽火の祈り編」では、原作の8〜13巻にあたる火の部族の物語を中心に描かれます。
舞台の開幕を前に、ヨナ役の生駒里奈さん、ハク役の矢部昌暉さん(DISH//)、スウォン役の陳内将さんにインタビュー。この1年での成長や、舞台の見どころを聞きました。
―― 前回の公演「緋色の宿命編」から1年がたちましたが、今の意気込みを聞かせてください。
生駒 昨日(11月3日)、通し稽古をやったんですけど、前回よりもこの段階でいろんなことが見えていると思いました。本番まで日にちもありますし、まだまだ改善したり面白くしたりできるところがたくさんあります。私自身も、どんどん良いものを作ろうという気持ちで挑んでいます。
矢部 続編で同じ役をやらせていただけるのが、すごくありがたいです。そういう経験が初めてなので、やるからには前回を超える、もっとパワーアップした演技を見せていけたらと思います。
―― 矢部さんは、前回公演で初めて殺陣を経験しましたが、1年ぶりにやってみていかがでしたか?
矢部 ハクの使っている武器は大刀っていうんですけど、やはり難しいです。余裕を見せなきゃいけないんですけど、まだ必死になっちゃいますね。
生駒 重いもんね。
陳内 僕も前回に引き続いての出演なんですけど、前よりも早い段階で通し稽古ができたので、大まかな流れを全員で共有できたのが良かったです。さっき生駒ちゃんも言っていましたけど、もっと良くしたいなという思いが全員に芽生えたので、早い段階で通しをやらせてもらえたのが今回の強みかなと思います。
今回、2人(生駒さん、矢部さん)と一緒にいるシーンが全然なくて、同じ空間にいられないのがすごく寂しいです。お互いの演技をお客さんのように見ている感じで。自分が国王を殺さなければこんなことにならなかったのに(笑)。
生駒&矢部 (笑)。
―― 演技面や心構えで成長したと思えた部分はありますか?
生駒 ヨナを経て、自分としては難しいと感じる舞台に連続で出演して、お芝居で声の使い方を勉強したり、殺陣をやったり、一気に自分の中での経験値が上がったなって思います。台本の読み方もこの1年で変えましたし、人間生きていれば毎日何かしらの壁にぶつかることはありますけど、それが楽しいと思えるようになりました。
矢部 前回は芝居の経験もそんなになくて、稽古のときに演出の方にビシビシと鍛えていただき、台本の読み方や発声の仕方などを学びました。ヨナの公演を皮切りにたくさん舞台に出させていただけるようになったので、そういった意味ではだいぶ成長したと思います。
陳内 スウォンとして作品を支えたり、作品の一部になったりすることの難しさ、というのをあらためて感じています。前回は、ストーリーを全うしていれば彼の人物像が見えるように描いてもらえていましたけど、今回は心とは裏腹な表情やセリフがあったりしてバランスが難しいと感じています。その難しさを分かるようになれたのが、成長なのかな。
―― お互いの印象は変わりましたか?
生駒 まーくん(矢部さんのこと)は、前よりも余裕が出ていると思います。前は殺陣のときもひーひーいってたけど、それがないもんね。
矢部 んー、まあ、そうですね(笑)。
生駒 陳内さんとは、今回絡みが少なくて……。ヨナ一行とスウォンたちとは別空間で話が進行するので。
矢部 いこちゃん(生駒さんのこと)は、前回よりもさらにヨナらしくなったと思います。ヨナの公演が終わってからも舞台を見に行かせてもらったりしているんですけど、余裕を感じます。後輩にアドバイスしている姿を見て、かっけえなって。
生駒 でも、人に芝居のことを言うのって、人が作るものに対して、自分の考えを押し付けるということだから……。極限まで待ってからアドバイスするようにしています。
矢部 ちゃんじん(陳内さんのこと)は……良い意味で変わらないというか、やっぱすげえなって思います。僕は勝手に“芝居の師匠”って言ってます。
生駒 「M!LKボーイ」(生駒さんによる「M!LK」メンバーの愛称。弟より年下とのことで、かわいがっているようです)たちも、かっけえって言いながら見ていました(笑)。
矢部 本読みの段階で「M!LK」の子たちが僕の隣に座っていて、向かい側にちゃんじんが座っていたんですけど、ちゃんじんがしゃべった瞬間に「かっけえ……!」って言ってました。
陳内 それは、うれしいですけども(笑)。1年経て、2人ともすごくたのもしくなっていて、昌暉は良い意味で変わらないって言ってくれましたけど、僕は何か成長できているのかなって。若い子たちの成長を見ていると、良いな〜って思います(笑)。
演技のことを言われて、頭にいっぱい「?」が浮かんでいたときの昌暉も知っているので、「分かりました」ってすんなり言っている姿を見たりすると、かっこいいなーって。1年で、こんなに成長するんですね。
生駒ちゃんは、前回はお兄さんチームで、今回は弟チームみたいな感じだよね。
生駒 私が一番年上なんですよ。
陳内 ヨナ役という面では変わらないけど、座長としては引っ張らなきゃっていう変化もありますから。どっちの面でもすごく成長されたと思います。
―― それぞれの役の見どころを教えてください。
生駒 ヨナは一段階成長して、心の強さがありながらも、強くなりたい、守らなきゃともがいているところがベースにあります。ヨナ1人では強さは足りないので、どうやって人の心を動かすかというのが見どころなのかな。
矢部 前回は戦うシーンが多くて、強くてかっこいいハクというイメージだったと思うんですけど、今回はヨナやスウォンに対する思いが描かれたり、ヨナ一行が身分を隠して行動するシーンでは、ハクの面白い部分が見えたりとか、より人間らしいハクを表現できるんじゃないかなと思っています。
陳内 スウォンは、ぽわぽわした演技もあれば、後半では王たる姿勢みたいなものも見せたり。二面性のある姿を見せられたらと思っています。
あと、矢部昌暉がアフターライブをやるっていうのが、一番の見どころですね。
全員:(爆笑)
矢部 そこなんですか(笑)。
陳内 俺も一緒に出たいなー。
矢部 出てくださいよ、あれ、めっちゃ緊張するんで(笑)。
―― 先ほどは師匠と呼ばれていましたが、陳内さんから見たら矢部さんはどんな存在ですか?
陳内 2作続けてやらせてもらっているので、「仲間」という感じですね。
矢部 ありがたいですね、師匠にそんなこと言ってもらえるなんて。
陳内 あはは(笑)。
矢部 役ではおさななじみだけど、役から外れたら年上で先輩、お兄さんなので。いこちゃんも、役を外れたらお姉さんなんですけど、役では自分の方が年上だし、守っていかなきゃいけない。その関係性が面白いなって思っています。
―― せっかくなので、師匠に対して何か言いたいことはありますか?
矢部 言いたいことというのはないんですけど、(陳内さんは)休憩中ずっとスマホゲームをやってるんですよね。だから、いつお芝居のこと考えているのかなってすごく不思議で。僕は休憩中も台本のこととか役のことを考えていないとだめで。
陳内 1回オフにしたいんだよね。
矢部 前回はモンストをおすすめされて始めて、今回はドラクエウォークをおすすめされて始めました!
陳内 おすすめしたら全部やってくれるんですよ。で、途中で飽きてやめちゃうっていう。
矢部 あっはは(笑)。
―― 陳内さんはゲームで気持ちを切り替えるとのことですが、矢部さんに対してアドバイスできることはありますか?
陳内 僕も芝居をやっていて壁にぶち当たって、そのことしか考えられなくなり、空回りしたことがありました。だから、追い詰められたときは、いっそ別のことをやるといいんじゃないかな。自分の固定観念ってなかなか捨てられなかったりするので。
矢部 僕の場合、お風呂に入っていても気付いたらせりふをしゃべっているんですよ。
生駒 ちょっと前まで私もそうだったけど、やめました。今は、家に帰ったら何もしていないです。無。天井見ているんです。
矢部 すげえなあ……。
―― 最後にファンの方々へメッセージをお願いします。
生駒 続編ということで、続きが気になって来てくださる方もいると思いますが、初めて見る方も見どころ満載で楽しめる作品になっていますので、ぜひ劇場へお越しください。お待ちしています。
矢部 この作品は女性でも男性でも楽しめるような作品ですし、見ていて面白いシーンがあったかと思えば、次にはグッとくるシーンもあったり。いろんなドラマが詰まった作品になっていると思うので、楽しみにしていただけたらと思います。
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舞台の脚本・演出は、アニメ版を手掛けた高羽彩さんが担当しています。